第二回女王杯SSQM に キマした。

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2022年3月19日、土曜日。冬も過ぎ去り、春の温かさを感じ始めたこの頃。世間は来る三連休の初日に胸を躍らせていた。あなたはこの日、何をして過ごしていましたか?

 

人々が思い思い週末を過ごしているその時、日本の中心部・東京都池袋区の地下では、男21人が集い会場を沸かせていた。女王の首を獲る為に──



 

 

 

「ありがとうじいちゃん、行ってくるよ」

 

無造作に立てられた線香。その後ろに据わる遺影は、釣り船で捕った大きな鯛を抱えながら、穏やかに笑っている。

 

俺が朝から仏壇に語りかけたのは、何も祖父思いのじいちゃんっ子だからというわけではない。こうやって挨拶するのだって、何か月ぶりだろう。

 

今日俺が女王杯に出られるのは他でもない、死んだじいちゃんのおかげなのだ。



香川県での5年間の生活を終えた俺は今、地元の東京に帰ってきて、バイトをしながら日々プログラミングの勉強に励んでいる。バイトがある日は朝起きて出勤し、ない日は昼まで寝ておやつの時間に学校へと向かう。社会人の年齢にして大学生のような生活だ。

疑似体験とはいえ、やっぱり大学生活は楽しい。好きなことを好きなだけ勉強して、余った時間を趣味に費やす。いつまでもこんな日々が続いてほしいものだ。

しかし、自由な大学生活であっても意外と土日は忙しいもの。そう、バイトがあるのだ。三連休で繁盛する土曜に休みを取ろうなんて、考えもしない。はずだったのだが。




「え?お墓参り?」

「おう。土日どっか空けといてね」

 

コーヒーを片手に父が言う。

 

「いいけど……」

 

──この前行ったばっかりじゃない?

 

親戚が少ない俺は、今まで冠婚葬祭と無縁な生活を送ってきた。親戚が少なければ、死ぬ親族も少ない。一年前にじいちゃんが死ぬまでは、法事やお盆など全て他人事だった。だからじいちゃんの葬式でも、焼香の作法なんて分かるはずもなく、周りの見よう見まねでとりあえず鈴を鳴らして頭を下げた。



もちろん墓参りなんて習慣もなく、俺にとっては新しい経験だ。だからどのくらいの頻度で行くのが良いかなんて分からないけれども、それにしても……一、二か月前に行ったんだから、別にいいんじゃないのか?

 

まあ別に、墓参りが面倒で嫌というわけではないし、毎日頑張って勉強しながらバイトしてるんだから、一日くらい土日休みをもらってもバチは当たらないだろう。バイト中にじいちゃんの声が聞こえてもイヤだし。

 

こうして俺は初めての土曜休みを取った。3月12日──第二回女王杯SSQM一週間前の土曜日の。




その前日、3月11日金曜日。朝起きてバイトに行き、バイトが終われば新宿まで向かって夜まで勉強。帰りは10時過ぎ、そんな毎日だ。プログラミングで頭がいっぱいで、墓参りのことなどすっかり忘れていた。

 

そんなとき、ふと思いもよらない知らせを受け取る。

 

 

 

スマホを片手に、目を見開いた。少しの間、その場に立ち止まってしまっていたかもしれない。SSQMの大会だと。まさか。四国で、俺がどれほどこのゲームに熱狂したものか。

 

しかしその興奮も、すぐ冷めて悲しみに代わることになる。大会の開催日が来週の土曜日だというのだ。取った休みは明日の土曜日なのに。

 

ちくしょう。明日俺は、二年ぶりのSSQM大会にも出られないという悔しさを背負いながら墓参りをするのか。せっかく俺が東京に帰ってきて、同じ都内で開催されるというのに。

悲しみに暮れながらも、バイト先に出勤。

 

「おはようごザまーす。」

 

事務所に入り、いつも通りスケジュールを確認する。あーあ、明日休みでも仕方ないのになあ。じーちゃんには悪いけど。

 

あれっ



「店長……明日俺出勤になってないスか?」

「え?……うわ本当だ、ごめんね。どうしよう、困ったなあ~…」

 

店長は仕事がデキる男なので、こんなミスをするなんて思いもしなかった。呆然とする俺に、突然雷に打たれたように名案が舞い降りる。

 

「大丈夫です店長、明日は忙しいでしょうし出勤します!その代わり、」



来週の土曜日はお願いしますね。




……3月19日土曜日に、俺が第二回女王杯SSQMに参加できたのは、じいちゃんのおかげだ。SSQMの大会の突然の知らせに、墓参りに、店長のミス。こんなに偶然が重なることってあるのだろうか。

 

「ありがとうじいちゃん、行ってくるよ」

 

線香を焚き、とりあえず鈴を鳴らして玄関へと走る。

 

 

 SSQMとの
 出会い

 

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思い返せば、SSQMとの出会いは1年前だった。

 

スマブラへの情熱をすっかり失った俺は、どこか漠然とした毎日を過ごしていた。ゲームが上達すればするほど、あれほど夢中だったSPの嫌な所が見え始める。しかし、それでもMr.ゲーム&ウォッチが好きで動かしたい。その思いだけでなんとか戦う日々。

 

そんな悶々とした退屈な日々を一変させたのが、SSQMだ。このゲームに出会ったその日から一目惚れ、友人3人で正月から熱狂してコタツで一夜を明かした。その後もうちで友人と集まるときは、必ずこのゲームをやった。それくらいSSQMに熱中した。






そのコタツにいた友人のうち一人も、俺と同じ鬱積を抱え込んでいたようだ。スマブラやプラットフォームファイターは大好きだが、どうもSPは愛せない。オフ対戦会に参加こそするが、何を欲して行っているのかはハッキリしない。そんなどっちつかずな彼も俺も、スマブラ界隈からすれば「はみ出し者」だった。

 

だからこそ、はみ出し者同士ともにSSQMに惹き込まれた。憑りつかれた。俺たちが心のどこかで求め続けていたスマブラが、そこにあった。



しかし、そんな彼とも、事あって今では絶縁状態。他の友達や対戦仲間も、みんな四国に置いてきてしまった。20代後半、予期せぬ出来事によってこの身一つ東京に独り。俺が四国から持って帰ってきたもの、四国にいた形跡は今やこのSSQMだけだ。





この背景から、「東京でSSQMの大会が開かれる」と知ったときの俺の興奮っぷりは想像してもらえるだろう。四国での思い出が頭の中に一気に蘇った。そんな心待ちにしたSSQM大会だが、歓喜の気持ちと裏腹に、どこか素直に喜べない自分がいた。自分の中で、どこから来たのかわからない、あるモヤモヤとした疑心が湧き出す。

 

俺が本当に好きだったのは、SSQMというゲームだったのだろうか。

それとも、いつもの部屋で楽しくゲームをしながら、皆で囲んだコタツだったのだろうか……



あのゲームは、あいつらとやってたから楽しかっただけなのだろうか。「オフ大会に参加して初対面の人とやったら、案外面白くなくて冷めてしまった」「またSPのように、一度夢中になれたものを一つ失ってしまった」なんて結末になってしまわないだろうか。

 

この葛藤がくだらない杞憂に過ぎなかったと知るのは、そう遠くなかった。



 

 出発

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外に一歩出ると、春がそこまで来ているのを感じた。空は青く、雲も少ない。上着だって一応厚着を持ってきたけれども、一応羽織っている程度だ。こんな絵に描いたような晴れやかな土曜日の朝に、俺は──

 

、、「スマブラのオフに行く」……?

 

玄関から出てもピンと来なかったのを、何故か今でも覚えている。俺は今からどこに行って、誰と何をするんだろう。いや、わかっている。ゲームをしに行くのはもちろんそうなのだが……誰と?そして、どんなところで?

 

そして何よりも、、スマブラ

 

スマブラのオフに行くのが一年ぶりで、感覚が戻らない。その「一年ぶり」の間にも色々あったので、さらに遠い昔に感じる。

SSQMの大会。ずっと心待ちにしていた日のはずなのに、どこか上の空だ。

 

ぼーっと空を見上げながら、とりあえず近所のスーパーへと向かう。コーラを買いに。

 

 

 「お守り」

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あなたにも一つ、あるのではないだろうか。「ゲームイベントに必ず持っていくもの」。言うならば「お守り」のようなものだ。食べ物でもお菓子や飲み物でもエナジードリンクでも、なんでもいい。俺の「ゲームのお守り」はコカ・コーラだ。対戦ゲームでひっきりなしに押し寄せる勝負の読み合い、それに疲れた脳に必要なものは糖分と糖分、そして糖分だ。それを一口で満たしてくれるのが他でもない、コカ・コーラ

 

というわけで、オフ対戦会の前には必ずコーラを数本買うようにしている。これは昔から変わらない。いわばルーティーンというやつだ。



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「いらっしゃいませ~」

 

スーパーに入り、ジュース売り場を探す。いつものように商品棚の間を歩いていると、ふと懐かしい感覚が込み上げてきた。香川のスーパーでも、こうやって朝からコーラを探したな。近所のスーパーだけじゃない。宅オフで一人見知らぬ町に行くときも、皆で車に乗って高知県まで行ったときも。今まで参加した全ての大会の会場を覚えているが、それと同じくらい、コーラを買いに寄った店も何故か覚えている。

 

そこでようやく、あの感覚を取り戻した。俺は今日、スマブラをしに行く。ゲムヲで対戦相手を全員倒しに行く。この冷えたコーラは、そのための装備であり、お守りだ。

 

「ありがとうございました~」

 

 

店の外に出る頃には、全てがあのときの感覚だ。オフ対戦会へと向かうときの、高揚感と緊張感。イヤホンを耳に当て、スマホからお気に入りの音楽を流して気分をさらに高める。マスクの下では無音の大熱唱、サビが流れる頃にはすっかりそのバンドのメンバーになった気分だ。わかるよポルノグラフィティ。どうしてこうも、俺たちが跨ろうとする風に限っていつも、ハネウマのように乱暴なんだろうな────




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山手線を回り、道に迷いながらもようやく着いた。 決戦の地、LFS 池袋 esports Arena に。入り口のドアを開けると、気高い雰囲気を醸し出す、広々とした下り階段が迎え入れる。

初めての東京のオフ大会。いったい、どんな店なのだろう。地下へと続く階段を見下ろしながら、期待と不安に眉をひそめる。池袋のパチンコ屋の脇にあるような店、それも陽の当たらない地下。さしずめ狭くて暗くジメっとした、オタク好みの店なのだろう。

 

ドアを開けて店に踏み入ると、その安直な憶測はどこかに消え散った。目の前に広がるのは、会場── e-Sports の、会場だった。

 

 

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YouTubeの大会配信で見たことあるような舞台、配信台。その背景に大きくそびえ立つ大スクリーン。舞台の手前には、横一列に立ち並ぶモニターにゲーミングチェア。どの画面を見回しても、皆スマブラで対戦をしている。スピリットを付けながら。とにかく開放感のあるその会場は、言うならば店というより体育館のようだった。どおりで、e-Sports がスポーツと言われるのも、少しわかる気がした。

 

つかの間、圧倒的な会場に見とれていた。なるほど、これが東京か。一通り見回した後、ふと我に返る。

 

やべえ。受付してないじゃん。

 

このままでは、会場に入ってゲームをするでもなく、ただただウロウロしている不審者だ。早く受付をしなければ。

 

しかし、そのときの会場の様子を見ていれば、俺が受付を忘れたのも納得してもらえるだろう。皆スマブラをしているのである。目に入る人全員、一人の例外なく、真剣に。入口に受付のような人もいなかった。

 

仕方がないので、試合を終えたフリー台のプレイヤーに声をかける。

 

「お兄さん、受付ってどこでしてますか?」

「ああ、なんかまだしてないみたいですよ」

 

えっ。案外ユルいんだな。胸の奥にあった少しの緊張が、さっとほぐれた。

 

「そうなんですね…。まあいいや、やりましょやりましょ(笑)」

 

カバンを置き、奥からコントローラーとコーラを取り出す。会場も受付もどうだっていい。まずはこの対戦相手に見せつけてやる、俺のゲムヲを。




 

プシュッ。

 

コーラを開け、今日最初の一口を喉に流し込む。炭酸の強い刺激と砂糖の過剰な糖分が脳に届き、勝負の感覚を研ぎ澄ます。

 

ぷはーっ。

 

準備万端。絶対に勝つ。カウントダウンと共に、いよいよ俺のゲムヲが走り出す。



 

 懸念

 

今日、俺は後ろめたさ、、気がかりな事を一つ抱えながらこの会場に来ている。

 

俺はスマブラSPが好きじゃない。

 

 

 

 

とはいっても、SPやそのプレイヤーを忌み嫌っているわけでは決してない。ただただ、俺にSPが合わなかったのだ。

 

けれども、スマブラとプラットフォームファイター*1は大好きなんだ。DXやPMのプレイヤーは応援しているし、俺自身も Rivals of Aether *2に熱中している。だから俺は今「スマブラやSSQMを遊びに」というよりも、プラットフォームファイターを楽しみにこの会場に来ている部分がある。

 

それにしても、どうしてもアウェイな気持ちが拭えない。この会場にいるプレイヤーたちは全員、おそらくSPの傍ら・片手間にSSQMをやっている。日々スマメイトのレートを上げるために切磋琢磨しているに違いない。女王杯を終えれば、明日からはまたSPに励むのだろう。

そんな中に独りで来た俺は、言うならば「阪神の応援席に紛れ込む巨人ファン」のような気分だ。

 

 

 

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しかし、そんな些細な考え事も、ゲムヲの上スマで相手のストックもろとも消し飛んだ。

楽しい。燃える。やっぱり面白いぞ、SSQM。どこで誰とやろうと。四国のコタツの中でやろうと、池袋の地下の e-Sports 会場でやろうと。

 

俺にどんな過去や背景があろうと関係ない。ここにいる人たちは皆、SSQMをやりに来てるのだ。他の何が嫌いであろうと、SSQMが好きであればそれでいい。



 

 

 

……「ずっしり乱闘」なんだよね?上に飛ばないんだよね?わかるわかる、ちょっと強すぎるよねこの上スマ。

 

 

 開幕

 

「そろそろ大会を始めますので、次の試合でフリー最後にしてください~」

 

大会スタッフがこうコールしたときに、ちょうど試合を始めたばかりだったらどうすれば良いのだろう。この試合で最後?それとも「次の試合」だから丸々もうひと試合?

 

……よし、もうひと試合やっちゃおっか~!



ダメと言われたらやりたくなる。こんな子供じみた屁理屈がぱっと出てくるほど浮かれてしまう。今も昔も、フリー台には不思議な魔力があるのだろう。

 

その魔力になんとか抗い、リザルト画面と共に対ありをする。対戦ありがとう、次に貴様と会うのはあの舞台の上だ。

 

舞台前にプレイヤーが集まり出す。会場は徐々に騒々しくなり、熱を帯びていく。解説席のソファーに座る二人が、カメラ目線でマイクを握った。いよいよ始まるんだ。待ちに待った、第二回女王杯SSQMが。

 

www.twitch.tv

 

大会配信が始まる瞬間のクリップ。音量注意。

 

オムナオトくんの魂のタイトルコールが全てを叫び潰しているけれど、このとき会場では大喝采だった。拍手、指笛、ガヤ……俺はプレイヤーたちの想いと熱量を肌に感じた。会場に響くこの歓声は、歓びの声に他ならない。ここにいる全員待っていたんだ、この日を、この大会を。




 「主人公」

 

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いよいよ幕を開けた、第二回女王杯SSQM。本選第一回戦の相手は seem くん、ソラ使いだ。

 

SSQMのソラは、強い。俺はDLCコンテンツを買ってないので、ソラを動かしたことがない。それでもすぐにわかる、強い。

 

何が強いって、「全部が順当に強い」。特別何かに尖っているわけではなく、全部がいい感じに強い。そしてさらに飛び道具・復帰阻止のカウンターと、このゲームに欲しいものを幅広く持っている。それゆえ、俺の中でソラは「SSQMの主人公」の立ち位置にいる。





ファイターの中には、SSQMの仕様に苦しめられているキャラが多々いる。「ずっしり乱闘」で上方向に飛ばないため、メタナイトは得意の即死コンボができない(代わりに横方向の復帰阻止で輝いている)。ピチデはカブのダメージが下がっている(スピリットの攻撃力/防御力上昇はファイターに適応されるが、アイテムには適応されないため)。ダックハントは……ダックハントだ。

 

そんな中、ソラは「QMナーフ」を受けていない。それが一番表れるのが、復帰のときだろう。

 

 

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SPでもかなり変則的で強いソラの復帰だが、SSQMでは手が付けられなくなっている。「ずっしり乱闘」の影響で復帰の挙動が変わってしまっているキャラが多い中、ソラはSPと同じように舞い回るのだ。むやみに崖外に飛び出したくない、崖外のミス一つが命取りなこのゲームで、あのように帰って来られたら誰も止められない。

 

SSQMを遊んだことのない方は、この文章を読んで「…それだけ?」と思われるかもしれない。そんなアナタは、ぜひ第三回女王杯SSQMの会場にコントローラーを持って足を運んでほしい。キーブレードと共に自由に飛び回るソラを、貴方はただただ見上げることしかできないだろう。

 

加えて、これを読んでほしい。

 

運動技能

  • 超能力系ジャンプ - 空中でジャンプを行う際、上昇の初めが遅く、少ししてから一気にふわりと浮き上がるタイプのジャンプ。
    これらは個別に性能が割り当てられており、本人に設定されたジャンプの上昇力に依存しないという特徴を持つ。
    この空中ジャンプを持つファイターは、空中ジャンプの高度が非常に高いという長所を持つが、上昇中に空中回避を行った場合、上昇距離が縮んでしまうという欠点を持つ。
    また、スピリッツなどによって空中ジャンプの性能を変化させる事も出来ない。

ソラ (SP) - 大乱闘スマッシュブラザーズWiki

 

ソラにQMナーフは効かない。偶然か運命か、桜井政博が直々にそのように設定しているのだ。これを主人公補正と言わずに、なんと言おう。

 

 

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さらに、ソラはしっかりとSSQMの恩恵──「QMバフ」も受けている。彼を語るにあたって、あの鮮やかなコンボは外せない。

 

ソラが追加された直後、SPのオフ大会でザクレイが優勝したことは記憶に新しい。ソラという新キャラに対して、多くの人が持っていた「強そうだけど何もない」という印象を一変、「高火力の変則的なコンボキャラ」に仕立て上げてしまった。

 

SPと同様、SSQMでもそれを支えるのが下強と上強だ。相手を軽く上に打ち上げる、お手本のようなコンボ始動技。(個人的には性能だけでなく、モーションもとても王道、『主人公』っぽくて好きだ。下強は正面の相手を薙ぎ払い、上強は頭上を覆い対空にも使える始動技……良い。)

 

SPでも素直で強力な性能をしているこの技。「ずっしり乱闘」がつくことによって、どこまでもコンボが繋がるようになっている。高パーセントであろうとお構いなしだ。

 

SSQMという新たなステージで、自身の長所を更に伸ばして闘う。さらに、技までも粒ぞろいときた。素直で振りやすく撃墜までする空中技、空を舞い遊ぶ復帰、撃墜やコンボに使える飛び道具、復帰阻止に使うカウンター……。

 

しかし、これだけ技能を持っていようと、それだけで「主人公」は名乗れない。SSQMという舞台では。

 

 

 「主人公らしさ」?

 

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対戦ゲームにおいて「全部中くらいはあって粒ぞろい。だけど、尖っていない」。こんな「中堅キャラ」……中堅下位キャラを、あなたは今まで何体見てきただろうか。わかりやすいところで言えば、「昔のマリオ」だ。

 

マリオは多くのゲームにおいて「バランスキャラクター」というデザインだった。良く言えば、ゲーム初心者でも扱いやすい主人公だ。しかし、コアゲーマーからすれば「無難」に他ならない。熱く楽しく対戦ゲームをしようというときに、「よし、今日は無難にいこう!」と誰がなるだろうか。今でこそスマブラで尖り始めたマリオだが、昔は「粒ぞろいの器用貧乏」に過ぎなかった。

 

対戦ゲームにおいて「主人公」と「器用貧乏」は紙一重だ。いくら手の内に色々持っていようと、「器用貧乏」から頭一つ抜きんでる何かを持っていなければ、主人公らしい主人公にはなれない。

 

ソラにとってその「何か」は、右手に持つキーブレードだったのだろう。



 トップキャラである条件

 

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SSQMにおいて、上位キャラになるために絶対に外せない要素がある。撃墜力だ。

無限の上昇力、無法の空中技、無情のコンボ……立ち回りでいくら無双しようと、撃墜できなければ全ては無用。相手がせわしなく動き回るこのゲームでは、いくらダメージを与えようと、撃墜手段が無ければ相手の背中を追い回すことになる。パックマンが良い例……悪い例だ。

 

 

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そのうえで、ソラには強力な撃墜手段がある。「空前二段着地横スマ」。文字通りの単純明快なコンボだが、この上なく強い。空前二段目という立ち回りでも振るような手軽な始動技から、何パーセントでも横スマが繋がる。相手の一瞬のスキを許さずに撃墜に持っていく。ソラの多彩な戦闘を締めくくるこの技こそ、ソラを強キャラたらしめているのであり、俺の中で主人公のように映り続けるのだ。

 

 

 悪寒

 

初戦から主人公と対面することになろうとは。これは強運か悪運か、どちらに転ぶのだろう。しかし、幸いなことに……勝てる。

 

ゲムヲとソラ、これからお互いに研究を詰めたらどちらが強いかなんてのは、まだ分からない。確かにソラは強い。けれども、ゲムヲだって強いんだ。少なくとも今日、いま──この1回戦では、勝てる。

 

試合中にそう確信した。相手の癖や行動は読めた。ゲムヲとソラ、キャラクターの強弱がはっきりする前に、俺の技量で撃ち破ってやる。

 

しかし、そう単純に事は運ばない。いくら小手先の技量があろうとも、対戦ゲーム……勝負事で勝つことはできない。

勝負事は、メンタルが最後に物を言う。

 

 

 

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「キャラクターが思うように動かない」。

 

 

オフ大会の本選、誰しもがいつかどこかで感じたことのある、あの悪寒。

 

違う、そこの確定反撃はそうじゃない。それは安い。

そこは大技を狙わないで、確実に取れるダメージを獲ったほうがいい。

 

──自分のプレイを、自分で否定しながら操作する。より悪循環に落ちていく。

頭では違うと分かっていても、それを指先に伝えられない。

「早く勝負を決めたい」「ここで撃墜して勝ってしまいたい」、緊張と欲望が入り混じって生まれるその情緒に、振り回される。

 

 

 

スマブラSPが発売して3年。オフ大会に日頃通っているプレイヤーたちにとっては、過去の苦悩だろう。初戦で緊張なんて、可愛いものだ。しかし、俺は長らくこの土俵に立っていなかった。勝負の感覚を忘れていた。指先が震える。こんなとき、SPのプレイヤーの俺、ネバダさんはどうしていたのだろう。ダメだ──勝てない。

 

気が付けば、1戦目を取られていた。SPで負けるときも、いつもそうだった。

「気が付けば」……

 

しかし、動揺に苛まれる中、ある言葉を思い出す。

 

「攻めたほうが悪い」。

 

SPをやっていた頃、負けそうになるたび自分に唱えていた言葉だ。

俺は、SPとは究極のところ「攻めた方が負ける」ゲームだと考えていた。上手い人がやるのは「攻めるフリ」であって、結果相手を「動かして」「攻めさせ」ている。けれども、俺は上手くないんだ、攻めるフリなんて上手にできない。ならば──「攻めたほうが悪い」。

 

この信念は、果たして正しかったのだろうか。SPから身を引いてしまった今となっては分からない。それでも、俺は四国でずっとこれで戦ってきた。そして一戦目を獲られてしまった今も、これしかない。

 

緊張と不安に足を持っていかれぬよう、古き信念にすがりついて始まる二戦目。「攻めたほうが悪い」。試合中にこれを考え続けたら、一転して気が楽になった。肩の重荷が下りたように。

試合の展開を、攻めで考えない。全て守りで考える。こちらから相手に寄るのではなく、相手を引きながら寄せ付ける。勝てなくても、負けなければいい。

試合の中で、自分の戦い方を思い出した。

 

 

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勝った……。あの一戦目から、よく二本獲り返したものだ。気が抜けるように大きく一息ついて、 seem くんに挨拶する。

 

そのときにふと見えたものを、俺は今でも忘れない。

seem くんの指先は、まだ震えていた。



 

 いよいよ、

 あの舞台へ。

 

