第1回スマブラ四国リーグ日記



こんにちは。「ネバダからキマした。」と申します。東日本から来ました。

先日、四国で一番のスマブラプレイヤーを決める「スマブラ四国リーグ」が開催されました。その日記を書き綴ろうと思います。

純100%自分語り。「オフレポ」なんて大層なものではありません。

 



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冬の始まり、冷える朝。

 

 

今日だ。いよいよこの日だ。

 

スマブラ四国リーグ。今日、いよいよ四国で一番強いスマブラプレイヤーが決まる。

 

みんな簡単に四国リーグ四国リーグと口にしているが、「地方最強」が決まるのは、想像以上に大きく重いことかもしれない。

今までこの地で歩んだ道、見てきた景色、会った人々たち……それら全ての中で一番スマブラが上手い人間が一人、今日、決まる。

 

 

待てない。そんな大きな瞬間を、早くこの目で見たい。

 

 

手が震えるのは、冬の寒さだろうか。

それとも、武者震いというやつだろうか。

 

 

 

 


……遠い!!!

 

 

 


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俺は昨日、何を考えたのか、ふと「自転車で行ってみるか、交通費浮くし」と思ってしまった。

 

そして今、朝の9時半に川沿いを自転車で全力走行している。

 

香川県って狭いんじゃなかったのか。中学校で習ったぞ。県の端から端まで1時間くらいかと思ってた。

 

こうやって自転車で川沿いをずっと下っていくの、何年ぶりだろう。小学生の頃、友達とみんなで意味もなくただただ遠くまで行ったな。

 

 

少年時代に思いを馳せながら、自転車を揺らし会場へと向かう。

 

 

 

四国最強が決まる場所は、

ブックオフ

 

 

さて、たとえ四国リーグとはいえ、会場に着いてしまえば「いつものブックオフ」だ。

 

そんないつものブックオフに、今日は高知徳島愛媛の人も来るという。あまりピンと来ないなあ。

 

 

 

ブックオフ……?

 

そう、我々香川勢は「ブックオフで」スマブラオフをするのだ。

 


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ここは「ブックオフ屋島店」。至って普通のブックオフ……とは一味違う。とにかくデカい。

 

古本に始まり、ゲームやフィギュア、そしてユニクロも驚きの量の衣服を売っている。もしかしたらもっと色々売っているのかもしれないが、いかんせん広いので全貌を見たことがない。

 

そんな店なので、土日にもなると家族連れで大繁盛だ。衣服棚の前には服を選ぶおばちゃんが常にいるし、入口はいつも人が出入りしている。

 

和気あいあいと家族でショッピングできる新屋島店だが、ただ大きいだけではない。

二階に行くとがらっと空気が変わる。

 

香川中のゲームオタクが集まる「ブックオフアリーナ」があるのだ。

 


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モニターとゲーミングパソコンがずらりと並ぶ、まさにオタクのための場所。どういうわけか、ボードゲームやカードゲームも完備している。

 

我々香川勢はこのブックオフアリーナにお世話になっている。オフになればここに集まり、ここでスマブラを繰り広げる。


もう店員の顔と名前も覚えてしまった。それくらいお世話になっている。

 


ネバダさん、こんにちは。」


俺も覚えられてしまった。

 

 

 

オフ大会はフリーから。

 

 

さて、着いた頃には11時前。もうみんな横一列に並んでフリーが始まっていた。

 

7,8個並んだモニター全てにスマブラが映っている。絶景だ。横一列に肩を並べたプレイヤーの中には、見たことのない顔が多々いる。なるほど、他県勢だ。

 

どんな強者が来ているのだろう。どんなキャラクターを使うのだろう。楽しみだ。


強いプレイヤーたちの背中を見てると、自分の中でスマブラの血が湧き上がってくる感覚がする。

今から、まだ知らぬ他県のプレイヤーとスマブラができるんだ。

 


「きたきた。ネバダさ〜ん!」

 

いつもの香川勢がニコニコ笑って手を振ってきたので、俺は結局、いつもの香川勢たちと座った。

 