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ネバダからキマした。……さん、配信台です」

 

手元の端末を見ながら、呼びづらそうにスタッフさんが言う。

 

来た。いよいよあそこに座れる。俺のゲムヲを、SSQMに知らしめる。配信台でプレイしたくて、ずっとウズウズしていた。

大会が始まる前、「配信台、誰にしよう。『我こそは配信台』って人いますか~?笑」とスタッフさんが募っていた。周りのプレイヤーたちは笑い流していたが、俺はその間、瞳孔が開くのを感じながら震える手を抑えていた。

 

いざ舞台の下に行くと、やはり、、すごい。圧巻される。巨大なスクリーンにずらりと並ぶ87体のキャラクター。実況解説の二人が座るのはシャレたソファー。対戦モニターの脇には、Go*roなんかじゃない、立派な「撮影用のビデオカメラ」が取り付けられている。

 

しかし、これだけ立派に飾り立てられている舞台でも、意外にも一つ欠けているものがあった。

 

緊張感だ。

 

──違う、「会場や大会の締まりがなく、力が入らない」という無礼な意味では断じてない。待ちわびた女王杯の開幕に、会場の熱は最高潮に達していただろう。実況解説の二人も、笑いあり叫びありの、気迫に満ちた喋りで試合を彩っている。スマブラプレイヤー── "e-Sports 競技者" であれば一度は立ちたい、最高の舞台だ。

 

ただ……「俺が緊張しなかった」のだ。

 

 

 俺の中にある

 「配信台」

 

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思えば、俺が一番お世話になった、言うならば「ホーム」のオフ対戦会場──ブックオフアリーナでは、いつも誰かがそばにいた。スマブラをするときは対戦相手が、ボードゲームをするときは同卓相手が、休憩するときは話し相手が。

清潔感と開放感を醸し出しながら、決して狭くはないが広すぎない、ほどよい広さのあの空間。そんな場所で大人数集うオフ対戦会が開かれようものなら、常に隣にプレイヤーがいた。フリーをしてるときも、観戦してるときも。そんな空間で一緒に夜までスマブラをしていれば、帰る頃には全員顔見知りだ。

 

 

 

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引用元:

https://twitter.com/smash_tenkai/status/1301827513056817152?s=20&t=-Dk2DKGTfsJm8fjZaSIt8Q

 

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その距離感は、配信台とて例外でなかった。配信台の画面は、60インチは超えるであろう大画面。その前に観戦者たちが所狭しと座る。大画面の両脇にそれぞれ一台ずつモニターが置かれていて、プレイヤーはそれを挟んで向かい合うように座る。俺は向って右側に座るのが好きだった。

 

つまり、観戦者とプレイヤーの距離がとても近いのだ。自らのプレイが湧き上げた喝采は、全て左耳をつんざく。撃墜をすれば歓声が上がり、ミスをすれば悲鳴が漏れる。自分がプレイしてる真隣で、大勢の人間から。会場で上がる大きな声量と共に、観戦席の熱がプレイヤーの肌に直に伝わる。それが俺の初めての配信台であり、何年も座り続けた場所だ。

 

昨年、閉店してしまったブックオフアリーナ。それでも、あの空間・あの配信台は、俺の中でずっと特別な場所──ホームであり続ける。今でもゲーム中にふと顔を左に向ければ、あの歓声と笑い声が聞こえてくる。

 

 

 

 

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今は無き四国の舞台に思いを馳せながら、観客席を見下ろしてみる。

 

──遠い。

周りの人たちがとても遠くに感じる。

 

確かに観客はスクリーンを見ている。実況解説は俺と対戦相手のことについて話している。けれども、、みんな、離れている。「圧」を感じない。

おかげでさほど緊張せず、いつも通りでいられた。これは好都合だ。

 

けれども、あの配信台の雰囲気はもう味わえないのだろうか──そう考えると、どこか寂しさのようなものを憶えた。こんなに立派な舞台の特別席に座れているのに。

 

しかし、今は勝つしかない。気を引き締め直すべく、モニターの脇に置かれたコーラを握り、ひと飲みする。

 

東京のオフ大会の配信台に座ったら、絶対にやりたいことがあった。

…こんなに良いカメラを使いやがって。

モニター脇のカメラに目線を送り、決めポーズをキメる。

 

 

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今、四国のみんなが絶対に応援してくれている。……もしくは後で録画を観てくれる。数百人が見守る配信でこんなポーズをしてしまったからには、おめおめとこの舞台を下りるわけにはいかない。皆、見ていてくれ。

 

 

 参上、

 SSQMカービィ

 

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対戦相手はカービィを使う wawon くん。カービィについては……何もわからなかった。一年前にSSQMを始めたあの日、友人が数戦触って「つえ~~良い感じ!」と言ったっきりなので、強くて良い感じだということしか分からない。なので、とりあえずSPのカービィと同じように戦うことにした。

 

「強くて良い感じ」の意味が分かるまでに、さほど時間はかからなかった。試合が始まりゲムヲがダメージレースで先行する。が、カービィは重めのコンボ一発ですぐに追いついてくる。なんでも繋がる空下から始まり、連打可能な上強と「ずっしり乱闘」が非常に良くかみ合っている。64カービィのようなお手玉で、みるみるダメージが重なっていく。

こうなったらゲムヲがやることは一つ。

 

カチャカチャカチャカチャ……‼

 

九死の上Bの連打に、救助隊が駆けつける。わずか3Fで。無敵フレーム付き。

この策士の策略により手痛いダメージを受けずに、なんとかコンボを抜け出す。しかしまあ、ゲムヲじゃなかったらどうなっていたんだろう……



 

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カービィでは「SPと同じように戦う」という戦法が偶然にも功を奏した。確かにカービィは強い。特筆すべきはやはり空下。SPでは強攻撃や、せいぜい掴みにしか繋がらないあの技が、なんとしっかりスマッシュ攻撃に繋がる。絶対に当たりたくない始動技だ。

されども絶大な「QMバフ」が付いたとて、弱点はSPと変わらない。「真上から差し込まなければならない」、「発生がさほど速くない」。上方向への判定がすこぶる固いゲムヲにとって、上からの差し込みほど対応しやすいものはない。さらに、「発生がさほど速くない」に加え「ジャスガのタイミングが単調になってしまう」という点もある。一度空下を入力してしまうと、その後からディレイをかけることなどはできない。最終段のタイミングは必ず一定でかつ遅い。ジャスガを取ってしまえば、あの恐ろしい空下だって確定反撃だ。

 

試合冒頭は、俺のゲムヲが「SP的優位」を取っていく。カービィの上からの差し込みに対して、SPのように反撃を取り続けた。SPのプレイヤーだった頃の感覚を呼び戻し、手癖で対処していく。

 

このままいけば、勝てる。

 

しかし、今日俺たちが競っているのはスマブラSPではない。試合を進めていくうちに、クイーンメトロイドが牙を剝く。

 

──上Bが間に合ってない……!?



 

 異変

 

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カービィが空下で着地して、そのままガードしている。上Bで飛び上がるゲムヲと入れ違いに。

考えられない。あのなんでも跳ね返してた上B。空下なんて「見てから反撃」の筆頭だ。「着地隙減少」はダテじゃない。

 

フレーム上、厳密に上Bが間に合ってないのかは分からない。もしかしたら、ただ猶予が小さくなっているだけかもしれない。それでも、SPの感覚でいくと間に合わない……!

wawon くんは、場数を踏んできた勝負師なのだろう。すぐさまそのことに気付き、立ち回りを変えてくる。上手いプレイヤーは、いつだって敵視点で試合を見ているものだ。

俺も慌てて「ジャンプ潰し・ジャスガ狙い」に切り替える。これまでやっていた立ち回り「安全なシールドの中から、空下を見届けてから反撃」とはワケが違う。ジャスガに失敗すれば、待ち受けるのはあの空下だ。一度のミスでストックを搔っさらわれるかもしれない。リスクが一気にうなぎ上りだ。震える。これがクイーンメトロイドの力か。



途中、SSQMの沼に足を取られそうになったが、なんとか逃げ切るように勝つことができた。試合が長引いていたら、危なかったかもしれない。肩から力を抜いて、カメラに向かってまた決めポーズをした。

 

 

 

上Bが間に合わなかったのは、全て俺の錯乱に過ぎなかったのだろうか。それとも、本当にあのゲムヲの上Bが相対的に「QMナーフ」を食らっているのだろうか。理屈で考えれば、おかしなことではない。ゲムヲ使いとしては考えたくない事態だ。考えたくはないが、もしそうであるのなら……

 

SSQMは、攻めが強くなっている革新的なゲームだ。



──「攻めなかった方が悪い」。

 



……

 

内容はともあれ、配信台でストレート勝ち。波が来ている。今日の俺は、大会をゲムヲで荒らしに来た悪党なのかもしれない。

しかし、悪党は一人だけじゃない。それでも、党首はいつだって一人だけだ。

 

 

 立ちはだかる、

 ダイヤルカズヤ

 

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次なる対戦相手は、ダイヤルく……うわっなにこの人オシャレ。

一見すると、チャラめのファッションだ。ちょっとイカついアクセサリーを身に着けてはいるが、全体的には落ち着いた色合いだ。根の優しさ・人柄が節々に滲み出ているように見える。穏やかな話し方からも、それがさらに伺える。

 

どのオフにもいるんだなあ、こういうステキなオシャレ兄さん……四国にもいたっけか……。

昔の顔ぶれをちょっと思い出しながら、自分の黒チノパン白ワイシャツに目を下ろす。

 

使用キャラはカズヤだという。感心したのもつかの間、それを聞いた途端ふと冷たい直感が過る。

こいつ、ヤバいかもしれない。



 

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「QMバフ」の肝は、「空中攻撃の着地隙減少」だ。SPでは隙が大きくて強気に振れなかった空中技を、立ち回りやコンボでバンバン振れるようになる。一方、地上攻撃の硬直に変化はない。よって、空中技をあまり振らないキャラクターは恩恵を受けづらい。それがカズヤだ。

しかし、空中技強化を捨てたカズヤには、代わりに大きな追い風がある。「ずっしり乱闘」、相手の空中落下速度上昇だ。ソラ、カービィ…ここまで見てきたように、相手が飛びにくい分、このゲームのコンボはどこまでも繋がる。

 

立ち回りの大幅強化を捨て、コンボ一辺倒。そのように特化した尖ったキャラを使おうなんてプレイヤーは、よっぽどやり込んでいるに決まっている。

 

そんな危険なニオイを感じ取った。しかし……第一回戦のソラのときと同じように、またもや相手のキャラクターの対策がわからない。DLCコンテンツを買っていないので、技すらわからない。「使い方」くらい観ておくんだった~……。

次々と初見の強敵が立ちはだかる、まるで勝ち上がりのボスラッシュのようだ。



 

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しかし幸いなことに、格ゲーキャラに対してのゲムヲは相場が決まっている。全ゲムヲ使いが知っていることだ。時々しゃがんで攻撃を避けながら、コンボに対しては……そう、上Bだ。一度跳んでしまえばこちらのもの。上Bで逃げるゲムヲに追いつける格ゲーキャラはいない。

「格ゲーキャラに対してゲムヲはガン有利」、それが俺の現役時代の常識だった。しっかり堅く立ち回れば、カズヤのコンボなんて──




えっ なんかダウンさせてくるんですけど 上Bできませんやん

えっ なんかスタンさせてくるんですけど 上Bできませんがな

えっ なんかこの小突き、しょぼい見た目に反してガー不なんですけど 上Bできませんよ

えっ 向こうのガーキャン上Bは死にかけるんですけど

えっ なんかコンボ中に上スマチャージしてくるんですけど

えっ カズヤ赤いんですけど

えっ なんかカメラがズームして巴投げで吹っ飛んだんですけど かっけぇ



えっ なにこれ?



カズヤがわからない。わからなさすぎて、ルーザーズで当たった別のカズヤ Hope くんにも驚かされた。なんか…DXのカービィの後ろ投げみたいな技で一瞬でストックが消え散った。あまりに驚いて、腹の底から驚嘆の声を上げてしまった。

 

聞きたいことが多すぎる。質問が山ほど湧き上がる。が、まずはなんとか一つだけに絞って、ダイヤルくんに落ち着いて聞いてみる。

 

「カズヤが赤くなるの、なに?」

 

あのときの彼の「……?」な顔を、俺は忘れない。



俺の背景を説明して、ようやく質問を飲み込んでもらえた。一つ質問したら二つ返してくれるように、わかりやすく丁寧に教えてくれた。そっか、赤くなるとヤバいんだね。本選中、それも対戦相手にありがとうね。

 

しかし、質問の二つや三つで党首を獲ることはできない。

俺のゲムヲは、カズヤの手によって無慈悲にルーザーズの崖へと突き落とされた。

 

 

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そんなわからないカズヤだが、一つだけわかったかもしれない事がある。

このキャラクター、SSQMの方がバランスが良いだろう。

 

ガー不・ダウン・スタン……こんな技、SPの限られた機動力で振られたらひとたまりもない。QMバフでこちらも自由に動き回れるから、まだ許せる。「当たったほうが悪い」と言えそうだ。

さらにあのガーキャン上B。「ずっしり乱闘」であんなに飛ぶのなら、SPだったらストックが一つ溶けてる訳だ。恐ろしすぎる。

 

 

ソラの躍進、カズヤの均整……。

DLCコンテンツは、桜井政博がSSQMの襲来を見こして生み遺したキャラクターたちなのだろうか。その幻惑をさらに加速させる帝王が、この後炎の中から現れようとは。



 

 問題児、

 ロックマン

 

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ルーザーズ。初戦からまたもやカズヤに当たり動揺するが、ダイヤルくんに聞いた知識を活かしなんとか勝ち上がる。

まったく、どいつもこいつもやらしいキャラばっか使いやがって。今日はゲムヲの救助隊が忙しい。

 

次に立ちはだかるのは、ロックマン



──ロックマン



俺のブログを読んでくださってるアナタには、戦慄が走ったかもしれない。……読んでないから戦慄が走っていないかもしれない。過去の記事でも説明したが、ロックマンはSSQMの「3弱キャラ」だった。文句無しの。

 

SPでは高く上昇していたソニックロックマンの上必殺技が、全く跳ばない。ダックハントに至っては使うと滞空し、なんなら少し落ちてしまうという有様である。

 

この3体はキャラクターとして機能していない。

SP──"Special" の向こう側へ。【スマブラ SSQM】 - 下投げ横B

 

 

……そんなロックマンが、ルーザーズ準決勝目前まで駆け上がっている。一体どういうことだろうか。

 

 

心して聞いてほしい。ロックマンは今、SSQMで

 

飛ぶようになった。

 

飛ぶというのは、比喩表現ではない。

ロックマンはこのゲームにおいて、無限ジャンプを手に入れた。

 

 

 

 

詳細は省くが、大まかな仕組みとしてはこうだ。「空中でラッシュコイルを連続で踏み続けることによって、空中ジャンプと上Bを復活させている」。

 

崖外で、好きなタイミングで空中ジャンプと上Bを得ることができる。はっきり言おう。狂気だ。狂っている。

 

 

 狂ったキャラクターたちに、

 狂わされるゲーム

 

「SSQMはSPのオマケだ」と思っている人がまだいるのであれば、聞いてほしい。あなたが知らないうちに、SSQMは、既に別のゲームへの領域に入っている。根拠を3つ挙げよう。

 

 

 

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①戦闘中における展開の違い

確かにSPとSSQMは、ゲームシステムを共有している。掴みボタンを押せば同じ掴みが出るし、ガードボタンを押せば同じガードが出る。受け身だって変わらない。「スピリットを付けた途端、新たな受け身の種類が追加される」なんてことはない。しかしながら、「受け身展開が発生する場面・頻度」が決定的に違う。

 

SSQMでは、ベクトルが低くなったことによって受け身展開が増えている。*3さらに、ゲームスピードが上がっており、受け身がさらに難しくなっている。SPでは滅多に起こり得ないような場面──立ち回りやコンボの中でも、受け身展開が起こるのだ。

これによって、SSQMではプレイ中に考えることが一つ多い。受け身の準備だ。コンボを受けているときでも、ニュートラルであっても、突如始まる受け身展開を、頭のどこかでSP以上に気を張り詰めて備えていないといけない。意識の外から飛んできた受け身展開、失敗して待ち構えるのはクイーンメトロイドの覇気をまとったコンボだ。

 

試合の大部分の時間において、新たに考えることがある。立ち回りや試合展開にも大きく影響する。これほどゲームプレイに違いがあれば、俺なら同じゲームとは考えずに対戦に挑む。



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②キャラランク・メタの違い

 

「対戦ゲームにおける、盛衰の指標となる中枢」とは何だろう。ゲームの売上本数?e-Sports としてのプレイヤーの数?観客の数?対戦ゲームの中枢は、そんな外的要因ではない。ゲームの核となるキャラクターたちが作り上げる、メタだ。今日遊ばれているタイトルの多くは、メタが進化し続けている。

スマブラシリーズの例を見てみよう。前作、「スマブラfor」。SPには及ばないものの、 このゲームのコミュニティだって膨大だった。ウメブラとなれば配信も掲示板も大盛り上がり、世界大会に足を運ぶ日本人プレイヤーも多くいた。現在のSPの競技シーン・コミュニティの土台となった for の功績は計り知れない。しかし、それほど人気だったゲームも今では全く遊ばれない。何故か。それはメタの進化が止まってしまった──死んでしまったからである。

ここで詳細を書くつもりはないが、for経験者であれば語らずとも頷いてくれるだろう。あのゲームは、強キャラたちは強キャラで居続け、弱キャラは下に居続ける。仮に今からいくら研究しても動くことはないだろう。ゲームが完全に止まってしまったのだ。歪な形のまま。

「新作が出たから遊ばれなくなった」というのは根底の原因にはならない。64とDX、スマブラというシリーズだけでも2作もが証明している。発売から20年以上経った今でも遊ばれ続け、今でもメタ──ゲームが進化し続けている。

 

では、SSQMはどうだろう。これが現在、第二回女王杯SSQMを受けての暫定キャラランクだ。

 

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これを作ったのはキクノくん、、リーダーだ。(俺が彼をこう呼んでいる理由はまた後述する。とにかくリーダーだ)

リーダーはこの大会でも準優勝という結果を収める実力の持ち主。大会の前日には持ちキャラのゼロサムを開拓・練習する配信をし続け、なんと大会の翌日にも意欲の炎を絶やさず開拓配信をした。…「最弱キャラを救いたい配信」、ダックハントの。

配信内容、そして実績から見て取れる。彼のSSQMに対する愛と実力は本物だ。

 

しかし、あくまでこのキャラランクは、その実力者が「彼が今見えているSSQMの世界の中で」作ったものに過ぎない。このランクを作る配信でも、彼は「とりあえず」一旦これで皆に提出しよう、と締めくくっている。SSQMというゲームは、まだ始まったばかり。メタなんてまだ誰にも分りようがない。

このランクの下部を見てほしい。下に溜まっている大量のキャラクターたちは、全て “idk” 「何もわからない、未知数」なのだ。「とりあえず」作り上げたキャラランクに、これだけの「未知数」がいる。それがこのゲームの可能性の広大さを示している。

次にキャラランクができるときには、これらのキャラクターが上位を陣取っているかもしれない。

 

……待てよ、ゲムヲがAランク?

リーダーおめぇ俺と対戦してねえじゃねえか!貴様のSにゲムヲをねじ込んでみせる。

 

でも正直、ちょっとわかる……。

 

上位のキャラクターたちだって、決して定まったわけではない。そんな状態にはまだほど遠いだろう。言うならばこれは、SPの発売直後に ZeRo が発表したキャラランクのようなものだ。「世界一のプレイヤーでさえ、最初期はメタの動きが予測できない」。彼はそれを証明してしまった。ZeRo が発表した当時のSP最弱キャラ、その中にいたのはMr.ゲーム&ウォッチだった。

 

 

SSQMには、まだ見ぬ未参戦のキャラ、新キャラが何十体といる。そしてそのメタ・キャラクターの強弱は、SPと関係せず独立している。「SPで弱いキャラクターは、SSQMでも弱い」という相関は成り立たない。逆も然りだ。配信台で暴れ回るカービィを見てほしい。無限の可能性を秘めているリトルマックはどうだろう。(※前回のSSQMの記事参照)ダックハントは……がんばれ。

 

ゲームが異なれば、メタの育ち方も異なるのだ。

 

 

 

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③SPの枠を外れたキャラクターたち

 

SSQMは日々進化し続けている、未来に溢れたゲームである。それを体現したのがロックマンだ。前述したように、彼は最初期「間違いなく3弱」と言われていた。そのように言われていた理由を知れば、誰だって納得するだろう。しかし、それが今では一気にメタを駆け上っている。SSQMの可能性を象徴するキャラクターだ。

 

ロックマンは今や、ただ強いだけではない。スマブラシリーズ全作を通して類を見ない、唯一無二のキャラクターとなったのだ。今でこそ丸くなってしまったが、過去のスマブラには「異端児」が数多く存在した。ハイラル神殿の端から端まで飛べるキャラクター、空上の発生が2F全体14Fのキャラクター、一度掴めば永パなキャラクター、それをも凌駕するトップメタのキャラクター……。様々な問題児を生み出したスマブラシリーズだが、「自身単体で無限に上昇できる」キャラクターは過去に存在しない。(スネークは上バーストしてしまうため有限である)そのうえ、ここでは分かりやすく「無限に上昇」と表現しているが、正確に言うならば「無限空中ジャンプ持ち」だ。他にそんなキャラクターがいるはずがない。そしてそのように枷の外れたキャラクターが、桜井政博の保護監視の下で現れることは断じてない。

SSQMは、「パーティーゲーム」として作られ護られているSP──今のスマブラから、一歩外に抜け出すことのできる別のゲームだ。

 

*4




 Gigabasu ロックマン

 宿命の対決‼

 

 

第二回女王杯SSQMを象徴するこのロックマン。対決できるなんて光栄だ。ただ──貴様と会うのは、あの舞台の上だと思っていた。

 

フリーで共に何戦か楽しんだ Gigabasu くんと、そんな笑談を交わしながら試合を始める。



 

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ロックマンだが、体感SPより戦いやすい。QMバフで機動力が上がっているので、ゲムヲであっても強気に差し込みに行ける。ロックマンのガーキャン行動が強くないのも幸いしている。どうしても飛び道具に押され負けて受け一辺倒になってしまうSPより、柔軟に戦える。確かにロックマンの差し込みの要「燃える鉈」こと空前は強靭だが、対するゲムヲの燃える救助隊「ファイア」は神速だ。

 

復帰阻止に関してもゲムヲは強気に出られた。あの空飛ぶロックマンであっても、どこまでも跳んでくるゲムヲのねばちっこい復帰阻止は侮れない。他の多くのキャラは、遥か彼方に飛んでいくロックマンを崖から見上げることしかできないが、ゲムヲは跳び出してくるのだ。またもや救助隊の力を借りて。

 

天下無敵とも思えるロックマンの無限上昇だが、止める手段が一つだけある。「ロックマンがラッシュコイルを出した直後に妨害して、再度踏ませないこと」だ。そうすれば空中ジャンプも復活せず、成す術なく落ちていく。

この理想の復帰阻止を決めたときのあの快感。誰でもできるわけではない、選ばれたキャラクターのみに与えられた特権、剣。……ゲムヲの場合は、亀。

これだからゲムヲは止められない、SSQMでも。

 

 

しかし、いくら幾分かは戦いやすくなったとはいえ、相手はただのロックマンではない。SSQMの3弱キャラをここまでのし上げた、熟練のプレイヤーが動かすロックマンだ。文章ではいかにも簡素に説明しているが、実際にやるとなると、この無限上昇の操作難精度は半端じゃない。涼しい顔をしながら、それを何度も崖外でやってみせる。戦闘中に。こいつも、やばい。この精度に達するまで、どれだけ練習してきたのだろう。

そんな狂──超人のプレイスタイルは、やっぱり堅い。

 

強い。やっぱり強い。俺は押され気味だった。


試合中ずっと「押され気味だな」程度にリードされながら、そのまま負けてしまう。それが「対戦相手が堅い」ということだ。

【スマブラ高知県大会】第4回きゃくブラ日記 - 下投げ横B

 

 

終始横並びの戦いに見えたものの、一戦目を取られてしまう。ダメージやストック数だけを見れば、一見均衡した「惜しくも負けた戦い」だろう。しかし、俺には分かっていた。分からされていた。

このままだと、勝てない。また同じように戦えば、リスクを取らせないままジリ貧で負ける。

 

次はもっとゲムヲの強みを押していこう。とにかく復帰阻止だ。絶対にステージに戻させない。ガンガン圧をかけてやる。ロックマンの復帰力は異次元だ。そりゃそうだ、無限空中ジャンプ持ちだぞ。しかし、先述したように完全無欠というわけではない。弱点はある。弱点が見えているなら、攻め続けるまでだ。幸いゲムヲは、そこを突ける数少ないキャラクターだ。

 

 

 ゲムヲの

 「圧」

 

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決死の覚悟を抱えて迎える二戦目。一戦目と同じように、展開は均衡していた。しかし、今回は先ほどと一味違う戦いを見せられた。

 

堅い相手に、堅く行っても動じない。ならば圧をかけるまでだ。

 

多くのキャラクターが持つ圧力とは、ガン攻めだったり強力な飛び道具といった、画面に表れる「圧」だ。しかし、ゲムヲの圧は一味違う。あなたもゲムヲと対戦して、一度は感じたことがあるのではないだろうか。画面には出ない、不気味な圧。自分が負けているわけではないのに、ゲムヲの漆黒を見ていると胸のどこかから湧き上がる「何かあるんじゃないか……?」という拭えぬ不安感。

ガン攻めに振り回す剣もなければ、チャージできる飛び道具もない。しかし、ゲムヲには他のキャラクターたちにはない独特な技がいくつもある。飛び道具を吸収し莫大な破壊力で返すバケツ、無敵で全てを吹き飛ばす上スマ、当たればストックを搔っさらう一発逆転の運試し……。

「壊し」。絶対に喰らいたくないものだ。格闘ゲームにおいて、これほどプレイヤーの心を揺るがす──壊すものはない。

 

堅く立ち回りながら、しかし時折それを見せつけていった。ロックマンのチャージ横スマの癖を読んで吸収したり、起き攻めに一点読みの強気なジャッジを当てに行ったり。

お互いの緊張が最高潮に達したラストストック、待ちに待ったその時が訪れる。

 

復帰阻止だ。

 

 

ロックマンが画面の右下から上昇し始める。

ステージと同じ高さまで飛んできたとき、それがチャンス。ゲムヲの空後、亀でバーストラインに押し込んでやる。

 

来た……!

 

ゲムヲが勢いよく走り出し、崖に背を向けてジャンプする。良い踏み切り。飛び出すタイミングは完璧だった。あとは相手を亀で叩きつけるのみ。

 

しかし、 Gigabasu くんも同じくずっと待ち構えていたのだろう。爪を隠しながら

そして、思ったのだろう。

 

「来た……!」

 

俺のゲムヲは、画面端のロックマンと共に昇り迫る竜巻に巻き込まれ、振り向きざまに放たれるスラッシュクローで切り刻まれた。

その行く先は、ロックマンが飛ばされるはずのバーストラインだった。

 

 

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一瞬の出来事だった。勝ったと思った次の瞬間には、負けていた。刹那だ。

崖外で飛ぶだけでは飽き足らず、まだ隠し持っていたのか、貴様。不利状況からあれほど華麗な反転攻勢を決められる。なんて面白いゲームなんだ。

 

最後に敗けるのがまさかあの、あのロックマンだとは。一年前は足元にも見ていなかったキャラクターなのに。「武者震い」とはこのことなのだろうか。敗けたのに、興奮が止まらない。開戦から敗退までもが面白い大会、女王杯SSQM。

 

こうして俺の女王狩りの野望は散った。しかし、池袋の地下の熱気はまだまだ収まらない。



 

……Gigabasu くんの竜巻空後、初見殺しで最初は皆さぞかし驚かされた。ただ、あまりに初見を殺め過ぎて、会場中が知っちゃったんだろうね。

サブイベントの配信台で Gigabasu くんが吹っ飛ばされたとき、会場中から「行くな!!!復帰阻止に行くな!!!!」って悲痛の声が上がってた。

 

復帰阻止に行くなって、なに……?

いや、でも確かにその通りなんだよな……

 

俺にはSSQMというゲームがいよいよ分からなくなってきた。

 

 

 昇天スピンキックと「あの頃」

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第二回女王杯SSQM。この熱戦を勝ち上がり優勝したのは、 DoubleA くんの格闘Mii だ。「格闘Miiがオフ大会で大暴れして優勝」。その言葉を聞いて「あの頃」を思い出した人もいるのではないだろうか。

 

そう、その一昔前、前作のスマブラforでも同じように格闘Miiで大会を荒らし、優勝を勝ち取った男がいた。DoubleA くんの格闘Miiは、その大会と同じように──その時を写すように昇天スピンキックで暴れまわった。64のような抜けられない上強お手玉から始まり、forのようなキックで締める。

 

皆はどのような気持ちであの決勝戦を観ていたかはわからないが、俺は懐かしさを感じた。スマブラに熱中していた、あの頃の気持ちを思い出させてくれた。こもすこ

 

観ている観客に、プレイを通じて熱い気持ちを沸き起こさせる。俺もそんなプレイヤーになりたいよ、 DoubleA……

 

 

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一方、隣でボコボコにされていたキクノリーダーは思わずこのポーズ。

わかる。

 

 

 

 

 

 勝負の幕間

 

トーナメントが終わり、緊張感から開放されたプレイヤーたち。熱狂の戦場から一転、会場は和やかな雰囲気に包まれた。そこで皆で笑談しているとき、カズヤ使いのダイヤル君が言っていた。

「こんなに楽しくて和気あいあいとしたオフ大会、他にはないですよ。」

「他は良くも悪くも『e-Sports』って感じです。」

 

確かに。この雰囲気は、ブックオフアリーナ、四国のオフで感じたものだ。参加者皆が仲間、友人というムード。

さらに、女王杯ではそこに二つの味が加えられていた。

一つは「絶対に勝ちたい」という緊張感。SSQMという新たな世界での頂点を決める大会。対戦相手全員から気迫や決意が感じられた。ステージ選択のときは手を震わせ、試合に敗けたときはうつむき塞ぎ込んでいた。「なんとなく戦ってる」というプレイヤーが一人もいない。

 

なぜそれほどこの大会に本気になれるのか、魂を込められるのか。二つ目の味、「参加者たちが心からSSQMが好き」。

皆、開幕から解散まで興奮しっぱなしだった。自分がプレイしていないときも配信台の試合を見て応援し、ときには非情のコンボに悲鳴を上げた。

SSQMは、皆にとって何もかもが新しいゲームだ。すべての立ち回り、すべてのコンボに新鮮さを感じさせられる。それを大画面で観ながら皆で応援すれば、希薄になり忘れかけていたあの感覚が呼び起こされる。小学生の頃、ランドセルを放り投げ友達の家で集まって新作ゲームを遊んだ放課後……。

 

そりゃ楽しいに決まっている。ダイヤルくんが「トーナメントに負けたのに面白かった」と一見相反したことを言っていたのも、何ら不思議ではない。

 

 

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ここまで堅い本選の勝負ばかり紹介してきたので、和やかなフリーの話をしよう。

ここで貴方に一つ質問がある。日頃スマブラオフに参加する貴方は、フリーで出会った対戦相手の顔やプレイヤー名をどの程度覚えているだろう。思い出そうとしてみると、「試合内容やキャラクターは覚えているのに」ということが常なのでは。ゲームの対戦会なので、試合内容ばかりを覚えてしまうのも仕方がない。しかし、その逆は滅多にないのではないだろうか。「キャラクターは忘れたけど、対戦相手の顔や名前は覚えている」……。

 

これは、スマブラの全87キャラのように個性的で、俺の記憶にこびりついて離れない男の小話である。

 

 

 SSBMの者

 

俺、ネバダからキマした。は誰でもフリーに誘ってしまうタチである。四国4県の代表選手たちによる「四国リーグ」の決勝の日でも、本選直前の徳島代表を気軽に誘ってしまった……という逸話がある。*5

目の前にモニターが並んでいて、プレイヤーが歩き回っているのであれば、対戦しない手はない。「目と目が合えばポケモンバトル」とはよく言ったものだ。

 

多分その男も、暇を持て余した俺が誘ったのだろう。たまたまそのとき目の前に立っていたのだろう。適当な台を選んで、席に座らせた。

初対面の相手には、まずは名を名乗るのが礼儀だ。お互いにまずはプレイヤー名を紹介して──……。

しかし、女王杯ではどういうわけか名札が準備されていなかった(てんぷらちゃんさん次回はお願いします。)ので、名前が全く聞き取れない。おそらく相手もそう思っていただろう。

そりゃそうだ。突然「ネバダからキマした。と申します」なんて長ったらしい名前を名乗る男に対し、「ネバダからキマした。さんですか~!ステキな名前ですね!」と咄嗟に飲み込める人はそういない。

 

そこで俺は、キーコン設定の画面を相手の名札として確認することにした。その男は、全く聞き取れない名前を名乗った後に、このようなキーコンを作り始めた。

 

 

絶望

 

 

ロック過ぎるだろ……。



「『絶望』っていうプレイヤー名なんですか……?」

 

俺は聞かずにはいられなかった。

 

「いや、『絶男』っていうんですけど、キーコンの漢字変換が面倒で。」

 

なるほど。ん?待てよ。

「絶の男」……。すぐさまピンときた。

 

「もしかして、DX勢ですか?」

 

その男、絶男は驚いたように、そして嬉しそうに頷く。

 

大盛況の阪神応援席の中、偶然にも二人の巨人ファンが出会った。



 

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俺はスマブラDXこと Melee が大好きだ。このゲームに関する知識量は人一倍あるだろう。観戦だって欠かさない。挑戦者の赤ヨッシーが王のシークに崖待ち卵をしたときは手を叩いて笑い、アイクラに投げ連されながらツイートをし、プリンにガン逃げされたときは蟹を投げた。for をやりながら、SP をやりながらもずっとDXも追い続けてきた。動画勢……エアプとして。

国内ではDXの魅力が伝わりきっておらず、滅多にいないDX勢。まさか、令和に生きる実物を見られる日が来るとは。それもSSQMの大会で。

 

聞くと、絶男は10年以上DX勢として闘っていると言う。ProjectM や Brawl Minus といったMOD勢ではなく、純血のDX原住民だ。

「Xが発売したとき『DX派かX派か』で揉めたでしょう?」

そんな細かすぎて伝わらない「あるある」を言い合いながら二人で笑った。

 

だから、画面に映ったSSQMの対戦内容は全く覚えていない。ただ覚えているのは、絶男が「フォックスの下Bの直後にジャンプ」をしまくって、俺が指をさして笑っていたことだけだ。

 

女王杯SSQM
第二幕、開幕。

 

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そんな和やかな雰囲気の中、さらに和みユルく盛り上がるサブイベントが始まる。SSQM、クルーバトル。

クルーバトルとは、団体戦の形式の一つ。小学校の休み時間のドッジボールのように、リーダー二人がジャンケンをして、欲しいメンバーを一人ずつ挙げていく。

俺はクルーバトルというものが初めてだった。SSQMの大会も初めてなのに。あまりの面白そうなイベントに、心がウキウキしっぱなしだった。

 

「サブイベントに参加する方は舞台の下にお集まりください~」

 

スタッフの声とともに、ずらっと人が集まる。会場にいたプレイヤーたち、一人残らず。全員参加。そりゃそうだ。

トーナメント優勝者の DoubleA くんと、準優勝の キクノ くん二人がリーダーとなって、舞台の上から一人ずつ指名していく。

 

あの二人は、俺……ネバダからキマした。のことを知ってくれているのだろうか。そして、チームの戦力に欲しいと実力を買ってくれるのだろうか。まだメンバー決めだというのに、既にワクワクとドキドキが止まらない。

最初は実力者たち、大会上位の人から選ばれていく。

 

早く呼んでくれ早く呼んでくれ──。

 

組み分け帽子を被ったハリーポッターの気分だ。ただハリーと違ったのは、俺はグリフィンドールでもスリザリンでもどちらでもよかった。

 

その祈りが通じたのか、組み分け帽子──キクノ くんが口を開く。「じゃあ、ネバダさん。」

えっ もう呼ばれるの?あまりに嬉しくて、最初は聞き間違いかとも思った。そこで確認のためにキクノくんに目線を送ってみる。すると、彼は舞台の上からしっかりと送り返してくれた。あの時から、キクノくんは俺にとってのリーダーだ。





チームDoubleAとチームキクノとが結成する。さて、それぞれ作戦会議と順番決めだ。──と、その前に

 

「チーム名、どうする?」

 

皆に聞いてみる。この「チーム名決め」は、学校でも職場でも盛り上がるテッパンの話題だ。チームの一体感も生まれる。ぜひお試しあれ。

 

すると、誰かが応える。

 

ルイージ、カズヤ、ゲムヲ……こっちには悪いキャラクターたちが集まってる」

 

 

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撮影協力 ミネイリ(ロスト) (@yukuehumei_lost) | Twitter

 

 

池袋の地下で、チーム「敵〈ヴィラン〉連合」が発足した瞬間だった。

なるほど、やっぱり俺はスリザリン側だったのか。

 

そんなチーム名となると、心なしかキクノリーダーのオシャレな服装──明るいオレンジ色のコートも、それに一味付け加えるベレー帽のようなかわいい帽子も、頭脳派悪役のリーダーのソレに見えてきた。リーダーのやわらかな話し方や雰囲気も、全部ソレだ。かっけぇ……。

またも自分の黒チノパンと白ワイシャツに目を下ろす。俺はせいぜい、モブ役ってところだろうな……

 

 

 

リーダーの隣に佇む、このいかにも悪役幹部みたいなスーツ男、まさかのプリン使い。おもろすぎる。



 敵<ヴィラン>連合、

 始動。

 

 

「先頭はネバダさんで、よろしく。」

 

メンバー選抜に次ぐ、まさかの二度にもわたる大抜擢。興奮が収まらない俺に、「ゲムヲは堅くて安定しているから」とそっとリーダーは言う。

なるほど、さすがはリーダー。癖がある変なキャラクターばかり揃うこのチームで、よく真っ先にその答えを見つけ出した。けどリーダー、一つ分かってないことがあるよ。

ゲムヲは安定していても、俺が今安定してないんだよ。

 

一度冷めたトーナメントの熱気を炙り返すように、SSQMクルーバトルが始まる。しかも今回は個人戦ではなく団体戦。会場の全員がチームの一人に声援を送る。叫ぶ。女王杯SSQMの第二幕の開幕だ。

 

 

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この舞台の上でまた戦える機会が、こんなにも早く訪れるとは。観客からの声援の煽りもあり、興奮が止まらない。しかしこの胸の高まりは、舞台にいることによる緊張ではない。むしろ逆。配信席に座っているときも、俺の心はずっと舞台の下──観戦席の中にいた。

 

SSQMが、女王杯が、イベントが。

皆でやるゲームが、楽しすぎる。

 

こんなにいい舞台を借りて、こんなに面白い、そしてこんなにくだらないゲームを皆で遊ぶ。こんなに幸せなことってあるか。

あまりの激情に見舞われた俺は、まだ「対戦モード」に切り替わっていなかった。頭がふわふわする。観戦席の皆と一緒に、試合を観るように楽しんでいた……手元でコントローラーを操作しながら。

 

観戦席の歓声・悲鳴、野次……ひとつひとつが楽しかった。心地良かった。じゃなきゃ配信台のゲムヲで撃墜アピールなんてしない。あまりに心からイベントを楽しんでいたため、遂には俺も観客の一人になってしまった。

 

 

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一方画面の中では、相手のカズヤが押され負けている。観戦席の声援は徐々にカズヤに傾きだす。そのとき、ふとどこからか声が上がった。

 

「応援されるカズヤ」…(笑)

 

確かに、異例な光景だ。会場の熱い声援が笑いに変わる。対戦してる俺までも釣られて笑い出し、つい叫んでしまった。

 

「ゲムヲも応援しろよ!!!!」

 

その魂の叫びは観客席に届くことはなかった。が、あのイベントでは、観戦席だけではなくまさかの配信席・対戦席からも野次が飛ばされていたのだ。いかに女王杯が和やかな雰囲気で、俺が心から楽しんでいたかが分かってもらえるだろう。



なんとかカズヤは倒し一人抜きはできたものの、そんな浮かれた調子だったので次のカービィにはあっさり負けた。

そのどこか地に足つかない雰囲気は、観客席にも伝わったのだろう。さすがはキクノリーダー。ベク変をサボったのがすぐにバレて、喝が飛んできた。



「リーダー、すみません!」

 

おめおめと観客席に戻り大声で謝るものの、マスクの中では口角が下がらない。

ごめんよリーダー。けれども、メンバー選びからチーム名決め、試合前からずーっと、友達の家でみんなでゲームしてる気分なんだよ。楽しすぎるよ……

 

 

 激闘、

 敵<ヴィラン>連合

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サブイベントのクルーバトルも、いよいよ終局を迎えようとする。俺が仕留めきれなかった相手の デラロイド カービィが暴れ回るが、オシャレな キスケ ジョーカーがそれを止める。ジョーカーの上Bコンボ延長撃墜が決まったときの会場の熱狂っぷりはすごかった。しかしそれもつかの間、相手の  ショコボ ソラが主人公のように連勝を勝ち取っていく。追い込まれた敵<ヴィラン>連合最後の砦、大将のキクノリーダーが次々と敵をなぎ倒していくが、立ちはだかるヒーローたちの前に倒れてしまう。長きに及んだ決闘も、これで決着か。手で顔を塞いだそのとき、遠くから力強い声が上がる……

 

「ちょっと待った──」



様々な物語が生まれた闘いだった。そのストーリーを知らない貴方は、是非今から女王杯SSQMのアーカイブを確認してほしい。

 

このイラストは、その全てを物語っている。イラスト一枚から全ての物語が伝わる、完璧なファンアートだ。

 

 

 

 

このロックマン、とてもすき。

ファンアートでスコープ状態て。




そんな笑いあり感動あり悲鳴ありの楽しいイベントだったが、さすがに最後には皆に疲れが見えていた。歓声は徐々に小さくなり、拍手はワンテンポ遅れてくる。

そんな中でも俺は興奮しっぱなしだった。自分は人より元気が有り余っているが、そんなことは今に始まったことではない。

 

俺がまだまだ燃えていた理由はそんなことじゃない。俺は、こんなところでバテるわけにはいかなかったのだ。

 

俺にはこの女王杯で、やらなきゃならないことがある。

 

 

 一年越しの想い

 

話は遡って、またあのコタツ……一年前の四国のネバダ宅。SSQMにドハマりし、正月から友人と3人でぶっ通し7時間夜を明かす。朝の訪れを知らせる雀の鳴き声と、カーテンから差し込む日光。薄明かりが射す部屋には、死んだようにコタツで横たわる友人たち。

あの日から俺は、このゲームに夢中だ。夜、家に帰ればすぐに起動した。起動するのは大乱闘スマッシュブラザーズSPでも、遊ぶのはSSQM。家にいながらしてオンラインゲームを皆で遊ぶのが主流のこの令和に、ただひたすらにCPUと戦い続ける。独り没頭し続ける。その感覚は、古き良きあの頃を呼び起こした。

 

これほどまでに夢中になった男が「世間にこの良さを広めたい」と考えるようになるのは、自然なことだろう。自らのゲーム配信、画面を直に写し出すiPhone5を通じて必死に世界に伝える。それでもSSQM熱が収まらなかった俺が手を出したのは、ブログ執筆だ。

 

 

すっげえタイトル。

 

SSQMの良さを伝えたい。ただその一心で書いた想いが、多くの読者に届いた。そして中の一人がオムナオト氏だ。

彼はこの記事を読んで、自らのSNSのアカウントで拡散してくれた。その書き込みが共感によるものなのか、それとも片手間になんとなく、呟くようにしたものなのかは分からない。それでも彼のその行動により、俺の目的が叶った。多くの人にSSQMの良さを伝えられた。

 

俺のブログを読んでくれている方々には、全員心から感謝している。オフ対戦会で面と向かって「ブログ読んだよ」「面白かったよ」と伝えてもらえるたびに、感激と涙が込みあがってくる。そう言ってくれた人たち、そのときの彼らの声や表情は、数年経った今、遠く離れた地の東京でも昨日のことのように思い出せる。聞こえてくる。

 

だからこそ、読んでくれた全員にお礼を言わなければいけない。しかし、まだオムナオトくんにはできていない。今日俺が池袋まで来たのは、それを果たすためでもあった。



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敵<ヴィラン>連合の刺客も破れ、サブイベントに決着がついた。また DoubleAじゃねえか!強い。

 

最後に実況解説の二人から、そしてソラの桜井政博を名乗る人物からの挨拶があり、温かい、熱い拍手とともに第二回女王杯SSQMの幕が閉じた。

 

 

……

 

そのとき、舞台を見上げながら静かに手を叩く俺は、ふとオムナオトくんのほうに目を向ける。あのときのお礼、絶対に伝えなきゃ……。

 

しかし、さすがの彼も疲れ切っているように見えた。仕方のないことだろう。朝から会場に来て、会場開設やイベントの進行を手伝い、大会が始まれば開幕から結末まで実況解説として喋り続けイベントを盛り上げる。対して俺は、女王の首を獲ると謳いながら、ただ自分のためだけに闘いに来ただけ。彼と俺では、背負っているものがあまりに違う。

 

終わりの挨拶を終え、配信が終了する。オムナオトくんは分かりやすく疲れたように、そそくさと実況解説席を後にする。

その様子を見れば、誰だって思い止め、諦めをつかされてしまうだろう。誰にでも話しかけてしまう俺でも、さすがにあの状態の男には声をかけることなどできない。

 

ステージの階段を降り、うつむきながらこちらに向かって歩むオムナオトくん。

周りに引っ張られるように俺もその場を離れようとする。行くところなどありもしないが。

 

はあ、俺はここで声をかけなかったことを後悔するんだろうな。

でもまあ、お礼はいつでも伝えられる。何も今日じゃなくたって良いんだ。

またの機会に、彼が元気なときにでも──

 

放心するように、舞台のどこかを見上げていた。

そのときに口を開いたのは、俺の前で立ち止まったオムナオトくんだった。



「僕のセフィロスとやってもらえませんか。」



驚きのあまり、目を見開いた。

雷に打たれたようだった。

 

彼は、そそくさと舞台を降りたんじゃない。まっすぐ俺のところに向かって来ていたのだ。

 

ネバダさんですか?」そんなありがちな挨拶も、自己紹介もない。あまりに予想外で、突飛な第一声。全てを飛ばして、真っ直ぐ勝負の申し入れ。

それでも俺には充分だった。

すぐに感謝の言葉を伝えた。伝えることができた。驚きこみ上げる感情を抑えながらも、必死に。

 

それを受けた彼は、笑顔を見せてくれた。しかし、会場の熱に飲まれてなのか、俺たちは感謝の言葉も雑談もよそに、すぐさまキャラクターを選びだす。多くは語らず、静かに、吸い込まれるように試合を始めた。お互い、この時を待っていたかのように。

 

どうして彼は俺に声をかけてくれたのだろう。

 

俺の試合を見ていてくれたのか、それともあの記事を思い出してくれてなのか、はたまた、珍しいゲムヲというキャラクターとただ対戦したかっただけなのか……。

 

その理由は、今でも分かりやしない。

それはわからないけれども、これだけは分かる。俺だってスマブラで闘っていた身だ。

 

 

 

自分のメインキャラクターを掲げて、人に勝負を挑むとき。

それは自らのプライドを賭けてまで、本気で勝ちに行くときだ。

 

 

 

この勝負、絶対に負けるわけにはいかない。

 

 

 

 

 決闘、

 オムナオトセフィロス

 

 

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セフィロスは、SSQMでも根強い人気のあるキャラクターだ。無法の空N指パッチン、それを連発するシュールな一面を持ちながらも、正宗──あの特大の刀を振り回すオシャレさ、拭えない格好良さ……。

 

SPでセフィロスが発表されたとき、FF7ファンの友人がふと漏らしていた言葉を思い出す。「これはセフィロスじゃない」。あの圧倒的な帝王セフィロスが、正宗を重々しそうに、のそのそと扱うのがどうしても受け入れられなかったのだろう。

その枷が全て外れたのがSSQMのセフィロスだ。着地硬直が大幅に減ったことにより、あの長刀を軽やかに素早く振り回す。シークの空前・鉈の速さで正宗を突き付けてくるその様は、まさに圧倒的だ。

 

「SSQMって、どうしても近接戦が多くて強いじゃないですか。」

 

フリーで、カズヤ使いのダイヤル君がちょうどこの話をしていた。

 

「そんな中セフィロスは、あの長い刀で相手との間合いを見計りつつ、制圧しながら戦う。そんな『アンチSSQM』な所がカッコいいんです。」

 

ソラをSSQMの王道で戦う主人公とするなら、セフィロスはその対極、SSQMの悪役ってところだ。

 

「ゲムヲは対剣キャラが絶望的」。SPの定石だが、ここはSSQM。QMバフのかかるこのゲームでは、剣キャラ相手にも強気に戦える。

が、帝王セフィロスの前ではそんな希望も打ち砕かれる。他の剣士とは比べ物にならない、正宗が放つ圧倒的なリーチの前に、ゲムヲはただたじろぐことしかできない。

 

なるほど、これが俺の女王杯のラスボスか。セフィロスのリーチに圧倒されながらも、時折漏らす操作の癖・反応的な行動を狩りながら張り合っていく。手に汗握りながらも、なんとか一戦目を獲ることができた。



一本先行できた。あまり実感の湧かないまま、二戦目に突入する。

実感が湧かないのも当然だった。



 

なんだ、この幸せな状況──?