 

初めて見るワリオ使い。

 


いつもの香川勢とフリーを終え、あったまってきたところで、他の台を回ることにした。

 

(いつもの、と簡単に言ってはいるが、苦手なキャラだったり県大会無敗者だったりと、香川勢どもはイヤに厄介なのですぐあたたまるのだ。ムキー。)


さて、どの台にしようかな。

……お、ワリオじゃん。四国でワリオって言ったら彼しかいない。うぃんぱ〜ワリオ

 

 


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四国窓窓主で、県大会準優勝。昔からオフをやっていて、確かな腕がある。今回の四国リーグ本戦にも出場する強者だ。

いきなり会えるとはラッキーだ。よし、やってやるぞ。

 

「すみません、次入れてもらえますか」

 


俺が間違っていたのだろうか。

 

俺が甘かったのだろうか。

 

このとき、俺は肩透かしを食らうことになる。

 

 

 

「あ。はい、どうぞ」

 

そう笑顔で答えたのは、オシャレなピアスをつけた「好青年」だった。人柄の良さが表情から滲み出ている。

やめろ。そんなステキなスマイルで俺を見るな。俺はゲムヲ使いだぞ。

 

ワリオ使いというのを今まで見たことがなかったので、どんなプレイヤーが使うのか想像できなかった。

 

いや、プレイヤーを見た目や話し方で判断することは普段絶対にしない。クラウド使いだろうがアイク使いだろうが射撃Mii使いだろうが、俺は全員「一人のスマブラプレイヤー」として見ている。
「使用キャラでその人の性格が、評価が、」ということはないと考えている。

 


しかし、今まで見たことがなく、ただただ自分の中で未知のものだったのだ。ワリオ使いが。


バイクとかデカ頭とか屁とか、コミカルな肉弾戦キャラだから、どんなムキムキの体育会系プレイヤーが使ってるのかと思いきや……

 

 

ネバダさんですか、名前覚えてますよ(笑)」

 

やめて。良い人ビームしないで。僕ゲムヲ使いなの。上強オナラが繋がる%になったら、ガンガン逃げてガーキャン上Bしかしない、あのゲムヲなの。いや、繋がらなくても逃げ回る。

 

 

想定外の好青年に怯んでしまい、ちょっと調子が狂う。

 

なんだか、今日は9が出そうにないなあ。

 

 

 

やっぱりすごいぞ、

四国代表。

 

「対戦よろしくお願いします。」

 

試合を始めると、何かが噛み合ったのか、ゲムヲがかなり大きくリードした。正直、思ってもいない展開だ。

 

 


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ダメージ有利になってしまえばゲムヲのペースだ。たとえワリオとはいえ、無闇に攻めれまい。


うぃんぱ〜ワリオもそれをよく分かっているようで、お互い地に足つけて、待ち合い睨み合いが始まる。

 

 

そこで俺はふと思いついてしまった。ちょっとした出来心だ。

 

 

十字キーに指を伸ばす。

 

 

挑発して攻めてもらったほうがゲムヲ的には美味しいし、ちょっとこの睨み合いの緊張感もほぐしたい。

 

俺が何も考えずに十字キーのキーコンを初期のままにしてると思うなよ。

 

 


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ピリリリリリリ!!!!

 

 


睨み合いの真っ只中、ゲムヲが高らかに鈴を掲げ上げる。


まあゲムヲの可愛いこと。嬉しそうにお口まで大きく開けている。

 

 


しかし、やっぱり俺が間違っていて、

俺が甘かったのだろう。

 


うぃんぱ〜さんはくすりと笑うことも挑発に乗ることもなく、ただ動じず真剣な眼を画面に突きつけていた。

 

 

ひっ、ごめんなさい…。

 

 


これが四国代表になる人か。結局俺はオナラを顔面に食らって負けた。

 

 

 

始まる設営、

漂う緊張感。

 


「対戦ありがとうございました〜」

 

うぃんぱ〜さんは、またけろっと素敵スマイルをしてお礼を言った。さっきの眼が嘘みたいだ。なぜスマブラプレイヤーは試合中だけ背中から殺気を放つのだろう。


その後もいろんな人とフリーをした。

 