 

 

 

あれほど憧れたSSQMの大会に出られた。そこで話せもしないと思っていたオムナオトくんに声を掛けられて、あっという間に今、隣に座って対戦している。それでいて、一本先取までしたときた。

 

目まぐるしい。「頭の整理が追い付かない」という状況は、生涯でそうあるものではない。

 

考え事が多すぎる。あまりに幸せな邪念だ。試合への集中力が徐々に途切れ始め、最後はもう「こいつに絶対に勝つ」という執念だけで動いていた。

 

けれども、対戦相手は執念だけで倒せる男ではない。ようやく邪念が消え散り、全意識が画面に吸い戻る。しかしその時にはもう、手遅れだった。

 

 

 

気がついたときには、俺のゲムヲは長刀の串刺しにされていた。

 

 

 

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「この決着は、また次回に──。」

 

燃えたぎるセフィロスの勝利画面を背に、静かにそう告げるオムナオトくん。

 

周囲の撤収ムードと共に、勝負の炎も消えていく。

徐々に頭の整理も追いつき、ようやく状況を飲み込めた。

 

そうか。結局俺は、女王の首も、セフィロス──帝王の首すら獲り損ねたのか。



考えてみれば俺は今日、リザルト上位半分の強者たちと戦ってすらいない。格闘Miiの昇天スピンキックで俺のあの頃を呼び起こしてくれた DoubleAくん、リーダーとして俺を引っ張ってくれた、ゼロサムで悪党のような空下コンボを繰り出すキクノくん、あのダイヤルカズヤを叩きのめしたという魔のルイージ使いかるぴすくん……

 

永遠に感じられた俺の女王狩りの夜。しかし、まだ何も終わっていないのだ。

いいだろう。この決着はまた次回──




いい夢見ろよ……





P.S. DLC買っちゃいました〜!

 

 

 

*1:「プラットフォームファイター」とは、格闘ゲームサブジャンル。格闘ゲームの中でも、ステージ上を2次元的に動き回るものを指す。国内では耳にしない単語だが、英語圏ではゲームジャンルの一つとして確立している。 Platform fighter - Wikipedia

*2:https://rivalsofaether.com/jp/

*3:厳密に言うならば「ベクトルが低くなっている」というのは誤りであるが、界隈では便宜上このような表記にしている。スピリッツやキャラクターの重さで技のベクトルが変わることはないが、正規のベクトルでふっとびが終わった直後にすぐに落下が始まるため「クイッ」と曲がるように斜め下に落ちていく。

*4:「SSQM」という命名は「SSBM」”Super Smash Bros. Melee” 、すなわちスマブラDXから由来している。スピリットを駆使して、スマブラDX/Melee のようなスピード感を再現しよう、というコンセプトであるため。しかし DX勢から言わせれば、はっきり言って全くの別物だろう。似ても似つかない。しかしロックマンのこの無限上昇テクニックに限って言えば、どことなくDXのバグ・テクニックくさい。SSQMの一番”SSBM”な部分は、ロックマンの無限上昇発見のような荒くれたキャラクター研究や、それに伴うメタの発展の仕方にあるかもしれない。

*5:あれが俺とあしも君の初対面だ。

スマブラSPは、我慢大会である。




こんにちは。ネバダからキマした。と申します。未だにブログの書き出しの挨拶は「Sean(読めたら英語うま男)です」な気分が抜けません。

以前 SSQM こと Queen Melee の記事にも書いたように、僕はSPの競技シーンを辞めました。
そこから半年以上が経った今、別のゲームに熱中しています。どのくらい熱中してるかというと、たぶん今自分の人生で一番ゲームをやっています。熱中というより「熱狂」です。僕の熱狂具合は Twitter で確認してください。

そんな中、SPから離れ、距離を置いて別のゲームをやってると、自分が SP から離れた理由が少しずつ見えてきました。以前の記事では「これといった理由はないが飽きてしまった」というようにぼんやりと記しましたが、今回はそれを掘り下げて行こうと思います。

 

feat-sean.hatenablog.com




まず先に伝えておきたいことがあります。僕がこの記事を書くのは、決して「スマブラSP、そのプレイヤーを悪く言うため」ではありません。大乱闘スマッシュブラザーズSPそのものはとても良いゲームです。SPの良い点を挙げるとなれば、誰よりも詳細に語れる自信があります。


しかしここでは「競技としてのスマブラSPは皆が思っているほど良いゲーム・完璧なゲームではない」ということを周知したい。それを伝えることによって、ストレスの溜まっているプレイヤーたちにスマブラから距離をとって落ち着いていただきたい。
後述しますが、僕は現在のコミュニティの状態を憂いています。もしその渦中にいて、スマブラのモチベーションが保てずに悩んでる人がいたら、そんな人こそこの記事を読んでほしいと思います。このゲームであなたが苦しむ必要はない、そんな思いが本文から伝われば幸いです。


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SPはいわば「我慢比べ」「我慢大会」だと俺は考えている。


スマブラをしていて楽しい瞬間とは何だろう?何度も見返したくなるようなかっこいいコンボを決めたとき?復帰阻止を決めたとき?……

しかし、そんな「楽しい瞬間」より「楽しくない時間」「我慢」の比重の方が大きく、そして重要になってしまうのがSP のゲームシステムなのだ。これこそがSPの一番の問題点だと俺は思う。

なぜそう考えるのか?
今からそれを二つに分けて綴っていく。まず最初に「ゲームシステムの問題」を解説する。その後それを踏まえて、「そのシステムの嫌いなところ」について話したい。

 

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SPは「シールド、つまり防御が強い」。前作より改善したとはいえ、まだまだ強い。「攻撃」「防御」「防御崩し」の三すくみの中「防御」が他二つより比重が大きいため、濫用されてしまう。これが一番の問題点である。

なぜ強いと言えるのか?以下のことを考えてほしい。


スマブラには数多くの「かっこいい撃墜技」が存在する。相手をパワーでふっとばす理屈抜きの爽快な重いパンチ、モーションやエフェクトがかっこいいオシャレなキック……

しかしこれらを当てるのは容易ではない。撃墜技の多くは全体フレームの長い大技。当てるためには間合い、フレーム、読み……さまざまな要素をぴったり噛み合わせなければいけない。


 

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一方、攻撃を受ける側、すなわち守りはどうだろう。絶対に当たりたくない怖い撃墜技たちはどうすれば防げる?簡単だ。「Rボタンを押さえること」。それだけで防げる。相手の攻撃のタイミングをぴったり計る必要も、攻撃を見切る必要もない。意図的であれまぐれであれ、とにかく食らったときにRボタンさえ押さえ続けていれば良いのだ。これだけで倒されることはない。

……いやいや、そりゃそうだ。ニュートラル状態、すなわちどちらも攻めていない・守ってもいない状態、にらみ合いの中でいきなり撃墜技が当たるはずがないじゃないか。そんな大技を当てるには、コンボを始めたり相手を飛ばしたりして、どうにか相手の択を狭めなければならない。それはどの対戦ゲームでも一緒だ。

となると、相手のコンボの始動技は当たりたくないな。どうやって防ごう。


簡単だ。Rボタンを押さえるのである。

 

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Rボタンを押さえるだけで、始動技から撃墜技まで、ゲームの大半の技を無効にする。ゲームの防御があまりに強く簡単すぎやしないだろうか。
広い意味での防御の中には「後退する」「ジャンプや緊急回避で避ける」など他の行動も含まれるが、「最後に頼ることはシールドであること」「シールドが要の防御手段であること」、なにより「シールドが強いこと」に変わりはない。

シールドブレイクやシールド解除フレームはあるが、この強さに見合った短所とはとても言い難い。


 

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多くの対戦ゲームでは事情が異なる。わかりやすいところで言えば、ストリートファイターはガードに上段下段中段とあり、相手の出す技を読んでそれに応じた段を選ばなければならい。他のゲームでは異なるシステムを採っていたりするが、どれをとっても、相手の攻撃を一つ防ぐのにも多く考えることが求められるのだ。




しかし、これを読んだあなたは無論こう思うだろう。「ガードされるなら掴めよ」「すかしって知ってる?めくりって知ってる?」「画面見ずにガードに突っ込んでそう」。

確かに SP にはガードに対抗するためにいくつかテクニックがある。しかし、それでもまだガードが強いということに変わりはない。



「ガーキャン行動」の存在

 

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スマブラはガード状態から出せる技がいくつか存在する。上スマッシュ、上必殺技、掴み。そして空中攻撃(厳密にはジャンプ踏切フレームが存在する)。

スマブラを知らない人にこの説明を聞かせれば、まず言わずにはいられないだろう。

「え、強いじゃん。」

その通り。なにを隠そう、強い。スマブラを知り尽くした人に聞かせてみても、首を縦に振るだろう。

ガード状態からコンボ始動技を出せるキャラもいれば、そのまま撃墜技を出せるキャラクターまでいる。つい先ほどまで防御していたキャラクターが、強いシールド状態から一転して攻めに回れるのである。

「攻守交代!」と言えば格好良い響きに聞こえるかもしれないが、この場合あまり格好良いとは言えない。攻守両者とも切羽詰まった戦い・読み合いをしているならともかく、ここで防御側がしていることは「相手の技を見切ったり読み切るわけでもなく」「いつ攻撃が当たっても安全なシールドの中で」「相手が技を振ったのを確認してから、よし行こう!」。


この強い反撃技を食らわぬよう攻撃側は様々な工夫をする。ガードしてる敵の背中側に着地する「めくり」であったり、ガードに対して安全な技を振ったり…


しかし、めくりは根本的な解決にはなっていない。まだまだ防御側が強く、ジャンケンが成立していないのだ。
仮に相手のシールドをめくったとしよう。そこから防御側は何ができるだろうか?



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まず、つかみはできない。シールドを解除して振り向いてつかみを入力するとなると何フレームかかるだろう。確かにその点はめくりで対策できる。

しかし、空中攻撃と上必殺技はどうだろう。シールドの裏側に回った程度で届かなくなる空中技はごく僅か。上必殺技に至っては反転して表側と全く同じように出すことができる。


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めくられたところで、防御側が正しい選択をすればしっかりと反撃を取ることができてしまうのだ。そしてそれは「小足を見てから昇竜余裕でした」といったフレームや人間の能力を無視した非現実的な卓上理論ではなく、スマメイトに身を投じるような人間であればすぐ身に着くことである。
つまり、めくりとは「相手のミスを誘うために使うテクニック・小技」に過ぎず、「SPの防御の強さを抑えるシステム」にはなり得ないのだ。「すかし」にも同じことが言えるだろう。

確かにガーキャン行動の強弱はキャラクターによって異なる。しかし、「掴み・上スマッシュ・上必殺技・空中技」どれもが「始動技にもならず、展開は悪く、撃墜もしない」というキャラクターは両手で数えられるだろう。片手で充分かもしれない。余程のキャラクターが「何かしらの状況で有効なガーキャン行動」を一つは持っている。
「じゃあその状況を作り出さない」というのはそのキャラクターの限定的な対策に過ぎず、ガードに対するシステムとは言えない。


問題児…「その場回避キャンセル」

 

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以下に関しては読み飛ばてもらってもいい。読み飛ばしてほしい。だがしかし、「その場回避キャンセル」に触れないわけにはいかないだろう。なぜなら一応これは、強すぎるカードに対してのカウンターとして作られた「システム」 だからだ。

なぜ読み飛ばしてほしいほどこのシステムに触れたくないのか。 なぜならあれは崩壊しきっていて悪く言う他ないからだ。冒頭でも触れたように、この記事はただ SP を悪く言うために書いているわけでは決してない。しかし、こと「その場回避キャンセル」の話となると……

読み飛ばしてほしい。もしくはここに広告を被せようかと思っている。




簡単に説明すると、これは「その場回避の硬直・後隙を地上攻撃でキャンセルできる」というものである。「シールドから始動技・撃墜技を出せる」ときたら、次はなんと「無敵状態から撃墜技を出せる」とまで来た。

そう、 シールドが強すぎるのであれば、毒をもって毒を制させよう、さらに上回るシステムを作ってしまえばいい、という話なのだ。
さらに問題なのがこの毒、なんと“シールド側も悪用できる”。読み間違いではない。念押ししよう。シールド対策のために作られたシステムが、 シールド側も悪用できてしまう。

それは困った。ではどうしよう。シールドからその場回避キャンセルを出された場合、どのように対策するべきだろうか。

 


しかし、そう難しく考えなくても良い。

 

 


こちらもその場回避キャンセルをしよう!







さらにこの仕様は、SPの入力遅延と著しく噛み合っていない。 SP にはオフライン対戦においても入力遅延がある。相手が緊急回避したのを確認して、さらにそこからキャンセルするかどうか、どの技でキャンセルするのか、それに対し自分はどう対応し入力するのか…… SPの遅延の中だと、これはもはや読み合いの範疇を越えて入れ込み合いの域だ。

ではオンラインならどうだろう? 語るまでもない。



リスクとリターン

 

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話を戻そう。ガーキャン行動が存在する以上、防御側の選択肢があまりに多く、そしてローリスクだ。攻撃側はそのような不利な読み合いは避けたい。ではどうするか?手痛い反撃を受けない技、すなわち「安全技」を振るのである。(大げさに「無料技」と例えられることもある)

安全技には様々なものがあるが、これら全ての共通点はこうだ。外しても手痛い反撃を受けない、つまり「ローリスク」で、当たればコンボや撃墜に繋がる、すなわち「ハイリターン」だ。対戦ゲームにおいて、こんな技があれば振らない理由はないだろう。掘り下げて説明する必要もない。なぜなら「ローリスクハイリターンだから」。

おわかりいただけただろうか。上記の現状から、SPは「防御が強いため、ニュートラルでは反撃を取られづらいローリスクな技を振らざるを得ない」という対戦環境のゲームなのだ。

 

 




「そんなの、今さら。」そう、ここまでは多くの方がご存知でわりとよく聞く声である。tweekを始めとしたプロゲーマーの選手たちでさえこのような批判をしている。

それを踏まえて、ここからは少し違った視点で話していこう。前述の批判は「ゲームシステムから来る、ゲームシステムの批判」である。そうではなく、ここからは「ゲーム、すなわち娯楽としての批判」そして「ネバダからキマした。個人がスマブラを辞めた理由」を説明していきたい。

ここから俺の「感想文」になっていくことを了承してほしい。文章の校正は大歓迎だが、私個人の感想の歪曲は少しいただけない。


ゲームと我慢

 

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ここまではシステムの説明をし、いかに防御が強いかを伝えてきた。先ほどの話をまとめると、SPは システム面において「攻め」が楽しくないといえる。防御の方がお手軽で強く、それを破るために攻撃側が我慢を重ねながら四苦八苦するゲームだからだ。

 

では「防御」側はどうだろう。



冒頭で少し話したことに戻ろう。SPは「我慢比べ」「我慢大会」であるという話だ。

なぜそのように考えるのか?ゲームの一番大事な場面、すなわち残機に関わり、一番緊張感が高まる場面で「我慢」がゲームプレイに大きく絡んでくるからだ。

今あなたと相手はお互いに蓄積ダメージが100%を超えているとしよう。絶対に撃墜されたくない。そこであなたは防御の態勢に入る。ライン後退、ジャンプでの攻撃避け……あらゆる手段を駆使するがやはり最後にすがりつくのはシールドだ。絶対に撃墜されたくない、絶対に勝ちたい……あなたはあらゆる思いを抱えながらシールドを貼りながら耐える。しかし、相手の攻撃が通り、撃墜されて負けてしまう。

つまりこうだ。シールドというRボタンを押さえるだけの退屈な操作をしながら辛い状況を耐えていたのに、読み負けた罰としてストックを取られる、試合に負ける……
「苦しい思いをしながら我慢して耐えたのに、負ける」。

 

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今挙げたのは特殊な例で、めったに起こりえない事を大げさに挙げているだけだろうか?そんなことはない。競技シーンにおける敗北の大半がこのようなものだろう。SPにはそんな状況があまりに多過ぎる。

無論、全ての対戦ゲームを語るにおいて「我慢」は切り離せない。どのゲームにも我慢をする瞬間はあるし、我慢をしたのに負けて悔しい瞬間だってある。スポーツにでさえある。

しかしSPはそれが最悪の形で出てしまっているのが問題なのだ。防御の操作・行動が単調で面白くないことに加え、その時間が長すぎること、そして撃墜という一番緊張する場面でそれが毎回起こるので悪い形で印象に残ってしまうこと。
スポーツのように最後まで動き続けて戦ったのであれば「頑張ったのに負けた、悔しい」という負け方になるが、SPの負け方では「我慢したうえに負けた、悔しい」という気持ちが強く残る。

攻める時は防御側の理不尽とも言える強さに耐えながら、守る時は敵の攻撃に耐えながら。我慢して我慢して我慢したのに、負ける。

そんなことが一試合のたった数分のうちに起き、常態化している。果たしてこれは楽しいゲームなのだろうか?


楽しいゲームとは?

 

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考えてほしい。もし仮にあなたが、今から新しいゲームを始めたとする。無料のスマホゲームでも、話題のSteam新作ゲームでも良い。あなたは長いインストールを待ち、ようやくゲームを起動する。しかしどうだろう。始めてみると、我慢やストレスの連続だ。自分は何もできず、敵に蹂躪されっぱなしだ。確かに楽しい瞬間はある。その瞬間はなんとも言えない爽快感がある。おそらくそれがこのゲームの売りなのだろう。とはいえど、それ以外は単調で我慢の連続だ……

(書いていて思ったが、これギャンブルやパチンコと一緒だ。それはまた別の話として……)

断言してもいい。あなたはこのゲームに熱中はしない。今後も楽しく遊ぶことはあるにしろ、日々競技的にやるほど「真面目に」やりたいとは考えないだろう。

楽しい時間より、楽しくない時間のほうが長い。そんなゲームは本来の「娯楽」の目的を果たせていない。


スマブラはやめられない」?

 

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ではなぜ皆、我慢が長いゲームであるSPはするのか?答えは思ったより単純だ。スマブラだから。
……と言うと耳障りの良いキマったセリフに聞こえるが、実態はそうではない。この「スマブラだから、やる」というのは呪縛だ。そしてその見えない呪縛は想像以上に我々を長く縛り続けている。それが顕著になったのは前作、スマブラ for 3DS/WiiU だ。

 

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ここでは詳細な説明は省くが、あのゲームは競技として崩壊していた。壊滅的なキャラクターバランス、競技シーンの正反対のために作られたようなゲームシステム……。「あんなゲームを真剣にやっていたなんて。」ZeRoを始めとした数多くのプロプレイヤーが同じように振り返っている。そんなゲームにもかかわらず、我々は妄信的に大真面目にやっていたのだ。自キャラの日本一のプレイヤーになりたい、世界大会に出るあの選手を応援したい……そんな思いを抱えながら。このように「スマブラだから、やる」という呪縛が存在することは歴史が証明している。

ではその呪縛はなぜ存在するのか。どうして我々は「スマブラだから」と考えずに首を縦に振ってしまうのか。俺が考える限り、三つの理由が思い浮かぶ。それぞれの解消案も挙げていきたい。

 

 

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①大好きなキャラクターがいる


これは案外馬鹿にならない、大きな要素だ。俺は20年近くMr.ゲーム&ウオッチというキャラクターに夢中だ。キャラクターデザインも好きだし、戦い方も好きだ。80年代の液晶画面からやってきたなんていう設定も、他のキャラクターにはない特別なものだ。俺が今でもたまにSPを起動したくなってしまうのは、彼がいるからに他ならない。

しかし、何も好きなキャラクターは彼だけではない。世にはごまんとゲームキャラクターがいる。好きなキャラクター数体のためだけに、あなたが我慢をしながらゲームをする必要はない。
もしそれでもどうしても会いたくなったら、別のゲームでMODを使ったり、プレイ動画を見て応援したり、思い出したときに時々起動して触ってあげれば良いのだ。


 

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②コミュニティに属していたい

この呪縛はとても大きい。無意識のうちにあなたを縛っているかもしれない。どうしてスマブラをするのか?「みんながしているから」……。

スマブラのコミュニティは膨大だ。国内のゲームコミュニティーの中では三本指に入ることは間違いないだろう。もしあなたが出張や引っ越しで知らぬ土地に行っても、スマブラをしていれば大丈夫。ネットで検索すれば、二日後にはもう共にゲームをする仲間ができているだろう。

もしこれに心当たりがある方がいたら考えてほしい。あなたは誰のために、なんのためにゲームをしているのか。友達作りのため?輪から外されないようにするため?もしくは、上手くなって誰かに認められるため?


俺ならそれを、理由ではなく呪縛と呼ぶ。


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③対戦アクションゲームは

スマブラしかないと思っている


これが最も大きな原因だろう。ストレスが溜まろうとも、皆スマブラのルールは大好きなんだ。叩く、ダメージを溜める、ふっとばす。ふっとばされてもステージに戻ってくる、戻れぬよう妨害する。

スマブラのルールは楽しい。これに関しては全員が黙って首を縦に振るだろう。しかし、ご存知だろうか。心して聞いてほしい。

そのルールを採用しているゲームは、他にもたくさんある。


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海外ではこのルールを採用するゲームを「プラットフォームファイター」と呼び、ジャンルとして確立されている。つまりスマブラは他にはない特別なものではなく、プラットフォームファイターのタイトルのひとつに過ぎないのだ。




しかしそれを聞いてあなたはこう思うだろう。「それは『スマブラライク』といって、結局全てスマブラパチモノ・下位互換だ」。確かに国内ではそのようなイメージが根強く残っている。ソニーのキャラクターが集まる大乱闘、ボンバーマンとリカちゃん人形が戦う対戦ゲーム……それらの失態が遺した印象があまりに大きい。


しかし、ある。今の世の中にはあるのだ。スマブラの競技シーンを磨き上げ、コアゲーマーのためだけに作られた1on1専用プラットフォームファイターが。これについては、また後日別の記事で説明させてほしい。

つまり、あなたはなにもスマブラ固執する必要はない。スマブラのルールが好きなだけであれば、それは「プラットフォームファイター」が好きなだけであり、あなたの肌に合う他のタイトルがいくらでもあるからだ。

 

スマブラ史上最高のあの日、コミュニティは。

 

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スマブラは我慢大会である。その我慢大会にコミュニティ全体が蝕まれ、不健全な状態になっている。最後にひとつ、悲しいエピソードでこの記事を締めくくらせて欲しい。

2021年10月6日。世界中のゲーマーが湧き上がった。ゲーム史の歴史に残る日と言っても過言ではないだろう。「ニンテンドーオールスター」として20年以上前に始まった「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズに、キングダムハーツのソラが追加されたのだ。これがどれほどの偉業か、ゲーマーの皆さんに語る必要もないだろう。この瞬間には、誰がSPのプレイヤーかどうかは関係なかった。とにかく、皆で祝福した。

 

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そんな中、素直に祝福できない人たちがいた。
「ソラは嬉しいけど、数カ月後にはどう思ってるかな。」
つまり、ソラの性能が嫌いになり闘うのが嫌になるかもしれない、というのだ。俺はこれらの書き込みを見たとたん、深く悲しい気持ちに包まれた。

ソラだぞ。多くのゲーマー達が夢にまで見た、あのソラがついに追加されたんだぞ。こんな時ぐらい、心から祝福できないのか。

しかし、この書き込みをした人たちには何も罪はない。彼らを責めるのも間違っている。一番辛いのは当の彼らだろう。

毎日やるゲームに、大好きなキャラクターが追加された。けれども、もしかしたら自分はこのキャラクターを嫌いになってしまうかもしれない。夢にまで見たキャラクターなのに……

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俺の小さなタイムラインの中でさえ、このような書き込みが見逃せないほど見られたのだから、全体ではどのくらいになるのだろう。

彼らの中では「スマブラ→我慢→ストレス」という形が出来上がってしまっているのだ。だからこそ、こんな場面であっても「ストレス」を連想してしまう。悪いのは彼らではなく、スマブラでもない。パーティーゲームとして作られたものを競技として扱う、変則的な遊び方だ。




こんなことってあるか。皆が一番欲しかったキャラクターの追加を心から祝えない、それはもう「娯楽」として崩壊しているだろう。

俺はもう、むかし共に同じゲームを楽しんだ仲間たちが、モチベーションがないだのストレスが溜まるなどと落ち込む様を見たくない。ソラ参戦というスマブラにとって一番大きな日に、それが悪い形で出てしまった。

 

 

競技シーンにおけるスマブラSPとストレスは切り離せない。そのように出来てしまっているのだ。
だけどもここで皆にもう一度、胸に手を当てて思い出してほしい。小さい頃、分厚いテレビで大乱闘スマッシュブラザーズを初めてプレイしたあの日のことを。




追記
この記事を書くにあたってSPの問題点を考えていたら、次から次へと思い浮かんできました。プラットフォームファイターなのにニュートラルで台に乗ると不利になるため基本終点でありアクションゲームとしても地味であること、飛び道具キャラクターの問題点……。これほど長くなってしまった本文ですが、細かいところを挙げればまだ山ほどあります。興味がある方、また本記事について意見を述べたい方は下記のツイッターアカウントをご覧ください。

twitter.com

SP──"Special" の向こう側へ。【スマブラ SSQM】



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こんにちは。ネバダからキマした。と申します。「キマした。」の句点まで含めて名前です。

 

最近冷えますね。冷えすぎて昨日ようやくクリスマスツリーを片付けました。メリークリスマス!

 

 

さて、

 

私は俗に言う「スマ勢」です。前作の「for 3DS/WiiU」はもちろん、その前作「X」も発売日からヨドバシカメラに並んで買うほどの。

 

言うまでもなく「SP」も発売日から没頭し、2019年後半からは地元のオフライン対戦会にも参加するようになりました。

 

2020年、1-3月はモコモコのフードを頭まで被り凍えながら自転車で対戦会場まで向かい、4-10月はT シャツにプリントされた可愛いガチャピンを胸に燃えながら自転車で会場まで、11-12月は年の瀬に思いを馳せながら自転車で会場まで……

 

とにかく隙あらば対戦をしていました。

 

その甲斐があり、俗に言う「上位勢」とまではいかないものの勝率はかなり安定してきました。一年前の自分では到底考えられないような変わりようです。

間合いの概念を身体で覚え、フレームの数値を頭で学び、他プレイヤーとの関わり方を人から吸収し……

 

私を大きく変えた一年、私を大きく変えたゲームでした。

 

そんな私ですが、2020年限りで大乱闘スマッシュブラザーズSPを

 

 

辞めます。

 

 

 

その日は

突然やってくる

 

 

 

「秋」とかけて「飽き」と解きます──

 

そのココロは、どちらも「ふとした瞬間にそこまで来ていたことに気がつきます」。

 

飽きというのは、前触れなく突然やってくるものなのです。だから飽きなのです。

 

 

私もその日が来るまでは、いつものようにスマメイトをしていました。

 

愛読書であるウメハラさんの「一日ひとつだけ、強くなる」にならい、毎日毎日小さなことだけでもゲーム内で発見をし力をつけていきました。

 

周りの上位勢のように派手に活躍することはできませんでしたが、試合数を重ねるごとに勝率は安定していきました。

 

 

「その日」の前日も、そんな感じで対戦をしていたのでしょう。今日も頑張ったな、今日も強くなったな、と。

 

 

 

しかし、ある日から急に私は SP を起動しなくなりました。オンライン利用権を更新することも忘れ、まるでそれが存在しなかったかのような日常を送り始めました。

 

あまりに自然にやらなくなったため、その日のことも、いつだったのかも覚えていません。

 

 

 

趣味の

 多様化

 

 


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今考えてみれば、飽きた理由が分かる気がします。

 

当時から私は「スターウォーズバトルフロント2」というFPS/TPSに没頭していました。そのゲームはキャラクターを動かしていてとにかく、「とにかく」……楽しいのです。

 

ヒーローは強力なアビリティで敵歩兵の軍隊をなぎ払い、歩兵側も負けじと対策のテクニックを駆使していく。

 

さらにこれをYouTubeで実況配信をしながらすると一層楽しい。

私はゲームに興奮しすぎて終始ギャーギャー騒いでるだけですが、それを見守ってくれる視聴者と他愛もない雑談をする。配信を通じて共通の趣味を持つ人たちと知り合える。

 

 

バトルフロント2、配信。

 

私はSP以外に没頭できるものを見つけたのです。それも、二つも。

 

SPがつまらなくなったのではなく、他が楽しくなってしまったのだと感じます。

 

 

ただ、飽きが突然やってきたように、新たな出会いの時も突然やってきました。

 

 

 

「その日」の後の

 「あの日」

 


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元旦。

 

みなさんはどのように過ごしましたか。去年は色々な面で慌ただしい一年でしたが、元旦はそれぞれ思い思いの過ごし方をされたと思います。

 

私は、SPを共にする友人であり私の配信を見てくれる視聴者でもある二人と、そして私の大事である彼女と共に食卓を囲んでいました。

 

この令和の時代には一年に一度、正月にしか観なくなった“テレビ”の“チャンネルを回し”、お笑い番組を観て笑いながら美味しい手料理を食べました。

 

その後もトランプやボードゲームでまったり時間が進んでいた──誰もがスマブラなど忘れていた(と思う)──中、一人が何かを思い出したかのように言い出しました。

 

 

 

スマブラSPやろうよ。面白いルールがあるらしいよ」

 

 

SSQM

とは

 

 

 

SSQM。「スーパー・スマッシュ・クイーン・メトロイド」"Super Smash Queen Metroid"。

 

スマブラSPのスピリッツ機能を使い、「スマブラDX」のような動きを再現しようというものである。主に移動速度機動力を大きく増し、着地硬直を減らす。

 

「クイーンメトロイド」というスピリッツを使うので SS"QM"。

 

また"SSQM" はDXの通称 "SSBM" Super Smash Bros. Melee をもじったものらしいが、毎度毎度「エスエスキューエムやろうぜ!」と声に出して言うのは長ったらしいので呼びたくない。しかも、やるのはスマブラであってQM「クイーン・メトロイド」ではない。しかし、SSQMという一般的な名称からは外れたくない。

よって我が家では「クイーン・メーレー」 Queen Melee という呼び方に落ち着いている。

 

とても呼びやすくMelee 感が出て良いし、なによりちょっとオシャレ。この際普及してほしい。

 

られあ;一人のスマブラ仲間がこれをやろうと持ちかけてきた。

 

 

実際に

やってみた

 

 

一応このゲームの存在は一年前から知っていた。ツイッターかどこかで目にして──まあ、目にしただけだった。

 

当時は率直に思った。「大して面白くないだろう」。一機能で再現しただけのまがい物、スマブラDXができないSPキッズのための子供騙しのオモチャ……

 

 

 

めちゃくちゃ面白い。

 

 

元旦から7時間ぶっ通しでやった。ぶっ通しで。られあは運転の疲れもあって、電源が切れるようにふっとコタツで寝てしまった。

俺も流石に疲れが来て──集中力の切れや飽きではなく、目の疲れで「仕方なく」──続くように寝た。

 

 

 

一時間経った頃だろうか。

 

「おいネバダ、起きろ」

 

……ん?

ああ、さすがに寝ちゃってたか。

 

 

やぐるま;もう一人の友人の低い声で目が覚める。

 

「俺帰るから、鍵閉めといて」

 

テレビの脇に置いてあるデジタル時計は09:00を表示している。

 

 

……ん?

 

「やぐさん、ずっと一人でやってたの?」

 

「え?おお。」

 

SP勢というよりもっぱらMelee勢である彼は、何かに取り憑かれたかのようにずっとCPUと対戦を続けていたのだ。

 

そう言うと彼はさっさと荷物をまとめて、忘れ物がないかコタツ周りを確認し、そそくさと帰って行った。

 

俺はすっかり静かになった部屋の電気を消し、コタツで死んだように寝ているられあをそのままに寝室へと自分の体を運んだ。

 

    

SSQM、

すごいぞ

 

 

これが俺と QueenMelee との出会い。今日も時間を忘れ独り夜な夜なCPUとスマブラをやっている。

 

このゲームモード──いや、もはやひとつの「ゲーム」の魅力を細部まで伝えたい。まだ始めて一週間程度の熟練度だが、とにかく伝えたくこの記事を書いている。

 

まずはこのゲームの面白い点から語らせてほしい。最初は大きな点から始め、徐々に細かくニッチなところまで伝えていこうと思う。

 

SP勢だったため他に比べるものがなく、どうしても「SPを下げてQMを上げる」という構図になりがちだが、容赦してほしい。

 

 

 

コンボの手数が多く、

しかも速い

 


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このゲーム最大の特徴であり、華と言っていい。

 

着地硬直が減った上で自分の起動力が上がり、相手の落下速度が速くなっているので、工夫次第でコンボがどこまでも繋がる。

 

しかし、受けている側が退屈になるような長ったらしいコンボではない。ゲームスピードが速いため、大きなコンボもさっさと終わる。

 

「おかしな」コンボも数あるため、やっている側も見ている側も思わず笑ってしまい、盛り上がる。

 

 

 

台の存在が

活きている

 


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あまり目立たないが、自分の中ではこれは大きな事だ。

 

SPでは基本的に台に立つことは避けたい。試合中では相手より下に立つことが有利であるため、台の上に立つことは不利状況を作り出す一因に過ぎないのである。シールドドロップも廃止されたため、不利状況にさらに拍車がかかっている。上位勢の試合でも、多くのプレイヤーは立ち回りの中で台を避ける。

 

もちろんコンボの延長のために使うことはあるか、それはあくまで超有利状況の中である。こちらが攻め続けていて相手に下を取られる心配がない、そういうときになってようやく台を使うことができる。

 

俺がSPでゲムヲを使っていたから、台が苦手で少し意見が尖ってしまっているという節もある。中には台を使った行動が楽しくて仕方がないキャラクターがいるのかもしれない。が、大きな図を見れば概ね首を縦に振ってもらえるだろう。

 

 

しかし QueenMelee ではこのようなことがない。

 

先述したクレイジーなコンボを台でさらに伸ばすのがとても楽しい。有利状況から無理に下を取り返されても、落下速度が速いため相手が立ち直っていなければ着地も難しくない。

 

Melee勢のやぐるまさんは「台絶」まで立ち回りに入れていた。このゲームでは台が「ステージにただあるもの・ステージの一部」ではなく「自分の行動の中に取り入れる一要素」になるのだ。

 

 

 

ゲームスピードが速く

「ダレ」を感じる暇もない

 


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このゲームを何時間も延々とやってられる理由の一つ。ダレない。

 

対戦ゲームではどうしても「我慢する時間」が生まれる。スマブラで言うなら、攻めの手を一旦止めての徹底した撃墜拒否、攻めたい気持ちを抑えながら相手の様子を伺い間合い管理、飛び道具の嵐を「処理」するためのガード我慢比べ……

 

SPではどうしてもこれをイヤというほど感じさせられる。

 

しかしゲームスピードが速ければどうなるだろう。これらの時間も必然縮む。

 

もちろん、0になるということはない。しかし、 QueenMelee は場面の切り替わりが速すぎるため、元々ほぼ0である「我慢」の時間を感じさせないほど振り回される。

 

 

 

ふっとびのベクトルが低い。

えぐく低い

 


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 Queen Melee ではスペシャル乱闘の「ずっしり乱闘」を選ぶため、技のベクトルがえぐく低くなる。

※正確には、「ベクトルが低く見える」。スピリッツやキャラクターの重さで技のベクトルが変わることはないが、正規のベクトルでふっとびが終わった直後にすぐに落下が始まるため「クイッ」と曲がるように斜め下に落ちていく。

 

 

これによって面白い点が二つ生まれる。

 

 

①復帰阻止の展開が多くなる

 

復帰阻止はスマブラの華。他の格闘ゲームには全くない要素である。ステージというものがあり、その外側は全て奈落。多くの格闘ゲームのように「HPを削りきれば勝ち」ではなく、「線からはみ出たら負け」。どんなにダメージレスで勝っていても、一瞬でひっくり返ってしまう。崖展開・復帰阻止なしにスマブラは語れない。

 

さらに面白いことに、 Queen Melee ではこの復帰阻止の展開が多くなるくせに、復帰阻止が「かなりリスキー」なのだ。落下速度がとても速くなっていて、無闇な復帰阻止は自滅や相手からの反撃を簡単に生む。

 

ゲームスピードが速いため、「見てから崖受け身」が間に合わない。SPでは意識の外で急に崖に叩きつけられても反射で間に合うということが多々あるが、めぐるましく場面の切り替わる Queen Melee ではそうはいかない。

 

スマブラの華を多く魅せ、挑むのもリスキー。ハイリスク・ハイリターンとは今も昔も多くのゲーマーの心を惹きつけるものである。

 


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②ダウン展開が多くなる

 

SPの「低く前に飛ばすタイプの下強」を想像してほしい。転倒、ダウンといろいろ厄介な技だ。

 

それがさらに低くなる。それもものすごいスピードの中で。毎度毎度受け身が取れるだろうか。

 

ダウン展開が増えることにより、攻め側のターンが継続される。ダウン連や転がり上がり読みといった要素までも加わる。そしてまたコンボが始まる。

 

 

受け側は受け身のミス一つで大きなダメージを食らう。嗚呼、まるで Melee じゃないか。

 

 

 

「オン行動」が

切通じない

 


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Queen Melee はオフラインでしか遊ぶことができない。よって基本的にすべての行動が「見える」。さらに自分の機動力が上がっているため、行動を咎める・狩ることも容易になっている。

 

つまり相対的に遅くなっている回避・飛び道具が弱い。ダウン展開になったあと、起き上がりの弱いキャラであればまず見てから狩られる。SPであった「見えても間に合わない」「分かっていたのに」という場面も、 Queen Melee ではほぼなくなる。

 

飛び道具に関しては、立ち回りも変わり特殊な運用法もあるため一概に弱くなったとは言えないが、正面からの単純な飛び道具は簡単にかわせるだろう。

 

 

 

Meleeのバグのような

面白い仕様となった「相殺」

 


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皆さん、スマブラの「相殺」というシステムをご存知だろうか。正面から同程度の威力の地上技がぶつかり合ったとき、ふっとびが発生せず、キャラクターは固有ののけぞりモーションをとる。

 

このとき発生するヒットストップは、技の威力によって変動する。ピチューピカチュウの頭突きがコツンと当たってしまうとほんの少しで、ファルコンパンチと魔神拳がぶつかり合えば大きくのけぞる。

 

Queen melee では、スピリッツによって上がったキャラクターの火力を、スピリッツによって上がった防御力で無理やり調整している。つまり、技の威力はとんでもないものになっている。スピリッツが付いていないキャラクターを一発殴ってみれば分かるだろう。

 

そんな状態なので弱攻撃でもまあまあのヒットストップが発生し、それ以上の技となると平気で30F以上の硬直が起こる。ハイスピード殴りあう試合中に、唐突に二人が仰け反り固まる。

 

この「相殺」は見た目が面白いというだけではない。戦術に使うことができてしまう。

 

考えてほしい。もし仮に試合中に相手だけ30F硬直させることができたら?もし仮にそれを意図的に発生させることができたら?

 

これができてしまうのだ。ファイターの技の中には「相殺モーションが発生しない技」が存在する。この技と相手の技がかち合うと、自分はすぐ次の手に移れるが相手は30F以上仰け反る、という状態が生まれる。

 

しかし、そんな技がそうそうあるだろうか?ほとんどの技は相殺があるし、なければ困る。

そんな技ばかりで構成されたキャラクターが、そう。リトル・マックだ。

 


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リトル・マックはこのゲームで全体的に向かい風を受けている。SPでも弱かった復帰が落下速度上昇のせいで目も当てられない。せっかく付いた着地硬直減少も、空中技を使わないんじゃあ意味がない。

 

ではどうなったか?この相殺の仕様のおかげで、「相手を固まらせて最強のスマッシュを叩き込む」というトンデモな「地上最強のロマンキャラ」となったのである。

 

リトル・マックを使いこなして相手を仰け反らせまくる地上最強は果たして現れるのだろうか。それはまだ未知数だが、この「相殺させて硬直にスマッシュをぶち込む」というテクニックを自分の周りで実践でやってのけたのは、られあのパックンフラワーだけだ。

 

 

 

誰でもご家庭のスイッチから、

すぐに。

 


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俺は Melee が大好きだ。ステージ上を軽やかに舞い回り、一度コンボが始まれば目も離せず、そんな真剣な決闘かと思えば意外にもくだらなく笑ってしまうようなバグばかり。明らかに全体的に未完成なゲームだが、そんな中でどういうわけか絶妙なバランスが成り立っている。とても心惹かれるゲームだが、俺はまがいもない「エアプ」「動画勢」だ。

 

 

俺はよく海外のコンボやテクニック、バグの解説動画をよく見る。観ているだけで Melee のスピードに取り込まれるし、なにより面白い。しかし、観ることしかできないのだ。

 

Melee はあまりに敷居が高い。まず環境を整えるのにゲーム機本体・ブラウン管テレビ・オンラインをするならスペックのあるパソコンが必要である。せっかく環境を整えても、待ち構えるのはとんでもないテクニックの数々。キャラクターや技を覚えるだけでは遊べない──遊ばれることはできる。うまくなるにはSPとは比にならない量の努力を要するだろう。

 

しかし Queen Melee は違う。家にある手元の Switch から、10-20分程の一度の準備でずっと遊べてしまう。操作面はどうだ。着キャン?絶?台絶?ぺち?しゃがみキャンセル?そんなものは全て必要ない。SPの単純明快な操作でそのまま始めることができる。

 

選民意識のない、誰でもウエルカムなゲームである。

 

 

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

 

 

と、このように今の所このゲームの「面白くないところ」が一切見当たらない。

 

しかしそんな締め方では終われないので、「面白くないと言われそうな点」をなんとか探し出してみようと思う。搾り出してみようと思う。

 

 

オンライン非対応

 


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SPのオンラインではスピリッツこそ選べるもの「スペシャル乱闘」(いろいろ乱闘)が非対応である。コミュニティの中ではオンラインでも遊べないかと、スピリッツの構成を変えてみたり、ステージ作成の風を使って無理矢理重力を与えてみたりと、色々試行錯誤されているがすべて Queen Melee には至っていない。

よって対人戦をするには、オフライン対戦会で対戦相手を見つけなければいけない。

 

しかしこの点は、自分は全く問題に思わない。このゲームは文字通り「キャラクターを動かしているだけで楽しい」。CPU相手だろうと、この動きができるだけで爽快だ。

さらに、もとよりオフ勢だし、なによりもSPの劣悪なオンライン環境で Queen Melee のハイスピードをプレイできる気など全くしない。SPのスピードでさえ厳しいのに。 #FixUltimateOnline 。

 

 

機能していないキャラクター

「死にキャラ」がいる

 


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Queen Melee では「ずっしり乱闘」で戦う仕様上、挙動が変わってしまう技が多々ある。わかりやすい例で言うと、シークの跳魚は重力のせいで斜め下に大きく落ちるので、地上では小ジャンプを入れないと使えない。

 

この技の変化も Queen Melee の面白みではあるが、もし自分の「復帰技」までも変えられてしまったらどうだろう。

 

この被害に遭ってしまったのが「ソニック」「ロックマン」「ダックハント」の3体だ。

 

SPでは高く上昇していたソニックロックマンの上必殺技が、全く跳ばない。ダックハントに至っては使うと滞空し、なんなら少し落ちてしまうという有様である。

 

この3体はキャラクターとして機能していない。いや、ソニックは蝶のように舞うコンボがあるし、ロックマンは先述した相殺の仕様に大きく助けられている。NAのロックバスター「豆」を相手の技にぶつけることによって、無理矢理硬直させることができるのだ。復帰は目も当てられなくても、リトル・マックとは違った方向の地上最強を目指せるかもしれない。

 

ダックハントは……うん。

 

 

 

「死に技」も

増えている?

 


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先述したように、「ずっしり乱闘」により変わってしまう技がある。また、着地硬直減少によってとんでもなく強化された技もたくさんある。「あの技を振るぐらいならこの技でいい」という場面が増え、使わない技が増えたりワンパターン戦法になりがちかもしれない。

 

 

 

上にバーストしない

 


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「ずっしり乱闘」で重くなったせいで上方向に全然バーストしない。あの軽いことがウリのようなゲムヲでさえ、全くバーストする気配がない。体感30%ほど撃墜ラインが上がっていると思う。

 

自分としてはこの仕様は歓迎だ──無根拠なプラス思考などではない。 Queen Melee はコンボが激しくあっという間にダメージは溜まるし、復帰阻止の展開が多いのでバーストには困らない。むしろこの火力であっという間に上方向に成すすべなくあっけなく終わられても困る。

 

と、思っていたが Melee勢のやぐさんに言わせれば「うーん。」だそうだ。

 

 

みんな”大好き”

「踏み台ジャンプ」が妙に強い

 


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forでは大きく問題視され、SPで改善はしたもののまだまだ世間の目が冷たい「踏み台ジャンプ」だが、 Queen Melee ではとんでもない……妙な力を発揮する。

 

仕組みは簡単。崖外で踏み台ジャンプをされたらどうなるだろう。一定時間操作できずに落下し続ける。これがSPなら大した問題にならないが、 Queen Melee での落下速度だと見逃せない問題だ。多くのキャラクターが帰ってくることはできない。

 

さらに問題なのは、 Queen Melee の落下速度だと踏み台ジャンプを狙う側も簡単に跳び降りて追いつくことが出来るということである。復帰する側は落下速度に抵抗しながら必死に帰ってきてるのに、踏みつける側は簡単に狙うことができる。これは CPU レベル9と対戦してみるとよく分かるだろう。事故か偶然か、はたまたたまたまか、SPでは見られないような頻度で踏み台ジャンプで復帰阻止をしてくる。

 

 

逸話だが、ヨッシーのNBも崖際でされるとやばい。すげー落ちるから決死のレバガチャをしないと決して死ぬ。

 

 

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

 

 

 

さて、ここまでの執筆にどれほど時間がかかったか貴方には想像できまい。だからこそ伝えたい。ここまで読んでくれてありがとう。

 

俺はこれのほどの長文を書き綴るほど、スマブラへの情熱を取り戻した。以前では考えられない。ありがとう、SSQM。

 

Queen Melee が流行る流れは今後ゆっくりと時間をかけて来ると思う。多くの人にとって、何事にも飽きというものは存在し、SP──に限らず、すべてのコンテンツが飽きられるのは時間の問題だからだ。俺は Queen Melee をあと数年遊べる。

 

最後に、ここまで猛烈にオススメしてきたが、SP勢はハマらない方が良い。

「○○ならしないでください!」というエロ広告ではない。

全く同じグラフィックなのにこの速いゲームスピードに慣れて、SPで大きく違和感を感じてしまう。

 

現にられあ;コタツで眠るまでQMをやったプレイヤーは、後日SPの絶不調を訴えた。時間があれば何時間もスマブラをするようなスマブラモンスターなので、正直かなり驚いた。

 

 

SP──たかだか“スペシャル“で居続けるか、その向こう側 "Ultimate" で Queen になるかは、自分で決めてほしい。

 

 

 

いい夢見ろよ……

 

 

【スマブラ高知県大会】第4回きゃくブラ日記



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こんにちは。「ネバダからキマした。」と申します。香川から来ました。

 

先日、高知県のオフ大会「きゃくブラ」に参加しました。純100%自分語り。「オフレポ」なんて大層なものではなく、自身の大会の記録として記します。

 

 

 

みんな、子供の頃行った家族旅行を覚えているだろうか。車で、新幹線で、飛行機で、遠い遠い他の地へ。

 

俺はあの日、生涯で初めて高知県へ行った。

 

スマブラをしに。

 

 

12月22日、土曜日……

ではなく、日曜日。朝。

 

 


駅につくと、ヤンキーが座っていた。まだ空も暗い、真冬の朝7時前だぞ。
しかし、その程度で俺は焦らない。

 

「ぐるさん、おはよう。」

 

彼こそ、今日我々を高知まで連れて行ってくれる人なのだ。今日も金髪に青い服が似合う
な。

そしてもう一人、電車で同じ駅に来た「はてなくん」と、ぐるカーに乗り込む。


さて、高知に向けて出発だ。

 


と、その前に、もう一人「しなのさん」というプリン使いのお兄さんを拾っていかなければいけない。

 

「ぐるさん、しなのさんとどこで待ち合わせしてるの?」

「んー、警察署。」

 

 

警察署の前に立つしなのさん…。もう少し良い場所はなかったのだろうか。

 


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しなのさんと合流。(警察署の前ではない。)

コンビニで各自買い物をし、おしゃべりなレジのおばちゃんに別れを告げた。

 

「高知に行ってきます。ゲームの大会へ。」

 

まるで県代表選手のような言い方とツラをしてきたが、あながち間違いでもないだろう。


行ってくるよおばちゃん。鰹のタタキを勧めてくれてありがとう、勝って食べてくるよ。

 

こうして、高知への旅が始まった。

 

 

 

何分、何時間かかったか分からない。スマブラをする四人で、スマブラの話をしていたら着いてしまった。

 

 

 

スマブラをする四人で、スマブラをしに高知に来たので、観光とは少し感覚が違う。

少し観光っぽかったのは、途中ICでみんなでお土産を買ったことだろう。

 


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このときは、遠足の休憩時間のようだった。しなのさんピースまでしちゃってるよ。

 

 

 

高知県に到着。

スマブラはまだか。

 


無事高知に着いたことにほっとしながら、会場のちより街テラスへと向かう。

 

ちよ……。ふーむ。

 

 

 



 


今回はどんな会場なのだろう。「ちより町」と町名が入ってるくらいだから、市民会館のようなものだろうか。ぐるさんもどんな所か知らないという。

 

そんなことを考えていたら、白とガラス張りを基調としたモダンな建物が見えた。

 

あれじゃないよな、まさか。

 

俺はあれじゃないと言うが、Google Map
はそれだと言う。「右手に目的地が見えます」、と。

 

高松駅前の高層ビルでのまめブラに引き続き、何故スマブラ会場はこうもオシャレなのだろう。

本当にここ?本当にここ?とみんなで言いながら、会場に入っていった。

 

 


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本当にここなのか?