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リドリー使いだったり、なんとあのアイスクライマー使いもいた。まさか実在するとは。あの寸分狂わぬ切り離しコンボ、botか何かだと思っていた。
SPはとにかくいろんなキャラクターがいて楽しい。

 


そんなフリーを楽しんでいたら、時間を忘れてしまっていたが、いよいよ始まる。四国リーグの予選だ。

 

 



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全員フリーを切り上げて、60インチは超えるであろう大きな画面の前に座る。香川勢は見慣れたと思っていたが、改めて見るとデカいな、この画面…


今回はいつもの県大会やブックオフアリーナとは違う。大会の様子を全世界にYouTube配信するのだ。実況解説・定点カメラ付きで。

 

 


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確かに、画面の横に実況解説らしき人が座っている。画面の裏でも、スタッフ数人が動き回りパソコンを操作している。
なんと、テレビ番組の撮影みたいな大きなカメラを抱えたスタッフまでいるじゃないか。

 

大画面には配信画面用のテロップ、YouTubeライブのリアルタイムコメント、プレイヤーカメラが映っていて、もはやテレビの試合中継のようだ。

 

なるほど、これはただの大会じゃないぞ。会場の雰囲気がそれを物語っている。

 


しかし、不思議と俺は落ち着いていた。

 

特別高まることもなく、ただただ始まるのを楽しみにしていた。前回初めて参加したオフ大会、まめブラではとんでもなく緊張してあたふたしていたのに、随分と慣れたものだな。

いや、今回は参加せず見学だけだから余裕なだけなのか……

 


「スゴいですね、なんか僕まで緊張してきちゃいました…」

 

隣で香川勢のsueくんが笑う。

いや、やっぱり初のオフ大会はそうだよね。見てるだけでもなんか緊張するよね。

 

 

ちょこっとだけ成長を感じた自分に笑いながら、四国リーグが幕を開けた。

 

 

 

目が離せない四国リーグ。

けれども……

 


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ついに四国リーグ予選が始まった。

 

予選とは言っているが、実況解説までついていて、参加者全員が県大会優勝レベルだ。

 

ちよトレ、マキノポケトレ勇者、ばしょうフォックス、橘ポケトレ……なんだなんだ、リュウケン使いまでいるじゃないか。一試合たりとも見逃せるものではない。

 

 

会場の全員がそう思っていたのだろう。皆画面に張り付き、それぞれ後ろから推しプレイヤーを見守っている。

 


お、ちよさんまた勝った。県大会では絶対に負けないであろうちよさんも、地方大会レベルにもなるとさすがに少し不安だ。いつもより試合に見入ってしまう。

お、あれが県大会を優勝した中学生の橘くんか。どんなプレイを見せてくれるのだろう。

 


そう、一戦たりとも見逃したくない。の、だが……

 

 


スマブラがしたい。

 


俺は今日スマブラを見に来たんじゃない。スマブラをしに来たんだ。

 

用意されていたフリー台は全てガラ空きで、人っ子一人いなかった。こんなすごいスマブラを見せられて、みんなよく座ってられるな。

 

ウメブラやEVOの決勝を見て、スマブラのモチベーションが湧き上がったことはないだろうか。まさにその感覚を、今生で目の前で体験させられているのだ。

 

もう黙ってはいられない。誰でもいいからとっ捕まえて俺のゲムヲを見せてやる。

手始めに隣に座ってるお兄さんからだ。

 


「すみません、フリーしませんか!!」

 

にこっと笑ってはみせたけど、胸の中の闘志を抑えるのに必死だ。

 


「あっ、すみません、次ぼく……」

「?」

 

 

フリーの約束でもしてるのだろうか。それなら仕方がない。他の人を捕まえて…

 


「あしもさん、配信台にお願いします。」

 


なるほど。あなたが徳島を代表する最強プレイヤーでしたか。見学席の隅で控えめに座りやがって。

 

 