 

いや、今さらもう「オシャレすぎるから」などとは言わない。確かに、中に銀行や高級車の販売店があったり、オシャレだ。外見に見劣りせず、内装もとても現代的だ。俺のガチャピンのTシャツがより一層異彩を放つ。

それは分かった。そうじゃない。そこにあったのは…


リングフィットアドベンチャーの体験会…?

 

キッズe-Sports体験会……?

 

 

ここが今日スマブラをする場所か…?

 

そうは見えない。俺の周りにいたのは若い男オタク(ども)ではなく、母親の前でやんちゃに走り回る子どもたちだった。


以前もこんなことがあったな。オタクの界隈はオタクに厳しくなってきているのだろうか。

 

現地でさらに予想外の香川勢二人と合流したが、それはまた別のお話。


 

 

 

スマブラの会場、

e-Sportsの会場。

 


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会場に入ると、驚く。広い。

 

そんなにバカ広くはないが、正面に大きなスクリーンがあるのと、モニターが十個以上並んでるおかげで、迫力がすごい。「スマブラの大会」といった感じだ。

何よりも、人が多い。

 

そう、この日は「スマブラの大会の会場」というよりも、「e-Sportsイベントの催しの一部のスマブラ大会」といった状態。
スマブラのスタッフ・参加者が多いのは当然のことながら、他ゲーム勢・一般の方がたくさんいる。

 

ぷよぷよ/テトリス勢の台もあれば、なんと、一般の方向けのスマブラの台があるじゃないか。とびきりでかい大画面テレビで、子どもたちが8人乱闘をしている。


そのすぐ後ろでオタク(ども)たちが小さいモニターを凝視しながらアイテム無しのスマブラしてるの、「なにあれ楽しいの?」って感じだろう。

 

そんな会場に圧倒されながらも、フリーが始まる。


それにしても、この会場はフリーも絶景だ。自分がスマブラをしている反対側でも、同じようにモニターがあって誰かがスマブラをしている。オフ大会では普通の光景かもしれないが、いかんせん初めて見たので感激しっぱなしだ。

 


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くそう、今日もとーまリドリー強いでやんの。俺、リドリーが苦手というよりとーまリドリーが苦手なんじゃないの。
またブラウンアイスクライマー、見たことないコンボしてくる。前回こんなコンボしてきたか?やっぱり日々練習してるんだろうなあ。

 

おおっ、がのさんじゃん!ずっとtwitterで仲良くしてたけど、初めましてだ!肩に腕を回してぽんぽん叩いて挨拶する。

 

ばしょうさん居ますやん!今日はお休みって聞いてたんだけど。居ぬ間に火事場泥棒的に入賞してしまおうと思ってたんだけど。
そう思ってたのは俺だけじゃないようで、高知勢も笑ってばしょうさんに挨拶してた。

 


とにかく、いろんな台を回った。数十分後にはここで大会の本戦をするんだ、早く会場の雰囲気に慣れないと。

 

緊張と興奮が冷めないので、しなのさんに訊いた。


「この会場すごくない?しなのさん緊張しないの?」

 

しなのさんはポーカーフェイスなのかふわふわしてるのか、いつもにっこりしているので、とても余裕そうに見える。

 

「いや、僕東京とか大阪の大会も行ったことあるから、ははは。」


ははは、じゃあないんだよ。

 

まったく、前回の初オフ大会のまめブラよりだいぶマシになったとはいえ、まだ緊張する。たいよさん、俺の手を握ってくれ。

 

 

 

第一回戦。

まだ心の準備が…

 

 

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本戦が始まる。ホワイトボードにトナメ表が書き出され、名前が読み上げられる。

初戦の相手はゼロサム使いだった。

 

やばい。

 

ゼロサムは苦手どころか、何をすればいいかわからない。「強いから対戦が苦痛で苦手」どころか、「いつの間にかやられるから何も分からない、真っ白」という状態。
そのうえ、対戦したこともない相手なので、本当に何もわからない。

 


その上、もう一つ俺に問題があった。まだ集中できない。

 

なんだろう、何故こんなに他人事なのだろう。

 

会場があって、目の前に相手がいて、もうステージ選択も終わらせて、スマブラのロゴと共にゲムヲが大きく表示されたのに、全く集中できない。

 

家でスマメイトをするときには、この段階ではもう「拒否する技はこれとこれで、撃墜する方法はあれとあれで…」って考えて「よし。」って膝を叩いてるのに。


試合前、ぐるさんに肩をぽんと叩かれて「気抜くなよ」って言ってもらえた。「まだ一回戦目で強豪プレイヤー相手じゃないからって、油断するなよ」ってことだろう。ありがとう。

 

でも違うんだ。気が抜けるんじゃない。


まだ気すら入ってないんだ。

 

 

立ちはだかるゼロサム

しかし、真の相手は…

 


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相手のゼロサムは、まずまずの動きだった。いや、「強キャラであるゼロサムの中ではまずまず」というべきだろう。この動きなら、VIPで充分勝てる腕前だ。


パラライザーや空下のタイミングが読みやすかったりしたが、隙あらば飛び込んで上スマを入れてくるし、撃墜帯になるとしっかりと要所でガーキャン上Bを入れてくる。

 

これだけ相手の情報が試合中に分かっても、どうすればいいか分からないのがゲムヲにとってのゼロサムだ。


なんとか一本先取したが、すぐに一本取り返されてしまう。

 

 

何をしていいかわからないゼロサムに、ふわっとした集中・メンタル状態のゲムヲ。そこに、もう一つ問題が降りかかる。

 

 

トイレ行きてえ。

 

 

なんで今なんだ。高速のICに二回も寄っただろう。

 

しかし、便意は人を変える。

 

「肛門とゲムヲ双方をコントロールしなければならない」という人生において前例を見ない異常事態に、脳が覚醒したのだろう。肛門30%・ゲムヲ75%という意識配分で戦いながらも、なんとか勝ち抜いた。

 

これは、集中できない俺に対して、俺の身体が咄嗟に取った緊急処置なのだろうか。

ありがとう、便意

 

 

 

 

なんとか勝ち上がった一回戦。

次に戦うのは…

 


ジャー。


ふう。なんとか勝ったからよかったけど、集中できないのは本当に悩みものだな。

 

やっぱり俺はいつもみたいに、宅オフで皆でわいきゃい騒がないと調子が出ないのだろうか。ああ、香川のみんながちょっと恋しい。

 

 

さて、次の対戦相手は誰だろう。

 

ヤトくんだ。(数日前ヤウラに改名したが、当時はヤトくんだった)

 

正直、分からない。そりゃそうだ。ここにいるのはほとんど高知勢。何回か対戦したが、それだけだ。

 

スガくんに真っ直ぐに訊いた。

「ヤト対策何かない?」

 

すると、それを聞いた青年のプレイヤーが声をかけてきた。

 

「もうヤト対策してるんですか?」
「ん?はい、そりゃしますよ、ハハ。」
「……」

「…あ、ヤトさん?」

 


隣にいたの全然気付かなかった〜。

 

 

正直まだこの段階で、高知勢の顔と名前が全員は一致してなかった。全員スガなんですくらいに思ってた。今でもちょっと思ってる。


「で、ヤト対策何かない?」
「えぇ?えーっと、キャラクターはクラウドです。クラウドは今もうゲムヲにしか出しません(笑)」

 

 

いや、やめてくれよ。それにしてもゲムヲ専用クラウドって。そんなクラウドがあってたまるか。しかも、四国でゲムヲ専用クラウドって、それ対俺にしか使いどころないじゃん。やめなよ。やめてよ。

 

 

 

対決、ヤトクラウド

 

 


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いよいよ二回戦だ。隣にヤトくんが座る。

 

すると、後ろにギャラリーがぞろぞろ集まった。そりゃそうだ。対戦相手は大会で何度も入賞してるヤトくんだ。


そして、ゲムヲ使い…というより、俺の後ろに来たギャラリーは皆言う。

 

「ジャッジ?」
「ジャッジキめてね!」
「3回9出せばヤトさんにも勝てるよ!」

 

香川でも高知でも変わらないのか。

 

俺はギャラリーのがのさんを捕まえて伝えた。

 

「じゃあ、当てるから。9キめたらスタンディングオベーションしてね。」

 

まめブラでたいよさんにもお願いしたこの約束、今度こそ果たせるかな。

 

 

 

対戦よろしくお願いします。

 

すると、ヤトくんがワイヤレスイヤホンを取り出して片耳に着けた。

 

へえ、そういう集中の仕方するんだ。面白いじゃん。俺もコーラをぐびっと飲んで、タオルで手汗を拭く。

 

ぷはーっ、よし。


一回戦と違って、今回はすごく集中できる。ヤトくんがどんなプレイヤーかよく分かってないとはいえ、とにかく強いのだけは分かる。それさえ分かれば、充分だ。

 

 


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強い。やっぱり強い。俺は押され気味だった。


試合中ずっと「押され気味だな」程度にリードされ、そのまま負けてしまう。それが「対戦相手が堅い」ということだ。

 

クラウドのリーチをしっかり活かしている。それをされるとゲムヲは近付けない。
ときどき空中ジャンプや空中攻撃が読めたが、それももう次には通じない。スマブラを完全に分かっている。

 

しかし、その読まれた「たった一回」が良くないんだ。

 

「ここ」だ…!

 


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ステージに戻ってくるクラウドに、ジャッジを振る。

 

カキーン。

 

思ってもいない瞬間に、思ってもいない展開で、一瞬で1ストックを持っていく。試合を「壊す」とは、こういうことだ。

 

後ろから大きな歓声が湧き上がる。


俺は完全に集中していたので、当てた瞬間は本当に平然としていた。

 

正直、当て慣れている。forが発売した5年前、下投げからのジャッジが確定のあの頃は、当てるたびに大騒ぎしたものだ。今でも大逆転が嬉しくて大騒ぎすることもあるが、今日だけは違う。勝つ。集中だ。

 

 

しかし、後ろからの多くの歓声を聞いて、強い感情が湧き上がった。

 

よっしゃああああああぁっっ!!!!!

 


その後のヤトくんは、分かりやすく動揺していた。動きが違う。うってかわって攻めてこない。

今しかない。


その勢いで、一本先取した。

 


しかし、そこはヤトくんだ。二戦目にはもう調子を取り戻していて、「押され気味のまま」負けてしまった。

 

 

 



 

負けてはしまったが、さっきヤトくん相手にいつの間にか一本先取できた。あまり信じられない。

 

ゲムヲ使いの面々、「ジャッジは不要論」考え直してみませんか。



 

 

 

 

噂の、都市伝説の、

がのディディー。

 


ヤトくんと楽しい試合を終えたところで、少し休憩。観戦に回ることにした。

 

並んだモニターを全部使ってする大会、どの試合を見ようか非常に悩む。しかし、一台だけ異彩を放つ台があった。

 

がのディディー対しなのプリン。

 


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ディディーって。ゲムヲやロゼチコ、カムイより見ないぞ。


聞くと、がのさんはXの頃からディディーを使っていて、9Bだのなんだの、その辺りの当時の強豪とがっつりスマブラXをして、バナナの皮二枚を自在に操っていた世代らしい。


なんだそれ。この人、「ディディーの歴史」じゃん。

 

かたやプリンって。説明不要。

 


お互い思ってるんじゃないだろうか。
「ディディーって。」「プリンって。」


二人がそう思ってるかはともかく、気になる試合だ。

 

 


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とは言っても、俺が見に行ったときにはもうお互い残り1ストック、撃墜圏内だった。残り時間1分もない。

 

えっ、この人たち6分以上ぶっ続けでスマブラしてるぞ。


しかも残り数十秒。一番緊張が高まる場面だ。ディディー対プリン、タイムアップが近いとなったらお互いにすることは一つ。タイムアップでの蓄積ダメージ勝ちだ。

 

最初は僅差でディディーが勝っていたが、プリンが強攻撃や空中攻撃を喰らってしまって、差が大きく開いてしまう。スマッシュ一発でもひっくり返らないだろう。

 

もうダメだ。

 

ねむる?無理無理、あのディディーは突っ込まない。ころがる?当たりやしない。

 

このままディディーが勝ってしまうのか、観ていた皆がそう思っていただろう。その矢先、プリンちゃんがディディーの着地に合わせてDAをした。

 

 

DA?

 

 

そう、プリンのDAには相殺モーションがないのだ。技の打ち合いにめっぽう強い。

 


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なるほど着地狩りにDAか。おっ当たった、、、おおおおっっ!!

 

なんと、そのままディディーをバーストラインまで飛ばし、撃墜してしまったのだ。残り10秒程度で。

 

 

これにはギャラリーも大騒ぎ。俺も大騒ぎ。歓声か悲鳴か分からない声が上がる。

 

タイムアップ狙いの試合なんて実際には初めて見たし、それで大逆転撃墜までしちゃうなんて。まったく、面白いプリンだなあ。

 

 

 

オフに通い続けて、

感じること。

 


さて、俺はルーザーズに落ちてしまったわけだが、ルーザーズを通して感じたことがある。

 

スマブラ、強くなってる。

 


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飛び道具に困らなくなった。トゥーンリンク弾幕に対して、歩いて間合いを詰めながら、ジャスガで近付いていけるようになってる。歩きと走りを使い分けられてる。

 

先行してるときにミスしても、ペースを乱すことなくリードを取り戻せられてる。心に余裕ができてる。

 

何より、まめブラのときみたいにルーザーズに落ちてより緊張することがなくなってる。あーあ、第2回まめブラもう一度やり直しませんか?

 

 

 

いよいよ対面、

がのディディー。

 

 

そんな調子で、ルーザーズを楽しんでいった。そうして勝ち上がったら、いよいよ当たった。噂のがのディディーだ。

 

 

しかし、あのしなのさんの試合を見て分かったことがある。タイムアップを狙えばいいんだな。3ストック取る必要はない。ダメージ先行して、その状態を維持だ。

 

しなのさんにそれを伝えたら、

「うん、ディディーはそういうキャラだしね」

と言われた。

 

あと、ぐるさん方に「バレルに気を付けて、ガードでいい」と教わった。

 

 

よし、対策万全、余裕、勝てるわ。

 

 

 

実際試合中も、そのとおりに動けた。バナナには文字通り付き合わなかったし、先行したら守りを硬めた。こちとらゲムヲ使いだぞ、何時間でも待ってやるわ。
オンで学んだうっすい知識、近付いてバナナを生成させないとか、生成中に間合いを詰めたり妨害したり、といったこともできた。

 

しかし、一戦目を取られてしまう。

 


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二戦目、forの頃使い込んでいたダックハントを出そうか悩んだ。そこで、ふとウメハラさんの書籍の言葉を思い出す。

 

「負けるときは真っ直ぐ負ける。自分の戦い方を崩さない。負けそうになって揺らいでいるときに自分の戦い方を崩すと、そこから崩れ続ける。
勝ち負けは結果でしかない。そんなもののために、戦い方を崩してしまってはいけない。」

 

 

勝てる見込みは正直ない。ゲムヲよりはダックハントのほうがいけるかもしれない。


しかし、ゲムヲを選んで負けた場合と、ダックハントを選んで負けた場合、どっちが悔いなく香川に帰れるだろうか…

 

さっきダックハントに揺らいだが、そう考えて迷わずゲムヲを選んだ。すると、結果こそ負けたが、個人的にとても良い試合になった。途中でがのさんに喰らいつくこともできたし、一瞬いけると感じた。

 

 

ありがとう、ゲムヲ。やっぱりゲムヲが好きだ。

 

そしてありがとう、ダックハント3DS最初期からWiiU最期まで、楽しかったぞ。

 

 

リトルマックは、、、おう。

 

 

 

フリー……

なんです。

 

 

トーナメントから敗退してしまい、お昼の時間になった。フリー兼休憩時間だ。

 

皆から「ネバダさんもお昼来る?」と誘われたが、ゴメン。今日、高知県が楽しみすぎて、自分でおにぎり握ってきちゃった。遠足かよ。

 

会場内は食事禁止なので、ボードゲームコーナーを兼ねた休憩室に独りで行って食べた。

 

休憩室で、周りの一般の方がボードゲームしてる中、部屋の隅でもそもそおにぎり頬張ってる瞬間は、「何してるんだろう?」って感じ。

 

もそもそ食べ終わってお手洗いへ行くと、こんな光景を見た。

 

 

 

フリーは、ほぼ満席だった。この人たちはいつ食事をとっているのだろう。

 

そんなことを考えながら台を見て回っていたら、事件が起こる。

「スガなんです。」のスガくんいるじゃん!!

 


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スガくんは、高知勢のクロム使い。四国リーグであしもリュウケンとの激闘を見せ、その使用キャラと名前のせいか、香川勢は勝手に親近感を覚えている。ろくに絡んだ事もないのに。

 

これは是非フリーをしてもらわなきゃ。試合が終わったところで声をかけた。

 

「すみません、次フリーしてもらえますか!」
「あっ、じゃあこれ終わったら…」
「はい!!」

 


やったぜ。しかし、なにか様子がおかしい。スガくんの台、全く楽しそうにフリーしていない。いや、真剣にフリーをすることは普通のことだし、珍しくはない。よほど燃える相手で、本気でぶつかり合ってるのだろう。
それにしても…。

 

俺は大会主催のふろむさんに訊いた。

 

「ふろむさん、あの台フリーですよね。」
「いや、あそこだけまだ本戦やってるのよ。」

 


おやおや。

 

なんでよりによってあの台だけ。本戦中の人にめちゃくちゃフランクに話しかけちゃったじゃん。ゴメン。

 

 


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スガくんとのフリーはとても充実した。スガくんのロイクロムについてあれやこれやと色々と訊けた。聞きたいことだらけで、全部香川から準備して持ってきた質問だ。


ロイクロムはどう使い分けてるのか、クロムの対策は何か、どうして四国リーグのあのシーンでああしたのか……

 

多分、香川勢であそこまで「スガなんです。」に訊けた人はいないだろう。みんな勝手に親近感を覚えてるけど。


その後、スガくんと「テトリスのトッププレイヤーのサインを貰えるじゃんけん大会」に参加した。スマブラ勢の中で唯一一緒に勝ち上がるけど、結局一緒に負ける、という逸話もある。が、それはまた別のお話。

 

 

きゃくブラ、

いよいよ大詰め。

 

 


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いよいよ、本戦上位の試合だ。

さっきまでぷよぷよ/テトリス勢が使っていた、正面のでっかいスクリーンと壇上をスマブラ勢で貸し切る。

 

トーナメントに残っている香川勢はしなのさんだけ。香川勢みんなでしなのさんを応援した。

 

 

 

香川勢だけではこと足らず、最前列に座った一般の子供たちまでもしなのさんを応援しだした。しなのさんを、というより、プリンを。

 

プリンの試合は単純明快で見ていて気持ちが良い。

飛んで、相手を画面外まで押し込む。隙あらば、相手を上空に叩きあげて眠る。

 

うおおおおおおおおっねむるだあぁっ

ん…?しなのさんのねむる、初めて見たかもしれない。

「リスクリターン考えるから、あんまねむらない」って言ってたな。

 

うおおおおおおっ歌うだあぁっ


いっけえ相手の顔面に飛び込んでねむれえぇっうおおおおおおおおばしょうさんレバガチャはっえええええぇぇもう起きちゃうのかよおぉぉ


こんなに盛り上がってるんだぞ、決勝はまだか。


今日はアツい一日になるぞ。

しなのさんは、相変わらず余裕そうな表情を見せていた。

 

 

 

 

ありがとう、高知県

 


「よし、じゃあひろめ市場に現地集合ね。」
「えっ、じゃあ俺ばしょうカーで行きたい。ほらっしなのさんも乗ろ乗ろ。」

 

先制攻撃で無事ばしょうカーに乗り込むことに成功し(ばしょうさん乗せてくれてありがとう。)、三人でひろめ市場に向かった。

 


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このカーの中で、なかなか面白い話が繰り広げられた。


「しなのさんはスマブラで強くなるために、スマブラ外でも自分を鍛えるトレーニングをしている」という驚きの話から、「決勝でキンクルやルキナを出されて、みんなはプリン厳しい・ダメだと思ってたけど、しなのさんは別に…と思っていた」という小話まで。

 

それにしても、決勝戦プリン対キングクルールって。これがスマブラ"Ultimate"だよ。


外は雨が降り出して、冬を感じる寒さになっていた。もう12月か。

 

車を停め、ひろめ市場まで歩いて、みんなで集まって、一店舗貸切状態になった。そりゃそうだこんな大人数で。いつもすみません。ランチしたら帰ります。

 



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高知勢は、普段一緒に食べることがないという。今日、こうやって大人数が集まるのは初めてだとか。あのプレイヤーのこんな話や、あのプレイヤーの実年齢の話で盛り上がった。

 

 


朝、香川で寄ったコンビニのおばちゃんに伝えなきゃな。鰹のタタキ食べてきたよ、優勝してきたよ、って。

 

 


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帰りは、ぐるカーとたくあんカーの二台で別れて帰った。運転手の二人以外がグッパ(グーとパーで別れましょ)して、ICでまた合流して、またグッパしてぐるカーたくあんカー交互に乗った。遠足みたい。

 

高知に行って香川に帰るまでずっとスマブラの話してた。あっという間に着いちゃうなあ。もう地元なの、なんて言って。

 

 


長くなってしまったが、最後に、「どうしてプリンを使ってるの?」という俺の問いかけに対する、優勝したしなのさんの言葉で締めようと思う。

 

 

 

「ふふっ、カワイイから(笑)」

 

 


良いお年を!

 

 

 

 

第1回スマブラ四国リーグ日記



こんにちは。「ネバダからキマした。」と申します。東日本から来ました。

先日、四国で一番のスマブラプレイヤーを決める「スマブラ四国リーグ」が開催されました。その日記を書き綴ろうと思います。

純100%自分語り。「オフレポ」なんて大層なものではありません。

 



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冬の始まり、冷える朝。

 

 

今日だ。いよいよこの日だ。

 

スマブラ四国リーグ。今日、いよいよ四国で一番強いスマブラプレイヤーが決まる。

 

みんな簡単に四国リーグ四国リーグと口にしているが、「地方最強」が決まるのは、想像以上に大きく重いことかもしれない。

今までこの地で歩んだ道、見てきた景色、会った人々たち……それら全ての中で一番スマブラが上手い人間が一人、今日、決まる。

 

 

待てない。そんな大きな瞬間を、早くこの目で見たい。

 

 

手が震えるのは、冬の寒さだろうか。

それとも、武者震いというやつだろうか。

 

 

 

 


……遠い!!!

 

 

 


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俺は昨日、何を考えたのか、ふと「自転車で行ってみるか、交通費浮くし」と思ってしまった。

 

そして今、朝の9時半に川沿いを自転車で全力走行している。

 

香川県って狭いんじゃなかったのか。中学校で習ったぞ。県の端から端まで1時間くらいかと思ってた。

 

こうやって自転車で川沿いをずっと下っていくの、何年ぶりだろう。小学生の頃、友達とみんなで意味もなくただただ遠くまで行ったな。

 

 

少年時代に思いを馳せながら、自転車を揺らし会場へと向かう。

 

 

 

四国最強が決まる場所は、

ブックオフ

 

 

さて、たとえ四国リーグとはいえ、会場に着いてしまえば「いつものブックオフ」だ。

 

そんないつものブックオフに、今日は高知徳島愛媛の人も来るという。あまりピンと来ないなあ。

 

 

 

ブックオフ……?

 

そう、我々香川勢は「ブックオフで」スマブラオフをするのだ。

 


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ここは「ブックオフ屋島店」。至って普通のブックオフ……とは一味違う。とにかくデカい。

 

古本に始まり、ゲームやフィギュア、そしてユニクロも驚きの量の衣服を売っている。もしかしたらもっと色々売っているのかもしれないが、いかんせん広いので全貌を見たことがない。

 

そんな店なので、土日にもなると家族連れで大繁盛だ。衣服棚の前には服を選ぶおばちゃんが常にいるし、入口はいつも人が出入りしている。

 

和気あいあいと家族でショッピングできる新屋島店だが、ただ大きいだけではない。

二階に行くとがらっと空気が変わる。

 

香川中のゲームオタクが集まる「ブックオフアリーナ」があるのだ。

 


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モニターとゲーミングパソコンがずらりと並ぶ、まさにオタクのための場所。どういうわけか、ボードゲームやカードゲームも完備している。

 

我々香川勢はこのブックオフアリーナにお世話になっている。オフになればここに集まり、ここでスマブラを繰り広げる。


もう店員の顔と名前も覚えてしまった。それくらいお世話になっている。

 


ネバダさん、こんにちは。」


俺も覚えられてしまった。

 

 

 

オフ大会はフリーから。

 

 

さて、着いた頃には11時前。もうみんな横一列に並んでフリーが始まっていた。

 

7,8個並んだモニター全てにスマブラが映っている。絶景だ。横一列に肩を並べたプレイヤーの中には、見たことのない顔が多々いる。なるほど、他県勢だ。

 

どんな強者が来ているのだろう。どんなキャラクターを使うのだろう。楽しみだ。


強いプレイヤーたちの背中を見てると、自分の中でスマブラの血が湧き上がってくる感覚がする。

今から、まだ知らぬ他県のプレイヤーとスマブラができるんだ。

 


「きたきた。ネバダさ〜ん!」

 

いつもの香川勢がニコニコ笑って手を振ってきたので、俺は結局、いつもの香川勢たちと座った。

 

 

初めて見るワリオ使い。

 


いつもの香川勢とフリーを終え、あったまってきたところで、他の台を回ることにした。

 

(いつもの、と簡単に言ってはいるが、苦手なキャラだったり県大会無敗者だったりと、香川勢どもはイヤに厄介なのですぐあたたまるのだ。ムキー。)


さて、どの台にしようかな。

……お、ワリオじゃん。四国でワリオって言ったら彼しかいない。うぃんぱ〜ワリオ

 

 


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四国窓窓主で、県大会準優勝。昔からオフをやっていて、確かな腕がある。今回の四国リーグ本戦にも出場する強者だ。

いきなり会えるとはラッキーだ。よし、やってやるぞ。

 

「すみません、次入れてもらえますか」

 


俺が間違っていたのだろうか。

 

俺が甘かったのだろうか。

 

このとき、俺は肩透かしを食らうことになる。

 

 

 

「あ。はい、どうぞ」

 

そう笑顔で答えたのは、オシャレなピアスをつけた「好青年」だった。人柄の良さが表情から滲み出ている。

やめろ。そんなステキなスマイルで俺を見るな。俺はゲムヲ使いだぞ。

 

ワリオ使いというのを今まで見たことがなかったので、どんなプレイヤーが使うのか想像できなかった。

 

いや、プレイヤーを見た目や話し方で判断することは普段絶対にしない。クラウド使いだろうがアイク使いだろうが射撃Mii使いだろうが、俺は全員「一人のスマブラプレイヤー」として見ている。
「使用キャラでその人の性格が、評価が、」ということはないと考えている。

 


しかし、今まで見たことがなく、ただただ自分の中で未知のものだったのだ。ワリオ使いが。


バイクとかデカ頭とか屁とか、コミカルな肉弾戦キャラだから、どんなムキムキの体育会系プレイヤーが使ってるのかと思いきや……

 

 

ネバダさんですか、名前覚えてますよ(笑)」

 

やめて。良い人ビームしないで。僕ゲムヲ使いなの。上強オナラが繋がる%になったら、ガンガン逃げてガーキャン上Bしかしない、あのゲムヲなの。いや、繋がらなくても逃げ回る。

 

 

想定外の好青年に怯んでしまい、ちょっと調子が狂う。

 

なんだか、今日は9が出そうにないなあ。

 

 

 

やっぱりすごいぞ、

四国代表。

 

「対戦よろしくお願いします。」

 

試合を始めると、何かが噛み合ったのか、ゲムヲがかなり大きくリードした。正直、思ってもいない展開だ。

 

 


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ダメージ有利になってしまえばゲムヲのペースだ。たとえワリオとはいえ、無闇に攻めれまい。


うぃんぱ〜ワリオもそれをよく分かっているようで、お互い地に足つけて、待ち合い睨み合いが始まる。

 

 

そこで俺はふと思いついてしまった。ちょっとした出来心だ。

 

 

十字キーに指を伸ばす。

 

 

挑発して攻めてもらったほうがゲムヲ的には美味しいし、ちょっとこの睨み合いの緊張感もほぐしたい。

 

俺が何も考えずに十字キーのキーコンを初期のままにしてると思うなよ。

 

 


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ピリリリリリリ!!!!

 

 


睨み合いの真っ只中、ゲムヲが高らかに鈴を掲げ上げる。


まあゲムヲの可愛いこと。嬉しそうにお口まで大きく開けている。

 

 


しかし、やっぱり俺が間違っていて、

俺が甘かったのだろう。

 


うぃんぱ〜さんはくすりと笑うことも挑発に乗ることもなく、ただ動じず真剣な眼を画面に突きつけていた。

 

 

ひっ、ごめんなさい…。

 

 


これが四国代表になる人か。結局俺はオナラを顔面に食らって負けた。

 

 

 

始まる設営、

漂う緊張感。

 


「対戦ありがとうございました〜」

 

うぃんぱ〜さんは、またけろっと素敵スマイルをしてお礼を言った。さっきの眼が嘘みたいだ。なぜスマブラプレイヤーは試合中だけ背中から殺気を放つのだろう。


その後もいろんな人とフリーをした。

 



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リドリー使いだったり、なんとあのアイスクライマー使いもいた。まさか実在するとは。あの寸分狂わぬ切り離しコンボ、botか何かだと思っていた。
SPはとにかくいろんなキャラクターがいて楽しい。

 


そんなフリーを楽しんでいたら、時間を忘れてしまっていたが、いよいよ始まる。四国リーグの予選だ。

 

 



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全員フリーを切り上げて、60インチは超えるであろう大きな画面の前に座る。香川勢は見慣れたと思っていたが、改めて見るとデカいな、この画面…


今回はいつもの県大会やブックオフアリーナとは違う。大会の様子を全世界にYouTube配信するのだ。実況解説・定点カメラ付きで。

 

 


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確かに、画面の横に実況解説らしき人が座っている。画面の裏でも、スタッフ数人が動き回りパソコンを操作している。
なんと、テレビ番組の撮影みたいな大きなカメラを抱えたスタッフまでいるじゃないか。

 

大画面には配信画面用のテロップ、YouTubeライブのリアルタイムコメント、プレイヤーカメラが映っていて、もはやテレビの試合中継のようだ。

 

なるほど、これはただの大会じゃないぞ。会場の雰囲気がそれを物語っている。

 


しかし、不思議と俺は落ち着いていた。

 

特別高まることもなく、ただただ始まるのを楽しみにしていた。前回初めて参加したオフ大会、まめブラではとんでもなく緊張してあたふたしていたのに、随分と慣れたものだな。

いや、今回は参加せず見学だけだから余裕なだけなのか……

 


「スゴいですね、なんか僕まで緊張してきちゃいました…」

 

隣で香川勢のsueくんが笑う。

いや、やっぱり初のオフ大会はそうだよね。見てるだけでもなんか緊張するよね。

 

 

ちょこっとだけ成長を感じた自分に笑いながら、四国リーグが幕を開けた。

 

 

 

目が離せない四国リーグ。

けれども……

 


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ついに四国リーグ予選が始まった。

 

予選とは言っているが、実況解説までついていて、参加者全員が県大会優勝レベルだ。

 

ちよトレ、マキノポケトレ勇者、ばしょうフォックス、橘ポケトレ……なんだなんだ、リュウケン使いまでいるじゃないか。一試合たりとも見逃せるものではない。

 

 

会場の全員がそう思っていたのだろう。皆画面に張り付き、それぞれ後ろから推しプレイヤーを見守っている。

 


お、ちよさんまた勝った。県大会では絶対に負けないであろうちよさんも、地方大会レベルにもなるとさすがに少し不安だ。いつもより試合に見入ってしまう。

お、あれが県大会を優勝した中学生の橘くんか。どんなプレイを見せてくれるのだろう。

 


そう、一戦たりとも見逃したくない。の、だが……

 

 


スマブラがしたい。

 


俺は今日スマブラを見に来たんじゃない。スマブラをしに来たんだ。

 

用意されていたフリー台は全てガラ空きで、人っ子一人いなかった。こんなすごいスマブラを見せられて、みんなよく座ってられるな。

 

ウメブラやEVOの決勝を見て、スマブラのモチベーションが湧き上がったことはないだろうか。まさにその感覚を、今生で目の前で体験させられているのだ。

 

もう黙ってはいられない。誰でもいいからとっ捕まえて俺のゲムヲを見せてやる。

手始めに隣に座ってるお兄さんからだ。

 


「すみません、フリーしませんか!!」

 

にこっと笑ってはみせたけど、胸の中の闘志を抑えるのに必死だ。

 


「あっ、すみません、次ぼく……」

「?」

 

 

フリーの約束でもしてるのだろうか。それなら仕方がない。他の人を捕まえて…

 


「あしもさん、配信台にお願いします。」

 


なるほど。あなたが徳島を代表する最強プレイヤーでしたか。見学席の隅で控えめに座りやがって。

 

 

俺はただただ笑いながら手を振って、配信台へと向かう彼を見送った。

 

 

 

出たな、橘ポケトレ

 

 

「配信台、マキノ対橘。」

おっ、いよいよ来た。決勝かどこかで見ると思ってたが、まさか予選だとは。

 

初の県大会で文字通り一敗もしなかった、スマブラ激うまお兄さん。それなのにポケトレをメインに、勇者、ドンキーと多キャラ使いときた。フリーのときに「今日はジョーカーも〜」などと言っていたが、どこを目指してるんだこの人は。

 

そして橘くん。レート2000越えの中学生で、なんとSPが初めてのスマブラらしい。そして県大会も優勝。

 

 

可愛くねえなあ。中学生なんて友達4人で集まってファルコン・パンチ〜キャッキャしてるもんだろ。県大会て。優勝て。

 

この二人が早くも肩を並べる。これが四国リーグだ。

 

 

どんな試合が見れるのだろう。二人とも最強レベルのポケトレだ。ポケトレミラーは面白そうだな。三体のポケモンの使い分けに、それぞれのプレイヤーの味が出そうで…

 

 



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JOKER!!!

 

 

 

 

 

…マキノさん?

 

 

 

 

頭角を現し、

混沌としだす四国リーグ。

 

 


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マキノジョーカー対橘ポケトレ。実況解説も驚いていた。しかし、俺はもうまめブラで驚き疲れた。

 

マキノさんは、ぽっと予想外のキャラを出して、ぽっと使いこなしてしまう。ちゃっかりトレモもものすごくやり込んでる。そういう人なのだ。ここでジョーカーを出すのも、きっと俺にはわからない理由があるのだろう。

 

しかし相手はあの橘くん。噂通りだ。強い。強すぎる。素人目(レート1600、その差実に400以上)で観てもわかる。

 


スマブラがお堅い。堅いくせに、時折ぶち込んでくるフシギソウの空上や上Bで壊していく。ポケモンチェンジ芸も魅せていきながら。

 

 

結果、橘くんが勝った。俺は負けるマキノさんを見るのが初めてだったので、ただただ驚いた。


いや、負ける橘くんを見ても同じように驚いていただろう。「どっちが勝ってもおかしくない」というより、「どっちが負けてもおかしい」という対決だったのだ。

 

 


わかったか、これが四国リーグだ。

見ている俺の身も引き締まってきた。

 

 


ぃよっしゃああああああああああ!!!!

 

なんだなんだ。真隣から大きな雄叫びが上がった。プレイヤーが我を忘れて飛び上がる。


大きく拳を上げていたのはあのばしょうさんだ。ばしょうさんはオフに参加して数年、県大会に優勝したりと様々な実績を残してきたが、ちよさんに勝ったのはこれが初めてらしい。

 

 

やばい。あの最強の香川勢二人が負けた。いやそれより、あのクールで冷静沈着なばしょうさんが、椅子から飛び上がっとる。まじかよ。

 


わかったか?これが四国リーグなんだ。

 

 

 

スマブラe-sports

 

 


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時々フリーを挟みながら観戦していたが、改めてわかったことがある。

 

スマブラすごい。

 

まず、会場の熱気がすごい。皆は画面にくっついてたから気付かなかったかもしれないが、会場の外から引いて見たら、人数がとんでもない。あそこにいる人間全員スマブラするのか。

 

あまりにすごい熱だったので、外にも伝わったのだろう。なんと、一般の家族連れの立ち見が発生したのだ。会場内に入る若者、会場外から興味本位で覗くお父さん…

 

男オタクどもに紛れて、最前列に小さな女の子が座ったときにはさすがに驚いた。ここはおまえの住む世界ではない。

 

 

スマブラというのはこれだけ大きなゲームなのだ。分かっていたようで、実際に目にしたのは初めてかもしれない。

 

 


しかしまあ、とにかく会場の熱気のすごいこと。

 

目の休憩も兼ねて、一階のトイレへと向かったときのことだった。

会場を出て、階段を降り、一階の洋服コーナーで服を選ぶオバちゃんたちをかき分け、奥にトイレが見えた。そのとき。

 

 

 

「「「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!」」」

 

 

 

あしもリュウ、何かしやがったな。

 

キミたちの歓声、一階の端まで聞こえてますよ。

 

 

 

 

四国リーグ本戦。

四国一が決まる。

だけれども……

 

 


異様な熱気に包まれながら、四国リーグ本戦が始まる。偶然にも、四国四県からそれぞれ一人ずつが本戦進出した。

 

ここまで来てようやく気が付いた。スマブラが上手い人の試合というのは、見ていて面白い。

 

ちよさんは面白いキャラで、見たことないようなコンボをして、すごいボールスナイプをして、ガンガンメテオを当てていく。
マキノさんは予想外のキャラで、綺麗に予想外の勝ち方をしていく。


四国リーグ他県代表者3人も一緒だ。橘ポケトレ、スガなんですクロム、あしもリュウケン。それぞれ皆違う面白さを持っている。

 

 


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特にスガクロムとあしもリュウの試合は目が離せなかった。剣キャラは剣キャラでも、尖りまくった性能のクロム。それに対し、テクニカルに火力を伸ばしていくリュウ

 

キャラクターだけでも面白いのに、スガクロムが崖カウンターを魅せたり、崖外に飛び出して上B巻き添えを狙ってキメた。

トッププレイヤー同士でも、こんな大胆なプレイができるのか。今日一番歓声と笑いが上がった瞬間だろう。


四人とも、どの試合もアツかった。キャラも良ければプレイヤーも良いので大白熱。

 

 



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その試合を制したのは、橘くん。決勝3タテ、圧倒的だ。

 

会場は拍手に包まれ、配信の勝者インタビューが始まった。なんと優勝トロフィーまでも授与された。会場は熱く和やかなムードで橘くんを祝福し、四国リーグは、こうして幕を閉じた。

 

 

 

けど、何か忘れていないか?




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俺たちは、スマブラをしに来たんだ。

 

 

 

待ちに待ったフリー。

しかし、そこに現れたのは…

 


皆よほどスマブラがしたかったのだろう。決勝戦が終わった直後だというのに、あっという間に全ての台が埋まってしまった。俺も、結局またいつもの香川勢と固まっていた。

 

しかし、コトは起きた。

 

「おつかれ〜」

 

 

そう言って歩いてきたのは、橘くんを連れたちよさんだ。おつかれ〜、じゃあないんだよ。なに四国三位が四国一位連れて歩き回ってるんだよ、ビビるだろ。

 

 

スマブラをしているところに、スマブラプレイヤーを連れてくる。しかもそれが大会優勝者、ということは、

 

つまり、そういうことだ。

 

 

 

対決、橘ポケトレ

 


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いよいよ橘くんと対決だ。率直に言って今までのプレイヤーとは格が違うだろう。

 

たしかに今までも、県大会優勝者、地方大会出場者、というのは戦ったことがあった。

 

しかし、「四国大会優勝者」というのは、たった今生まれたばかりなのだ。

 

 

そう考えた途端、俺の中でスイッチが入った。なんだこの感覚は。凄まじい集中力だ。

 


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対戦が始まると、橘ポケトレの動きが視える。それだけではこと足らず、さらに、ちょっと先までも視える。

 

その集中力で橘ポケトレの動きを読んで、しっかりスマッシュをキめこんだ。まさかの先制だ。後ろで香川勢がどよめく。

 

 

いける。

 

 

後ろからそう言われてたうえに、俺自身もそう思った。

 


しかし、なにせ後ろにいるのは香川勢。

 

 

 

「ジャッジ?」

 

「今振ったら9出るよ…!」

 

「こらこらやめなよ(笑)」

 

 

 

……俺もさ、真剣にやってるんだからさ、相手しなきゃいいのにな。

 

 


まじまじ?9出る??(笑)」

 

 


当然、9は出なかった。

 

 

 

参上、矢車シーク。

 


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さて、ジャッジとともに崩れ落ちて負けたネバダゲムヲに続き、次は矢車シークが挑むことになった。

 

矢車さんはお調子者の香川勢。他の人とは何か違うものを持っていて、主に気などが違う。ぱせりまんに似てる。DXもやっているらしい。


オフのイベント「ちよなる道場」でちよさんと大接戦を繰り広げたのを見てから、俺はすっかり矢車シークのファンだ。

 

 

「橘くんに勝ったら実質四国リーグ優勝だぞ〜」

 

そんな茶化しを入れながら始まった試合だが、なんと矢車シークが先行してしまう。

正直ちょっと驚いた。バ難のシークで先行できたのはかなり大きい。

 

 


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しかしそこはお調子者の矢車さん。分かりやすく調子に乗ってしまう。

 

技を振るたびに「ホイッ」だの「ハイッ」だの変な掛け声を上げだした。変顔までし始めてるぞアレ。

 

「そこがおまえの悪いところだぞ!!!」

 

後ろから喝とコーチングを入れてやった。橘くんもくすっと笑った。

 


コーチングが効いたのか、矢車シークは橘くんにペースを取られることなく、お互いに最終ストックまで持ち込んだ。

 

バ難で軽いシークは早くキめたい。フシギソウの空上や上Bを喰らったらひとたまりもない。かといって焦って攻めると負けてしまう。どうすればいいんだ。

 

そう、おちゃらけていた矢車シークの試合は、いつの間にか見ごたえのある「シーク対ポケトレ」になっていた。後ろの香川勢も黙って見守る。

 

 

そんな緊張感溢れる中、何かを見切ったかのように矢車シークが走り出す。フシギソウの懐に潜って、完全一点読みの上スマ先端を突き刺した。

 


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ズーム撃墜演出がかかって、ゲームセット。

 

 

人間は結構不思議なもので、「一瞬何が起きたか分からなかった」「夢かと思った」ということが人生において何度かある。

 

 

コンボでも回避読みでもなく、ただ相手に飛び込んで上スマなんて、よほど上手くないとキマらないでしょ。甘い甘い。

 

撃墜演出出たけどシークの上スマじゃまだ飛ばないでしょ、戦場って上高いし。俺もそれで何度も助かってるし。

 

 

リザルト画面が出た。

え、おい、勝ったのかよ。

 

俺は慌てて椅子から飛び上がって、矢車さんに駆け寄った。

 


所詮はフリーの一戦。

二先三先でやったら当然矢車シークが負けていたであろうこと、橘くんが四国リーグ優勝後に続く連戦続きで本調子でないこともわかっていた。


そうであっても、このシークはあの橘くんを初対面で倒した。それだけが衝撃だった。

 

 

やっぱりこの人は何かを持っている。これからも後ろからコーチングとガヤを続けようと思う。

 

 

 

ありがとう、四国勢。

 

 

「みんな入力した?文面あってる?写真載っけた?よし、せーのでいくよ。せーーのっ、!」

 

「いけいけいけ!送信送信!!怯むな、数で押していけ!!」

 


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四国リーグの前夜、高知勢の皆と10人くらいで晩御飯を食べた。

 

ブックオフアリーナのすぐ近くにある中華料理店まで皆で歩いた。皆で座敷に座って、食卓を囲んだ。

 

店の中国人のオバちゃんはとても気さくな人で、こんな人数で急に来たのに、なんと全員分大盛りサービスまでしてくれた。

 

やっぱりスマブラ後の飯は美味いんだよ。特に皆で食べる中華料理がうまい。しかしこいつら、スマブラの話しかせんな。なにが「ここの餃子はStire」じゃ。

 

照れくさくてこんなことは口には言えないが、人生で五本指に入る楽しい晩御飯だった。

 

 

ありがとう、ちよなるさん。

 

 

 

もちろん、四国リーグの夜もみんなで騒いだ。

 

 

 

 

今、四国はこんな調子でものすごくスマブラが盛り上がっている。こんな離島でも盛り上がってるんだから、ぜひ皆もオフに参加して地元で盛り上がってほしい。

 

 

ランチは中華料理が好ましいぞ。

 

 


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第2回まめブラ日記




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こんにちは。「ネバダからキマした。」と申します。東京から来ました。

 

先日、初めてスマブラのオフ大会に参加しました。「オフレポ」なんて大層なものではなく、自身の初大会の記録として記します。

 

純100%自分語り、中学生の頃に書いたブログのようなはしゃぎっぷりです。

いや、やっぱブログって書くの楽しいですね。

 

記事の中で使われている画像は、ぜんら @_eurobeast 様 に提供していただいたもの以外は、イメージ画像です。

ぜんらさんありがとうごさいます。

 

日曜日の昼、駅前で。

 

 


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いざ会場に着いたら、ブッたまげた。

オフ大会というと、ちっちゃなビルの一室や市民会館で小ぢんまりとやるものだと勝手に思っていた。が、デカい。

 

高松駅の目の前にあるでっかくて新しいビル。隣には瀬戸内海が一望できる高級ホテルも建っている。
周りには観光客向けの店やレストランもたくさんあるので、日曜日ともあって子連れの夫婦や観光客で溢れていた。

 

 


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ここが今日スマブラをする場所か…?

そうは見えない。俺の周りにいたのは若い男オタク(ども)ではなく、母親の前でやんちゃに走り回る子どもたちだった。

 


とりあえず、知っている顔を探すことにした。足が疲れるのでベンチに座りながら。

 

しかし不思議なものだ。周りの若い男性が、全員オフ大会の参加者に見えてくる。
観光に来ているであろう大きなキャリーバックを引きずる男性、友達と休日を楽しんでいる大学生……

 

どれが参加者なのだろう?