俺はただただ笑いながら手を振って、配信台へと向かう彼を見送った。

 

 

 

出たな、橘ポケトレ

 

 

「配信台、マキノ対橘。」

おっ、いよいよ来た。決勝かどこかで見ると思ってたが、まさか予選だとは。

 

初の県大会で文字通り一敗もしなかった、スマブラ激うまお兄さん。それなのにポケトレをメインに、勇者、ドンキーと多キャラ使いときた。フリーのときに「今日はジョーカーも〜」などと言っていたが、どこを目指してるんだこの人は。

 

そして橘くん。レート2000越えの中学生で、なんとSPが初めてのスマブラらしい。そして県大会も優勝。

 

 

可愛くねえなあ。中学生なんて友達4人で集まってファルコン・パンチ〜キャッキャしてるもんだろ。県大会て。優勝て。

 

この二人が早くも肩を並べる。これが四国リーグだ。

 

 

どんな試合が見れるのだろう。二人とも最強レベルのポケトレだ。ポケトレミラーは面白そうだな。三体のポケモンの使い分けに、それぞれのプレイヤーの味が出そうで…

 

 



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JOKER!!!

 

 

 

 

 

…マキノさん?

 

 

 

 

頭角を現し、

混沌としだす四国リーグ。

 

 


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マキノジョーカー対橘ポケトレ。実況解説も驚いていた。しかし、俺はもうまめブラで驚き疲れた。

 

マキノさんは、ぽっと予想外のキャラを出して、ぽっと使いこなしてしまう。ちゃっかりトレモもものすごくやり込んでる。そういう人なのだ。ここでジョーカーを出すのも、きっと俺にはわからない理由があるのだろう。

 

しかし相手はあの橘くん。噂通りだ。強い。強すぎる。素人目(レート1600、その差実に400以上)で観てもわかる。

 


スマブラがお堅い。堅いくせに、時折ぶち込んでくるフシギソウの空上や上Bで壊していく。ポケモンチェンジ芸も魅せていきながら。

 

 

結果、橘くんが勝った。俺は負けるマキノさんを見るのが初めてだったので、ただただ驚いた。


いや、負ける橘くんを見ても同じように驚いていただろう。「どっちが勝ってもおかしくない」というより、「どっちが負けてもおかしい」という対決だったのだ。

 

 


わかったか、これが四国リーグだ。

見ている俺の身も引き締まってきた。

 

 


ぃよっしゃああああああああああ!!!!

 

なんだなんだ。真隣から大きな雄叫びが上がった。プレイヤーが我を忘れて飛び上がる。


大きく拳を上げていたのはあのばしょうさんだ。ばしょうさんはオフに参加して数年、県大会に優勝したりと様々な実績を残してきたが、ちよさんに勝ったのはこれが初めてらしい。

 

 

やばい。あの最強の香川勢二人が負けた。いやそれより、あのクールで冷静沈着なばしょうさんが、椅子から飛び上がっとる。まじかよ。

 


わかったか?これが四国リーグなんだ。

 

 

 

スマブラe-sports

 

 


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時々フリーを挟みながら観戦していたが、改めてわかったことがある。

 

スマブラすごい。

 

まず、会場の熱気がすごい。皆は画面にくっついてたから気付かなかったかもしれないが、会場の外から引いて見たら、人数がとんでもない。あそこにいる人間全員スマブラするのか。

 

あまりにすごい熱だったので、外にも伝わったのだろう。なんと、一般の家族連れの立ち見が発生したのだ。会場内に入る若者、会場外から興味本位で覗くお父さん…

 

男オタクどもに紛れて、最前列に小さな女の子が座ったときにはさすがに驚いた。ここはおまえの住む世界ではない。

 

 

スマブラというのはこれだけ大きなゲームなのだ。分かっていたようで、実際に目にしたのは初めてかもしれない。

 

 


しかしまあ、とにかく会場の熱気のすごいこと。

 

目の休憩も兼ねて、一階のトイレへと向かったときのことだった。

会場を出て、階段を降り、一階の洋服コーナーで服を選ぶオバちゃんたちをかき分け、奥にトイレが見えた。そのとき。

 

 

 

「「「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!」」」

 

 

 

あしもリュウ、何かしやがったな。

 

キミたちの歓声、一階の端まで聞こえてますよ。

 

 

 

 

四国リーグ本戦。

四国一が決まる。

だけれども……

 

 


異様な熱気に包まれながら、四国リーグ本戦が始まる。偶然にも、四国四県からそれぞれ一人ずつが本戦進出した。

 

ここまで来てようやく気が付いた。スマブラが上手い人の試合というのは、見ていて面白い。

 

ちよさんは面白いキャラで、見たことないようなコンボをして、すごいボールスナイプをして、ガンガンメテオを当てていく。
マキノさんは予想外のキャラで、綺麗に予想外の勝ち方をしていく。


四国リーグ他県代表者3人も一緒だ。橘ポケトレ、スガなんですクロム、あしもリュウケン。それぞれ皆違う面白さを持っている。

 

 


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特にスガクロムとあしもリュウの試合は目が離せなかった。剣キャラは剣キャラでも、尖りまくった性能のクロム。それに対し、テクニカルに火力を伸ばしていくリュウ

 

キャラクターだけでも面白いのに、スガクロムが崖カウンターを魅せたり、崖外に飛び出して上B巻き添えを狙ってキメた。

トッププレイヤー同士でも、こんな大胆なプレイができるのか。今日一番歓声と笑いが上がった瞬間だろう。


四人とも、どの試合もアツかった。キャラも良ければプレイヤーも良いので大白熱。

 

 



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その試合を制したのは、橘くん。決勝3タテ、圧倒的だ。

 

会場は拍手に包まれ、配信の勝者インタビューが始まった。なんと優勝トロフィーまでも授与された。会場は熱く和やかなムードで橘くんを祝福し、四国リーグは、こうして幕を閉じた。

 

 

 

けど、何か忘れていないか?




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俺たちは、スマブラをしに来たんだ。

 

 

 

待ちに待ったフリー。

しかし、そこに現れたのは…

 


皆よほどスマブラがしたかったのだろう。決勝戦が終わった直後だというのに、あっという間に全ての台が埋まってしまった。俺も、結局またいつもの香川勢と固まっていた。

 

しかし、コトは起きた。

 

「おつかれ〜」

 

 

そう言って歩いてきたのは、橘くんを連れたちよさんだ。おつかれ〜、じゃあないんだよ。なに四国三位が四国一位連れて歩き回ってるんだよ、ビビるだろ。

 

 

スマブラをしているところに、スマブラプレイヤーを連れてくる。しかもそれが大会優勝者、ということは、

 

つまり、そういうことだ。

 

 

 

対決、橘ポケトレ

 


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いよいよ橘くんと対決だ。率直に言って今までのプレイヤーとは格が違うだろう。

 

たしかに今までも、県大会優勝者、地方大会出場者、というのは戦ったことがあった。

 

しかし、「四国大会優勝者」というのは、たった今生まれたばかりなのだ。

 

 

そう考えた途端、俺の中でスイッチが入った。なんだこの感覚は。凄まじい集中力だ。

 


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対戦が始まると、橘ポケトレの動きが視える。それだけではこと足らず、さらに、ちょっと先までも視える。

 

その集中力で橘ポケトレの動きを読んで、しっかりスマッシュをキめこんだ。まさかの先制だ。後ろで香川勢がどよめく。

 

 

いける。

 

 

後ろからそう言われてたうえに、俺自身もそう思った。

 


しかし、なにせ後ろにいるのは香川勢。

 

 

 

「ジャッジ?」

 

「今振ったら9出るよ…!」

 

「こらこらやめなよ(笑)」

 

 

 

……俺もさ、真剣にやってるんだからさ、相手しなきゃいいのにな。

 

 


まじまじ?9出る??(笑)」

 

 


当然、9は出なかった。

 

 

 

参上、矢車シーク。

 


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さて、ジャッジとともに崩れ落ちて負けたネバダゲムヲに続き、次は矢車シークが挑むことになった。