いや、おそらく全員違うのだろうけど、どうしてもそう見えてならない……あの大学生はルキナ使ってそう。

 

そんな苦悩をしてたとき、見覚えのある顔が見えた。昨日のブックオフの対戦会に来た人だ。

声をかけよう、と思ったが一瞬思いとどまった。


人違いだったらどうしよう……

これだけ人がいるんだぞ、その可能性のほうが高いに決まってる。(スマブラプレイヤーは常にリスク・リターンを考えているのだ。)

 

 

しかし、幸いなことに彼のプレイヤー名が「雄一郎(ゆういちろう)」だった。これなら万が一人違いでも変に思われることはない。

 

 

もし「ネバダからキマした。」なんて名前のプレイヤーだったら、俺は絶対に声をかけない。

 

 

 

 

高層ビルでスマブラができる時代

 


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雄一郎さんと無事合流し、でっかいビルの中に入っていく。雄一郎さんは随分とオフ大会に慣れているようで、雰囲気に飲まれずさっさと会場へと向かっていた。

 

彼とは真逆に、俺は(エレベーターめっちゃでかい……ヒエ〜〜廊下めっちゃ広いじゃん…瀬戸内海みえる………ビルの受付とか行かなくていいの?受付のお姉さんに『スマブラの大会に来ました』って言わなくていいの……?)などとキョドっていたら会場についた。

 


しかし、ここで一転、きょとんとする。

 

あれ?せまっ。

 

 


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ビルこそ巨大なものの、その一室は至って普通の会議室。正面にホワイトボードと教壇があり、その前に長机が並んでいた。教壇はジャマなので大会中は廊下に放置された。

 

そう、本当にビジネスで使われるような至って普通の「会議室」なのだ。なので隣の広めの会議室ではどこかの企業説明会が行われていた。


スーツを着た若い男女が企業説明を受けている隣で、私服の若者の男たちがわらわら会議室に入っていく。参加者ながら「なにごと?」って感じ。

 

 

 

いよいよ会場に。

 

 

中に入ると早速設営が始まる。この会議室は、今からスマブラ県大会の会場に変わるのだ。

イスと机を並び替え、次々とモニターとSwitchが設置されていく。最初こそ手伝っていたものの、どんどん人が増えてきて最後ははみ出るように外で待っていた。

 

気が付いたら香川勢はほぼ全員廊下にいた。設営してるのはほぼ全員県外勢。これもう何大会か分かんねぇな。
県外勢多いな〜とか、○○さんとは当たりたくないから別のブロックに行ってね〜、決勝で会おうね〜とか話してた。

 

 

設営が終わったみたいで、中に受付の行列ができる。そうそう、受付があるんだ。大会っぽくなってきたな。受付ひとつでさえ新鮮で、列に並ぶのも楽しかった。いよいよ「オフ大会」に参加するんだ。


「お名前を教えて下さい」「ネバダからキマした。と申します」「ネバダさんですね。名札をどうぞ」

大会参加時にプレイヤー名を略されたの、おそらく香川県で俺が初めてだと思う。

 


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(名前欄に名前が収まらない名札。イラストがかわいい。)

 

 

 

 

早速スマブラだ。

 

 


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受付が終わるとフリーが始まる。BOOKOFFでの対戦会と違い、せっかくたくさんの県外のプレイヤーが来てるのでどんどん対戦しようかと思ったが、結局いつもの香川勢でSwitch一台占拠した。

 

だって、ちよなるさんはマキノさんに「リベンジだリベンジだ」ってべったりくっついてるし、俺はちよフィットレと長らく対戦してないから本番前には絶対やりたいし、マキノさんはちよさんが絶対離さないし……

 

このとき、香川勢の一人が迷子でまだ来てなくてちょっとざわついた。

 

 


フリーを3試合ほどしたら、予選が始まった。予選の対戦メンバーが呼び上げられていく。
通常、オフ大会は事前に対戦相手が発表されるらしい。当日にその場で発表というのは異例なのだとか。


俺の初オフ大会の洗礼は、最初から待ち構えていた。
予選でなんと県大会優勝者で四国リーグに選抜されている「ばしょうフォックス」といきなり当たってしまう。パニックなんてもんじゃない。対戦相手全員しばき回すつもりでは来たけど、なにも予選じゃなくても……
こちとら初めてだぞ?初見殺しか?ラグいのそちらでは?

 

考えてみると、俺の一日の不運はここから始まっていたのかもしれない。

 


しかしまあ、気を取り直していこう。
たかだか予選だ。強い人が1位2位を取っても、予選落ちさえしなければいいんだ。

どこかでばしょうさんとは当たるけど、それまでに手を温めて調子を出していけばいい。

いつも通り軽くヘラヘラ笑いながらスマブラしてやれ。さて、一戦目はどこのどいつだ。

 

 

「一戦目〜……ばしょう対ネバダからキマした。」

 


やれやれ、僕は絶望した。

 



 

オフで感じる「違和感」

 

 

 

いざ予選を始めると、変わったことを三つ目の当たりにした。

 

 


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一つは「ゲムヲに対するスマ勢の評価」だ。

あの最強のばしょうフォックスが、フォックスを選ばずにウルフを出した。ゲムヲ相手には絶対にフォックスを出さない、ということらしい。その後も、ダムスを使っていた人がメインの激つよクラウドを出してきた。やめてよ。

 

俺のヒョロヒョロゲムヲにさえキャラを選ぶなんて、なるほど今スマ界隈に流れている「ゲムヲ実はやっかい世論」はダテじゃない……Maisterめ。

 

 

 


 

 


二つ目は「緊張」。
2戦目を終えたあたりから急にめちゃくちゃ緊張してきた。それまでけろっとしてたのに。

確かにばしょう戦でとてもしょうもない自滅をかましたが、そんなの普段は気にもしないものだ。なのに緊張する。

 

俺は思っていた。

スマッシュログTVの「オフ大会の緊張の対象法!」みたいな動画を見て(いやただスマブラするだけじゃん緊張なんてしねえよ〜〜世界大会じゃあるまいし〜〜〜)などと。

 

めちゃくちゃ緊張するやん……

 


大会主催のたいよさんに、俺の手を握ってくれとお願いした。

 

 


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三つ目は、キャラクターの悩み。
長く暗くなるので省略するが、予選の段階でめちゃくちゃ思い悩んだことがある。詳しくは僕のtwitter遡ってネ。

 

あとそれとは別に、一日中下投げジャッジがキマらなかった。ここでいう「キマらない」とは、ジャッジが当たらないではなく9が出ないということ。(ゲムヲプレイヤーは常にリスク・リターンなど考えない。ジャッジを振りまくれ。)

 

 

試合中、下投げするたびに後ろから「ジャッジは?」「ジャッジ??」とガヤが飛んできた。

たいよさんだった。

 

 

(正直めちゃくちゃ笑ったし、試合中だけど「予選もガヤOKなのかよ!」って叫ぼうかと思ったけど、「ガヤ」って単語が咄嗟に出なかったから笑ってスルーしちゃった。たいよさんゴメンね)

 

 

 

悲劇の予選終わり。

しかし、ここで重大発表。

 

 

さて、緊張の予選が終わった。かなーり悪い成績で、ちよさんにもマキノさんにもびゃっこくんにも「えっマジ?」って言われた。
ちなみに、ちよさんマキノさんは予選全勝無敗だったらしい。いつも通りニコニコしながら言ってきた。なにわろとんねんおまえら無敗やぞ。

 

もうそんな緊張しまくりの予選だったから、予選落ちでもないのにかなり落ち着かなかった。

(予選の仕組みを理解しておらず、まだ自分が予選落ちかどうかこの段階で知らなかったのはまた別の話。)

 

 

そんな俺の緊張をほぐしてくれたのが、主催のぐるさんだ。ぐるさんはとても温厚で優しい人。ツイッターでヤンキーって呼ばれてたけど。そんなぐるさんが皆の前に立ってこう言った。

 


「発表があります。予選落ちはありません」

 


えっっえっっっ!?!?!?!?!?!?


俺の驚嘆の声が圧倒的に一番大きかった。

周りの人びっくりしてこっち振り向いてた。

周りの人ごめんかった。

 

 

 

本戦前のフリー。

強いぞばしょうフォックス。

 


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予選が終わってしまえば、いよいよ本戦……の前にフリーが入った。本戦の前にフリーというのはオフ大会のお決まりなのだろうか。


休憩時間も兼ねてると言われたが、誰がスマブラをほったらかして休憩をするだろう。片っ端から声かけまくった。まずは遠慮せず、真っ先にずかずかと優勝候補のばしょうさんをとっ捕まえて。

 

ばしょうさんの本気(マジ)戦場フォックスにZero-to-Deathされて、文字通り手も足も出ずお手玉され続けたり(コンボ中いっしょうけんめい3フレの上Bこすってました。)、配信台と知らずに上位ロボットにメテオキメられるのを周りに見られたりと、本戦もしないうちにもう十二分にオフのスマブラを楽しんだ。

 

 

それでも、いよいよ闘いのときが来る。

 

 

 

いよいよ本戦。

ばしょうさんに鍛えられた俺は無敵。

 

 


さて、本戦だ。


ぐるさんの口から、対戦者の名前が次々と挙げられていく。

話によると、予選で一位だった人は本戦で有利に組まれるらしい。シード入りだろう。じゃあ俺が強者といきなり当たることはない。大丈夫。トーナメントにおいて、実力と同じくらいトナメ運は大事だ。俺は日頃から運ゲしまくってるんだ、強運でトーナメントを駆け上がってやる。


俺のオフ大会デビュー、第一戦の相手は……

 

 


「7番台、ばしょう対ネバダからキマした。」

 

 

おやおや。



 

第一回戦

 


試合前、ばしょうさんはこう漏らしていた。「いやこれ……良くないよ。」
わかるよ。わかる。予選で第一戦目をしてフリーもいっぱい付き合ってもらって、本戦でいきなり当たっちゃうなんて。わかるよ。わかるけどそれ俺のセリフなんだよ。

 

当然負けてしまったが、一矢報いるようにゲムヲのねばちっこい復帰阻止をキメてやった。(ジャッジはキマらなかった。)

 

どうだまいったか。まいりました。



 

 

そしてルーザーズヘ…

 


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ルーザーズルーザーズ。直訳で「敗者たち」。意訳で「負け組たち」。
ルーザー側に落ちるのは精神的にかなり痛い。もう後がない。

 

とはいっても、案外焦らなかった。俺メンタルくそつええ……!とか思っていたが、考えてみれば、右も左も分からない初オフ大会の初戦で知らぬ間に最強プレイヤーに落とされれば、実感も何も沸かないのは当然かもしれない。

 

 

そうはいかなかったのが、香川勢のびゃっこやくん。彼は15歳にしてスマブラ激うまなパルテナ使い。以前高校の制服着てたけど、15歳って中学生じゃないの。

 

びゃっこくんはルーザーズに落ちてわかりやすくヘコんでいた。大丈夫だってキミ予選2位突破でしょ。びゃっこくんは、オフでいつもずっと対戦するし(お互い苦手なキャラだから)、帰り道も一緒でずっとお話するからめちゃくちゃ応援した。
ヘコんでるけど、キミのスマブラパワーなら普通にやってれば勝てるって。大丈夫大丈夫。余計に緊張させるといけないので、肩をぽんぽん叩くだけにして、全文テレパシーで伝えた。

 

 

ルーザーズ第一回戦。

負けられない戦い。

 

 


かくいう俺もルーザーズだ。人の心配ばかりしている場合ではない。次の試合は負けられない。俺には負けられない理由がある。

 

今日、まめブラに来られなかったプレイヤーたちがいる。用事があったり、定員オーバーだったり、急用ができたり……

 

そんな彼らのためにも負けられない。実際に応援のツイートを頂いたり、声をかけて頂いたりした。

 

 

俺にはみんながついてる……!

 

アルセーヌ!!!

香川勢4人分!!!!!

 


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負けた。ぐるさん相手に。


普段何回か勝ってるのに〜ちくしょう〜〜。俺がメンタルボロだったのもあるけど、ぐるさんやっぱり「違う」なあ。勝負前、普段見せない目してたもん。普段にっこにっこしながら勇者の呪文選んでるるくせに〜〜。

俺もああいう目ができるようになりたいなあ。

 


こうして俺は初のオフ大会で敗退した。

 

が、四国中のプレイヤーを沸かせたあの夜は、まだまだこれからだった。

 

 

 

会場外、自販機の前で。

あのプリンと。

 

 


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時は少し戻って、予選中。


あまりに負けが込んでた俺は、逃げ出すように退室し自販機へと向かった。

会場はお茶と水以外禁止だが、知ったものか。キンキンに冷えたコーラを買って、一気にガバガバ飲んでやる。普段手元にあるコーラ抜きで勝てるはずがない。

 

 

そんな乱心をしながら自販機に向かったら、先客がいた。メガネをかけた私服の若い男性だったので、すぐに「同胞」だと気付いた。

 

「まめブラの方ですか?予選どうですか」「○勝○敗ですよ〜」良い成績だった気がするが、あまりに自分の負けがこんでたからよく覚えていない。くそう、みんなスマブラ上手いでやんの。あっ、この自販機コーラもジュースも売ってない……。

 

お茶の中でも一番糖分が多いであろうピーチティーで妥協し、同胞の方と話す。

 

「お名前なんですか?」
「しなのです」
(あっ名前覚えてる。まめブラ参加者のツイッター全員ヲチしてるし。でもアイコン思い出せないな……)「ツイッター見てます」
「ありがとうございます」
「キャラクター何使ってるんですか?」
「プリンです」

 

 

 

………、あああああ!!!あのプリンだ!!


プリン単でレート1700行っためちゃつよでなによりすごくドすけべでドえっちなプリンの娘のイラストを描くあのプリンだ!!!!

 

 

「サインください。あと色紙ください。」

 

 

そんなこと言えるはずもなく、雑談をしながらまた戦場へと戻っていった。

 

 

すごいぞ、しなのプリン。

 


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時は戻って、本戦。

 

早々に敗退しちょっとヘコんでるところに、しなのさんの試合が目に入った。対戦相手はあのばしょうさんだ。プリンはフォックスウルフ相手にどこまでやれるんだろう。気になる。ヘコんでる場合じゃない。

 

正面の配信台ではマキノさんの勇者が大活躍していた。マキノさんが注目の的だったのに、そのうえ勇者って。会場はざわざわ状態。


前はマキノ勇者、隣ではしなのプリン対ばしょうウルフ。もう横向いたり前向いたりで忙しかった。(さらに奥の方でちよなる戦もやっていたが、どうせちよさんが勝つだろうと見るのは諦めた。)

 

 


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マキノ勇者が対地空上バーストをしたり、ザラキで試合をキメたりで会場中に悲鳴が上がった。

あれは歓声じゃない、悲鳴だ。

俺もしっかり悲鳴を上げてしまった。しなのさんばしょうさんが試合してる真後ろで。ごめんなさい。

 

 

そんな状態だったから、みんなは配信台に釘付けだったが、俺は知っている。そのときにひっそりと行われていた、しなのばしょう戦がすごく熱い闘いだったことを。第2回まめブラで2,3番目に熱い試合だったことを。

 

 

試合は一対一だった。ばしょうさんに一本取ること自体が俺には衝撃だった。途中経過を訊いてきたぐるさんも、聞いて驚いた目をしていた。

 


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三試合目、ばしょうさんが早々にプリンの2ストを取った。やっぱりばしょうさんは強いんだなあ…後ろでしなのプリンを応援していた俺が諦めてしまう。無理もない。ストック3-1、バースト圏内のプリン。


しかし、そこで諦めないのが、プリンをレート1700まで運んだ男。ウルフのバースト技を一切通さず、しっかりとウルフの弱点である復帰を狩り、いつの間にか1-1まで巻き返す。

俺は思った。ああ、このプリンこのまま勝っちゃうんだろうな、と。いつもこうやって逆転勝ちしてるんだろうな、と。

 

 

しかしそこで、ばしょうウルフのバーストが決まる。ゲームセット。


長かった。すごく接戦だった。それはばしょうさんも感じていたようで、勝ったにも関わらず、キツい、まいったと言っていた。

あのばしょうさんから弱音を引き出すなんて。すごい。プリンでここまで勝てる人は、やはり他とは違うものを持っている。そう確信させられた試合だった。

 


その試合も終わり、俺はすぐにしなのさんをとっ捕まえて一緒にフリーをしてもらった。案の定ボコボコにされ、一足先に帰るというので握手だけでもしてもらった。

 

サイン色紙は次回もらおう。



 

勝ち続ける香川勢

 

その後も、俺は香川勢を後ろから応援し続けた。あんなハイレベルなスマブラをしている人たちに、どうやって試合後に声をかけていいかわからないので、とにかくすごいと伝えた。だってすごいんだもん。

 

 


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応援中、ちょっとびっくりしたこともあった。

 

ちよトレ対ヤトクラウド。ちよさんがあまりに暴れるから、後ろで見てたたいよさんに訊いてみた。
「この試合、フィットレとクラウド、どっちが有利なんですか」
たいよさんは苦笑いを浮かべた。
「いやクラウドでしょ。リーチの差とか……分かって聞いてるでしょ?笑」

 

いや、知らん。

それを聞いた俺は、鳩に豆鉄砲のような顔をしていただろう。みんなスマブラに詳しいんだな。俺がキャラ知識少ないのはあるけど、なにより、俺はちよさん以外のフィットレを見たことがないので、フィットレはこのくらい強いものなのかとずっと思っていた。

 

 

そうやって勝ち残った人たち応援し続けたら、いよいよ来るところまで来てしまった。
ちよなる対マキノ。応援してた香川勢の二人が、勝ち続けて決勝でぶつかってしまったのだ。

 

 

 

第2回まめブラ、

グランドファイナル

 

 




嘘やん。確かにさあ、まめブラが始まる前、設営中の会場の外で「決勝で会おうね」とか言ってたけどさ、ホントにやっちゃうんだ。

 

四国中からとんでもないプレイヤーたちが来てる中、オフ大会初参加の新人と、ルーザーズに一度落ちた前王者が、決勝で会っちゃうんだ。

 


どっちを応援すればいいんだろう。見てるこっちが緊張してきた。身体が震える。なんで俺が震えてるんだ。

 

配信台の真ん前という超特等席で見守りながら、まめブラ第2回グランドファイナルが始まった。



 

ありがとう、まめブラ。

 

おめでとう。いや〜おめでとう。もう一回言っていい?おめでとう!今日あと10回は言うからな。

 

マキノさんが優勝した。ちよなるさんが準優勝。すごい。すごすぎる。

 

何がすごいって、試合がすごかった。会場は大熱狂。大技ありの大逆転あり、スマブラの面白さを詰め込んだような試合だった。もう勝手にスマホで映して配信すれば良かったと思ってる。あまりに面白すぎたんで、途中、30人くらいの男たちが黙って集中して試合に見入ってた。

 

彼らは、スマブラが上手いだけではなく、あれだけ大勢の人を沸き上がらせることもできる。すごい。

 

 

マキノさんもちよさんもすごかった。やっぱりあの席に座ると、普段は見れない二人になる。

 

ちよさんは、「マキノさんに一勝もしたことないんだよ〜」って言っておきながら追い詰めるし、マキノさんは俺と同じ初オフ大会であそこまでしちゃうし。

 

マキノさん、決勝の試合中笑ってた。

あんな大舞台で試合を楽しんでるなんて、スマブラが大好きなんだろうなあ。

 

でも、俺は見逃してない。

マキノさん、ステージ選択中、ルール用紙を持つ手が震えてた。終始あんなニコニコしてたけど、やっぱりすごく緊張してたんだろう。

 


何が憎いって、びゃっこくん!あの子、あれだけヘコんでブルーだったくせにちゃっかりどんどん勝ち上がってベスト9入ってんの!!言ったろキミはスマブラうまいんだからって〜〜

 

え?それでもトップ9ですよって?

 

 


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次の
オフ大会で

しばく!!!!!

 

 

 


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とにかくおめでとう。決勝が終わってから、徳島の方とフリーして、まめブラ運営の方々とお話できて、そのままはしゃぎながら会場を後にして、みんなでおしゃべりしながら夜の高松を散歩して記念写真を撮った。

 


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ちよさんが一足先に帰っちゃったので、みんなでラーメン食べに行ってちよなる・ランチをぶっぱなした。大成功。

 


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さらに、たまたまその店で、まめブラ入賞者賞品「ラーメン替え玉無料券」と全く同じものが配られた。実質俺らも優勝だやったぜ。マキノさんは配られるって知ってたらしい。

 

みんなもラーメン食べてちよなる・ランチぶっぱなしてまめブラ優勝しに行こう。

 

 

スマブラ人生で一番長い夜だった。スマブラオフの参加を考えてる人は、是非一度来てほしい。会議室を使ってみんなでスマブラして、みんなで盛り上がって、みんなでしゃべりながら帰ってラーメンを食べよう。

 

 


長くなったが、最後に、夜勤明けにも関わらず優勝・準優勝を勝ち取ったマキノちよなるさんお二人の言葉で締めようと思う。

 


「俺ら(今日)睡眠時間より、スマブラしてる時間のほうが長い。」

 

 

 

バズっても、有名人にはなれない。


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「ちょwwwwお前有名人じゃんwwwww」

 

どこかで見たことがあるであろう言葉だ。

 

最初この言葉が使われ始めた頃は、「twitterの狭い世界で有名人を気取る勘違い野郎」という冷笑の意味で使われたいた。

とはいえ、スマホに支配され、小学生からサラリーマンまで暇あればインターネットの世界に入る今日の社会では「SNSで一時的にでも注目を浴びる=有名」というのはあながち間違いではないのかもしれない。

 

人間には承認欲求がある。これは善い悪いではなく、そのように設定されているものなのだ。人間であるのであれば、承認欲求がある。あくまで仮想の世界であるSNSであっても、少しでも有名人になりたいと考えるのは何も不思議ではない。

 

ツイートがバズれば、大量の通知が端末に届く。それはもう鳴り止まない。ハートマークが大量に端末に映し出され、皆が自分を認めてくれると感じる。自分は興奮し「通知鳴り止まない!」とツイート、周りも興奮し「ちょwwwwwお前有名人じゃんwwwww」と認めてくれる。愉悦の時だ。

 

しかし、人はバズるだけでは有名人にはなれない。

 

 

昔は「twitterを始めたらフォローすべき日本のオススメアカウント!」、

今は20代男性(社会人)。

 



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ここでまず私 Sean(読めたら英語うま男) について自己紹介をしよう。

 

私は昔バズりまくった。当時はバズるなんて言葉も無かったが、とにかくリツイートされまくった。

 

どのくらいされたかと言うと、3年間で・1,000RT以上されたツイートが・2桁ある。俗にいうパクツイなし。銭湯画家。

人口が爆発的に増え10,000RTも日常的に見るようになった今日でも、上記のようなアカウントはどちらかと言えば少数派だろう。

 

カプチーノのじょーじと相互フォローで、とあるサイトではNHK広報と肩を並べオススメアカウントと紹介された。2ちゃんねるにも書き込まれ(当時は2ちゃんねるでした)、ときには炎上もした。

 

ポニョが地上波放送されたときには二つの別々のツイートが同時にバズった。「その話題に関連したツイートがいくつかまとめてバズ」ということは多々あっても、それぞれ全く別の内容のツイートが「デュアルバズ」することは今でもそうそうないだろう。

 

極めつけにはGoogleで「@fe」と入力すると出たのだ。「@feat_sean」と。

検索履歴ではない。サジェストに。

世界中に多くのtwitterアカウントがある中「@fe」から始まるものといえば、当時のGoogleに言わせてみれば@feat_seanだった。


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もうこれは飛ぶ鳥を落とす勢いと言っていいだろう。イキりではないことをあのインターネットの正面門・Googleが証明している。

 

しかし、今日多くの人はSean(読めたら英語うま男)を知らない。貴方だって知らないだろう。

 

何故か。人はバズっても有名にならないのだ。

 

 

コンテンツを生み出さなければ、有名ではいられない。

 

 

vineで有名になった面白い女子高生、独特なシュールギャグ4コマ漫画を書き続け地上波デビューしたWeb漫画家、朝食にパン一枚をかじり胸を躍らせ集合場所へと向かうインターネットコメディアン…

 

インターネットの世界では今多くの人が「コンテンツ」を生み出している。そして配信し続けている。あなたのTLにだっている。あなたもそうかもしれない。

動画を作って人を笑わせたり、写真を撮って映えたり、絵を描いて人に尊さを感じさせたり、歌ってみたり、踊ってみたり…なんだっていい。

 

人々にコンテンツを与え続ける。そして人々に知ってもらう。

Sean(読めたら英語うま男)には、それがなかった。

 

そして今もない。一般的に人を惹きつけるような、明るいものが。

 

TLで「バズるのが夢」と言う人を見たが、俺は絵を描き何人であれ人を幸せにできる君のほうが万倍羨ましい。

 

 

時は2019年。

 

 

そう考えるとDJあおいってすげぇよ。昔から「なんのツイートするのかよく分からんけど、めっちゃ有名な人」だけど、2019年になっても「なんのツイートする人なのか10年近く前からよく分からんけど、今では20万人にフォローされてる人」だもん。

 

 

昔を懐かしむなんて、大人になっちまったなあ。

閉鎖し404を表示するFavStarを見つめながら、四角いアイコンと星マークに思いを馳せる。