 

矢車さんはお調子者の香川勢。他の人とは何か違うものを持っていて、主に気などが違う。ぱせりまんに似てる。DXもやっているらしい。


オフのイベント「ちよなる道場」でちよさんと大接戦を繰り広げたのを見てから、俺はすっかり矢車シークのファンだ。

 

 

「橘くんに勝ったら実質四国リーグ優勝だぞ〜」

 

そんな茶化しを入れながら始まった試合だが、なんと矢車シークが先行してしまう。

正直ちょっと驚いた。バ難のシークで先行できたのはかなり大きい。

 

 


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しかしそこはお調子者の矢車さん。分かりやすく調子に乗ってしまう。

 

技を振るたびに「ホイッ」だの「ハイッ」だの変な掛け声を上げだした。変顔までし始めてるぞアレ。

 

「そこがおまえの悪いところだぞ!!!」

 

後ろから喝とコーチングを入れてやった。橘くんもくすっと笑った。

 


コーチングが効いたのか、矢車シークは橘くんにペースを取られることなく、お互いに最終ストックまで持ち込んだ。

 

バ難で軽いシークは早くキめたい。フシギソウの空上や上Bを喰らったらひとたまりもない。かといって焦って攻めると負けてしまう。どうすればいいんだ。

 

そう、おちゃらけていた矢車シークの試合は、いつの間にか見ごたえのある「シーク対ポケトレ」になっていた。後ろの香川勢も黙って見守る。

 

 

そんな緊張感溢れる中、何かを見切ったかのように矢車シークが走り出す。フシギソウの懐に潜って、完全一点読みの上スマ先端を突き刺した。

 


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ズーム撃墜演出がかかって、ゲームセット。

 

 

人間は結構不思議なもので、「一瞬何が起きたか分からなかった」「夢かと思った」ということが人生において何度かある。

 

 

コンボでも回避読みでもなく、ただ相手に飛び込んで上スマなんて、よほど上手くないとキマらないでしょ。甘い甘い。

 

撃墜演出出たけどシークの上スマじゃまだ飛ばないでしょ、戦場って上高いし。俺もそれで何度も助かってるし。

 

 

リザルト画面が出た。

え、おい、勝ったのかよ。

 

俺は慌てて椅子から飛び上がって、矢車さんに駆け寄った。

 


所詮はフリーの一戦。

二先三先でやったら当然矢車シークが負けていたであろうこと、橘くんが四国リーグ優勝後に続く連戦続きで本調子でないこともわかっていた。


そうであっても、このシークはあの橘くんを初対面で倒した。それだけが衝撃だった。

 

 

やっぱりこの人は何かを持っている。これからも後ろからコーチングとガヤを続けようと思う。

 

 

 

ありがとう、四国勢。

 

 

「みんな入力した?文面あってる?写真載っけた?よし、せーのでいくよ。せーーのっ、!」

 

「いけいけいけ!送信送信!!怯むな、数で押していけ!!」

 


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四国リーグの前夜、高知勢の皆と10人くらいで晩御飯を食べた。

 

ブックオフアリーナのすぐ近くにある中華料理店まで皆で歩いた。皆で座敷に座って、食卓を囲んだ。

 

店の中国人のオバちゃんはとても気さくな人で、こんな人数で急に来たのに、なんと全員分大盛りサービスまでしてくれた。

 

やっぱりスマブラ後の飯は美味いんだよ。特に皆で食べる中華料理がうまい。しかしこいつら、スマブラの話しかせんな。なにが「ここの餃子はStire」じゃ。

 

照れくさくてこんなことは口には言えないが、人生で五本指に入る楽しい晩御飯だった。

 

 

ありがとう、ちよなるさん。

 

 

 

もちろん、四国リーグの夜もみんなで騒いだ。

 

 

 

 

今、四国はこんな調子でものすごくスマブラが盛り上がっている。こんな離島でも盛り上がってるんだから、ぜひ皆もオフに参加して地元で盛り上がってほしい。

 

 

ランチは中華料理が好ましいぞ。

 

 


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